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27-4・スプリガン戦~銀メダルの闇

-YOUKAIミュージアム駐車場-


 スプリガンはAウォッチに、『Go』と『Og』と書かれたメダルを、立て続けに装填!モンスター・オーガ&モンスターゴブリン=契約者を失った怪物達がスプリガンによって召還され、ザムシード達に襲い掛かる!


「同じ失敗をするわけにはいかない!」


 前回は、召還モンスターに惑わされ、スプリガンの逃走を許してしまった!ザムシードが弓銃カサガケを装備して、モンスター達を足止めする!倒す為の深追いをする気は無い!あくまでも、スプリガン討伐の邪魔をさせない為だ!


「狗塚、ヤツを!!」

「任せろっ!!」


 ガルダは、鳥銃・迦楼羅焔から光弾を連射!スプリガンは小斧を振って光弾を弾く!ガルダは、ハナっからハンドガンの連射でマスクドウォーリアを倒せるとは思っていない!あくまでも、スプリガンに逃走の隙を与えない為の牽制だ!一定の距離まで近付いて、妖槍ハヤカセを装備して突進をする!

 一方のスプリガンも、ガルダの狙いは読んでいた!数歩後退をしながら、Aウォッチに『Ko』と『Pi』のメダルを装填!ガルダの進路を阻むようにして、モンスターコボルト&モンスターピクシーが出現をする!


「ザコは任せろ!」


 ガルダの背後で、モンスターゴブリンがザムシードの弓銃カサガケ(強弩モード)の一撃を受けて爆発四散!実体を維持できなくなったゴブリンは、『Go』メダルに変化をして地面を転がる!

 ザムシードは、モンスターオーガの攻撃を回避しながら弓銃カサガケ(小弓モード)を連射させて、ガルダの邪魔をするモンスターコボルト&モンスターピクシーを攻撃する!


「いつまでも同じ手が通用すると思うなっ!」


 違いは、「倒したあとに白メダルで封印できるか、封印できずに再生されるか」と「浄化力で倒すか、破壊力重視で倒すか」だけ。「倒す」という一点のみで考えれば、妖怪もモンスターも、それほどの変わりはない。


「モンスターなんて召還されて最初はビビッたけど、慣れればどうってことない!」


 モンスターコボルトは、素早いがパワーは無い!モンスターゴブリンは、コボルトよりはパワーはあるが、恐れるほどではない!モンスターピクシーは、空を飛べるがコボルト以上に非力!オーガ以外の3匹は、既に一度倒している!剣を切り結んで倒すには手間が掛かるが、退けるだけならば苦労はしない!


「狗塚っ!アンタはマスクドウォーリアだけを狙え!!

 他は俺が何とかするっ!!」

「フン!未熟者のクセに、時々、頼りになるヤツだ!

 ・・・モンスターは任せるっ!!」

「おぅ!任せろっ!!・・・・・・・・って、おいっ!『時々』ってなんだ!?」


 ガルダが、モンスターの間を抜けてスプリガンと刃を交える!一撃目は穂先と刃先が切り結ばれたが、ガルダは手の中で柄を廻して、すかさず石突をスプリガンの肩に叩き込む!そして、スプリガンが体勢を崩したところで、胸プロテクターに穂先の3連突を叩き込んだ!


「グハァッ!」


 プロテクターから火花を上げながら吹っ飛ばされ、地面を転がるスプリガン!手首に填めていたYウォッチから数枚のメダルが脱落する!ガルダは、素早く間合いを詰め、体勢を立て直す前のスプリガンに穂先を向けた!


「・・・クッ!」


 マスクドウォーリアは確かに強い。妖幻ファイターと比べて戦闘に特化した性能を優先させている為、初戦では想定外だらけで見事にしてやられた。マスクドウォーリア・オーガのように、攻撃に主軸を置いたアタッカータイプなら、サシの勝負で容易に攻略をするのは難しいだろう。

 だが、スプリガンは、攻撃性よりも、前線を他人やモンスターに任せて戦術や召還を主軸にした後衛タイプ。一対一に踏み込んでしまえば、それほど怖い相手ではない。


「底が見えたな、マスクドウォーリア!!」


 ザムシードの弓銃カサガケの強弩モードから放たれた光の矢が、モンスターコボルトを貫く!続けざまに、小弓モードの連射で、空を飛ぶモンスターピクシーを撃ち落とし、強弩モードに切り替えてトドメを刺した!2匹のモンスターは、メダルに戻って地面に落ちる!


「飛ぶヤツを倒すなら、本体ではなく、羽を狙う!

 ・・・標的の面積が広い分、当たりやすい!

 昨日、オーガが狗塚の羽を狙って墜落させたのを見て、学ばせて貰ったぜ!」

「・・・い、嫌な学び方をするなっ!!」


 残るモンスターはオーガのみ!巨漢でタフな相手なので、弓銃カサガケ(小弓モード)の連射をしても、あまり、牽制の意味を為さない!


「猿飛のオッサン・・・。

 アンタには特に思い入れはないけど、アンタに無念を晴らす為に力を借りる!」


 ザムシードは、先ほどスプリガンから脱落をした『斬』と『閃』を拾い、妖刀ホエマルと妖鞘を装備して構える!間合いを計りつつ、『斬』のメダルを妖鞘の窪みに装填!妖刀を帯刀して、10秒間のパワーチャージを待つ!


「10・・9・・8・・」


 接近戦に絶対的な自信を持つモンスターは、大斧を振り上げて突進をしてくる!構えるザムシードとの距離が徐々に縮まる!


「3・・2・・1・・おぉぉぉぉぉっっっっ!!!」


 チャージ完了を経て、抜刀をしてモンスターオーガに踏み込むザムシード!『斬』の効果を得て、鋭い切れ味を付加された妖刀の刃が、モンスターオーガが振り抜いた大斧と切っ先を交え、大斧ごとモンスターの体を両断!

 モンスターオーガが、断末魔の唸り声を上げて爆発四散をする!これで、スプリガンが召還をした邪魔者は全て始末された!


「・・・くっ!退治屋ごときが魔術師を舐めるな!!」


 スプリガンは、小声で呪文を唱えて、倒されて地面に落ちたAメダルに魔力を飛ばす!すると、4枚のモンスターメダルに魔力が灯り、再び、オーガ&ゴブリン&コボルト&ピクシーは実体を作り始める!


「フン!調子に乗るな退治屋!オマエ達にモンスターは倒せない!!」

「ゲッ!マジかよっ!?キリが無いっ!!」

「いや・・・そうでもないさ!」


 動揺ウンザリするザムシードを尻目に見て、スプリガンに対して素早く一歩踏み込むガルダ!スプリガンの小斧と刃を切り結んで叩き落とし、次の一撃をスプリガンのベルトに突き入れた!


「がはぁぁぁっっ!!」


 穂先はベルトのバックルを貫通!スプリガンは数歩後退をして尻餅をつく!

 破壊されたベルトが地面に落ち、スプリガンは変身が解除されてクロムの姿に戻った。同時に、実体化しつつあったモンスター達は、魔力供給を失ってメダルに戻る。


「モンスター召還には、余程、魔力が必要なようだな!」

「・・・うぅぅ」

「モンスターを実体化させる為に、魔力を使いすぎた!

 魔力が見えない俺でも、オマエが2度目のモンスター召還で、

 急激に体力を失って、動きが鈍くなったのは把握できた!

 後衛タイプが、似合いもしない前線に出て来たのが、オマエのミスだ!!」


 ザムシードが寄って来て、ガルダの隣に立ち、地に腰を着けたクロムを見下ろす。


「いや・・・違うな!オマエの最大のミスは、俺達を怒らせたことだ!

 死者の魂を利用するなんて・・・絶対に許されない!!」

「君は、何をワケの解らないことを言っている?

 怒ったからって急に強くなれるワケではない。

 むしろ判断力を鈍らせ、全身は無駄に力んで硬直して・・・」

「うるせ~!ド正論のツッコミ入れるな!!たまには格好付けさせろっ!!」


 クロムは座って俯き、しばらくは微動だにしなかったが、やがて、その肩が小刻みに震え始める。ザムシードとガルダは、最初は「震えているのか?」と考えたが違った。彼は声を押し殺すようにして笑っていた。


「何だコイツ?」

「絶望で気が触れた?」

「クックック・・・クックックック・・・。

 まさか、これほど、何もかも上手くいかないとは、想像もしていなかった・・・」


 クロムが顔を上げ、ガルダとザムシードを睨み付ける!その眼は、まだ、闘争心を失っていない!


「だがな、退治屋ども!策士は、常に切り札を隠し持っているのだよっ!!

 格下のシステムに頼るほど追い詰められるとは思っていなかったがなっ!」

「なにっ!?」

「・・・えっ!?」


 クロムはYウォッチと、バックルが雲の形を象ったベルトを取り出して、ベルトを装着し、雲形バックルを展開して、『孫』と書かれたメダルを装填!立ち上がって間合いを空ける!


「変身っ!!」 《QITIAN!!》


 妖幻ファイターセイテン登場!セイテンは、すかさず、銀色メダルを掲げて、Yウォッチに装填をする!


《HYPER!》


 装填確認の電子音声が鳴り、妖幻ファイターセイテンの戦闘能力が上昇をする!


「クックック・・・アッハッハッハ!俺は、死者を利用させてもらう!!

 怒りたければ、いくらでも怒れ!!

 だが今度は、先ほどのようには、いかないぞ!!」


 Yウォッチから発せられる銀色メダルの闇が、セイテンの全身を覆う!高笑いを続けるセイテン(クロム)の姿が徐々に変化をしていく!


「なに?・・・様子がおかしい。」


 退治屋の妖幻システムに「形を変化させる」機能は無い。銀色メダルを使用しても、戦闘力の絶対値が上がるだけで姿は変わらない。猿飛が銀色メダルを使用した時は、姿は変化しなかった。

 だからこそ、鬼討伐の時に姿が変化をしたザムシードは「異質」と判断された。


「アッハッハ!ハッハッハ・・・ハッハ・・・ハッ・・・ハァァッッあぁぁ・・・」


 セイテンから上がっていた高笑いは、徐々に悲鳴へと変化をする!もはや、その場には、セイテンの姿をした物は立っていない。銀色メダルの闇に包まれ、全く別の物へと変化をしている!


「ぁぁぁぁ・・・ぐわぁぁぁぁ・・・・・・・

 ぁぁあ・・・・・・・・・怨念に・・・乗っ取られ・・・」


 クロムは里夢に「銀色メダルを使って一暴れしろ」と指示をされた。退治屋出身を母に持つ里夢は「銀色メダルは人の魂に作用する」ことを知っている。だが、クロムは、里夢からその危険性を聞いていない。


「そ・・・そういう・・・こと・・・・・か・・・。

 あの女・・・ハナっから・・・・俺を依り代に・・・・・

 あぁぁっぁぁっっっっっっっ!!!」


 クロムによって闇を増幅させた銀色メダル。それはもう、誰にも扱えない物になっていた!




-鎮守の森公園近くのビジネスホテル・屋上-


「ふふふっ・・・始まったわね。

 追い詰められた退治屋さんの底力・・・堪能させてもらいましょうか。」


 夜野里夢が、手摺りに凭れ掛かりながら、YOUKAIミュージアムの方角を眺めている。


「バカな男ね、クロム君。

 気付かなかった?

 私が、アナタのように頭の切れる男を信用するはずがないじゃない?

 堀田君達みたいな扱いやすいお馬鹿さんなら、

 もう少し、生き延びられたかも知れないのにね。」




-YOUKAIミュージアム駐車場-


 依り代にされたクロムは、闇の中で既に事切れていた。


 闇が作るその姿は、ザムシードやガルダやセイテンと同じ、妖幻ファイターの意匠を持つ物・・・。だが、ザムシードとガルダは、獣のような意匠の、その妖幻ファイターを見たことがない。

 銀色メダルから発せられた闇が、セイテンだった物の頭上で、人間の上半身の形を作る。闇の中に僅かに浮かんだ顔は、憎しみに満ちた眼と、焼け爛れた頬を覗かせる。

 やがて、人型の闇はセイテンだった物に乗り移るように溶け込み、別の姿になった妖幻ファイターの眼が不気味に輝く!


「あれは・・・ブロント!」

「信虎?そんな・・・バカな!!」


 駐車場に出て来た粉木と砂影が、姿の変化したセイテンを見て、眼を大きく見開き息を飲む。


 その名は、妖幻ファイターブロント!

 25年前、銀メダル事件のリーダー格として、異獣サマナーアデスに討たれた粉木の弟子だ。


※妖幻ファイターブロントは、本作の簡易版となる『妖幻ファイター』には登場しないキャラです。

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