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36-3・ハーピー&ギガント戦~氷結界~スペクター召喚

-広場手前の道-


 妖槍を装備したガルダが、ギガントに突進!互いの武器がぶつかって、力負けをしたガルダが、数歩後退をしながら体を回転させて、遠心力を乗せた石突きで薙ぐ!しかし、ギガントは片手で楽々と受け止め、もう一方の手に持った大型ハンマーを軽々と振り上げて、ガルダ目掛けて振り下ろした!


「くっ!」


 ガルダは素早く退いて間合いを開けるが、空を切ったハンマーは地面に着弾!狭範囲だが強い地震が発生して、ガルダを弾き飛ばす!


「フゥゥゥンッ!!」


 倒れたガルダ目掛けてハンマーを振り下ろすギガント!ガルダは仰向けに倒れたまま、妖槍の柄でハンマーを受け止め、足払いでギガントの体勢を崩して脱出!立ち上がって、妖槍を構え直した!


「地震による間接攻撃と、接近戦でのパワー押し・・・近距離~中距離タイプか?」


 接近中、及び、僅かに空けた間合いでは、地震ノームクエイクを発動されたら体勢を崩される。ギガントから半径30mの範囲では、ギガントが圧倒的に有利ということだ。


「つまり、その外側で戦えば良い!」


 背の翼を広げて飛び上がるガルダ!武器を妖槍から鳥銃に持ち替えて、ギガントに向ける!


「愚かな!それで、有利を得たつもりか!?」


 ギガントは、上空のガルダを眺めながら、サイクロプスハンマーの柄にセットしたメダルを『Un』に入れ替えた。


「フゥゥゥンッ!!」


 ウンディーネウェイヴ発動!大きく素振りをしたサイクロプスハンマーのヘッドから、津波が発生!


「なにっ!?」

「フン!遠距離だの、至近距離など関係は無い!全てが射程圏だ!」


 津波は、空中のガルダを飲み込んだ!空中では踏ん張れず、為す術も無く弾き飛ばされて地面に墜落をする!


「狗っ!」


 ハーピーとの間合いを詰めている最中のザムシードが、劣勢のガルダと、悠然と構えるギガントをチラ見する。


「浮気なんてしている余裕、無ーだろ!

 オマエ、あたしを舐めてんのか!?」


 ハーピーは、素早く数歩後退しつつ、魔力矢を番えて、ザムシードに鏃を向けた!


「しまった!」


 オーキュペテーアロー発動!ザムシードは慌てて妖刀を構えて防御をするが、「標的に向かって飛ぶ行程を省略して、狙われた瞬間に命中が決定する矢」は、ザムシードの胸プロテクターに着弾!弾き飛ばされたザムシードが地面を転がる!


「硬ーな。やっぱ貫けねーか。」


 妖幻システム(最新型のYウォッチタイプ)は思念に対する防御力が高い為に、オーキュペテーアローの「貫く」という概念を防いでくれるが、「着弾決定」だけは免れることができない。


「・・・クソ!この先で紅葉が待っている!」


 紅葉がこの道を通過してから、既に数分が経過をしている。早く救出に行きたい。ワームホールを利用して数秒で現地に来られたのは、ザムシードとガルダだけ。粉木や佑芽の到着までには、あと20~30分は待たねばならない。そもそも、ザムシードやガルダでも苦戦する相手に、旧型のアデス(粉木)や戦闘ド素人のリンクス(佑芽)が対応できるとは思えない。気持ちばかりが焦る。


「こんな所で、足止めをされている余裕なんて無いはずだ!」


 ザムシードは、エクストラを発動させるべく、Yウォッチから水晶メダルを抜いて構える!


「待て、佐波木っ!」


 ガルダがザムシードの動作を止める。


「ここは俺が抑える!君は、先に進め!」

「だけどっ!」

「ここで2人揃って消耗するべきではないことくらい、

 君だって把握しているのだろう!?」


 この場に、里夢や退治屋上層部の姿は無い。それは、敵主力は紅葉の近くにいて、紅葉を救出する際に、もう一戦闘クリアせねばならないことを意味している。

 ガルダは、Yウォッチから金色メダルを抜いて、ベルトの五芒星型バックルに装填!全身が金色に輝いて、Hガルダへと姿を変える!


「紅葉ちゃんが待っている!サッサと行け!」


 Hガルダは、鳥銃を構えて、ハーピーとギガントに向けて光弾を連射して牽制!更に、妖槍を装備して、突進をしていく!

 体力を温存したかったのはガルダも同じ。ガルダの方がパワーアップによる消耗は激しい。だが、あえて、足止めを買って出て、紅葉の救出をザムシードに託した。


「すまん。ここは任せる。」


 Hガルダが牽制で作ってくれた間隙を突いて、全速力で押し通るザムシード!


「アトラス!ソイツを止めろ!」


 ハーピーは、Hガルダの牽制に手間取りながら、ギガント(アトラス)にザムシードの足止めを指示する!


「無論だ!」


 ギガントは、サイクロプスハンマーを振り上げ、去って行くザムシードの背に向かって、大きく素振りをした!ウンディーネウェイヴ発動!サイクロプスハンマーのヘッドから、津波が発生してザムシードに襲いかかる!

 しかし、激しい冷気が割り込んで、津波は、ザムシードに届く前に凍りつき、無数の鋭い氷柱になって、ギガントに向けて飛んでいく!


「・・・なに?」


 サイクロプスハンマーを振るって氷柱を砕くギガント!


「何やってんだよ、脳筋!?」


 苛立ちながら、Hガルダのと距離を空け、鏃をザムシードの背に向けるハーピー!しかし、オーキュペテーアロー(回避不能の矢)を発動させる前に、猛吹雪に包まれて視界を奪われ、ザムシードの姿を見失った!


「なんだこりゃ!?」


 更に、Hガルダの妖槍が、ハーピーに叩き込まれる!


「・・・クソッ!腹立つっ!」


 Hガルダは、妖槍を構えつつ周囲を見廻した。この領域全体が、吹雪の竜巻に囲まれている!


「・・・氷の結界か。」


 目を凝らして結界の中心部を見詰めるHガルダ!吹雪に見え隠れして、氷柱女が立っている!


「魔術使い2人(ハーピー&ギガント)は、私の結界に閉じ込めた。

 5分程度ならば結界で抑えてやる。

 佐波木燕真や、妖力を扱えない魔術使いでは、簡単には抜けられぬが、

 オマエ(ガルダ)ならば抜けられるであろう?

 此奴等は任せて、オマエも佐波木燕真を追え。」


 妖怪が退治屋に加勢することなど、通常では有り得ない。だが、氷柱女に助けられるのは、今回が初めてではない。ガルダは、氷柱女が、粉木や紅葉に協力的なことを知っており、信頼に値すると把握している。


「妖怪に借りを作るのは不満だが・・・ここは甘えさせてもらう!」


 Hガルダは、護符を取り出して、氷の結界を弾く術式で体を覆う。




-山麓広場-


 喜田CEOの部下達(茂面&日部)と、妖怪に乗っ取られた紅葉が立ち並び、前に立つ里夢の呪文詠唱を復唱している。紅葉&茂面&日部の足元には直径5m程度の魔方陣が描かれており、呪文に反応をして光を発した。


「我が言霊に従い、伝承より目覚めよ!」

「我が言霊を従い、伝承より目覚めよ!」×3


 これまでは、イメージをしやすい身近な者達を召喚したが、今回は、プロジェクトを完成に近付ける為に、歴史上の人物を召喚する。

 対象は3人。そのうちの2人は、プロジェクトに賛同した茂面と日部を依り代にする。残る1人は、強制支配をした才能高き依り代。賛同者と、才能高き者で、どちらが、強くて、且つ、扱いやすいスペクターを生み出すかを比較する。


「血塗られた亡者!」

「血塗られた亡者!」×3

「我が刃となりて戦え!」

「我が刃となりて戦え!」×3


 召喚呪文の最後の詠唱が終わった!それぞれの魔方陣から砂嵐が舞い上がって、放電が発生!放電と土が1ヶ所に集まって、人型を作る!


「ふふふ・・・成功ね。」


 紅葉達3人と向かい合わせて、見るからに‘只者ではない3人’が誕生をした。


「おぉ・・・素晴らしい。」


 里夢と喜田から見て、左側(日部の正面)に立つのは、僧兵の姿をして薙刀を持った身の丈が2m近い大男。右側(茂面の正面)に立つのは、腰に帯刀をした袴姿で平均的な身長の男。そして中央(紅葉の正面)には、十文字槍を持った長身の鎧武者が立っている。


「我が名は、武蔵坊弁慶!」 「岡田以蔵!」 「森長可、見参!」


 狙い通り、中世の豪傑、幕末の人斬り、戦国時代の鬼武者、レジェンドクラスのスペクター召喚に成功した!

 微笑を浮かべる里夢と喜田。

 その耳に、バイクのエンジン音が聞こえた。振り返ると、マシンOBOROを駆るザムシードが向かってくるのが見える。


「紅葉っ!!」

「アトラスとカリナは、坊や達の足止めすら満足にできないのかしら?

 想像以上に役立たずね!」

「ちょうど良いではないか。早速、スペクター達の強さを試してはどうだ?

 ザムシード1人に倒されるようでは、どのみち、使い物にはならん。」

「それもそうね。」


 喜田の目配せに対して、スペクターとの契約を終えた部下達(茂面&日部)と、清姫に憑かれた紅葉が頷く。3人が白メダルを翳すと、足元の魔方陣が反応して輝き、弁慶、以蔵、長可が霊体化をして、それぞれの白メダルに封印をされた。


「幻装っ!」


 茂面は『以』メダル、日部は『弁』メダル、紅葉(清姫)は『長』メダルを翳して、ベルトのバックルに装填!青白い魔力の光を放って、妖幻ファイターベンケイ、妖幻ファイターイゾウ、妖幻ファイターナガヨシへと姿を変える!


「小手調べだ!閻魔の妖幻ファイターを蹴散らせ!」

「おおぅっ!」×3


 妖幻ファイターベンケイシは薙刀・岩融を、妖幻ファイターイゾウは名刀・肥前忠弘を、妖幻ファイターナガヨシは十文字槍・人間無骨を装備して、マシンOBOROを駆るザムシードに突進をする!



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