好き
初恋 (ハツコイ)
1
生まれる。ひとたび、生まれる。何も持たない。持ってはいけない。
「あの時の男」
「あの時の男。気に入ってたものね。あんたのこと」
「何も思わない。思えない」
「関心なしか。写真に写ってる。その男かわいそう」
「そうかな」
「知らない。きれいな女ってみんなそうじゃない」
「そうなのかな」
「自覚してるんだ」
「してない」
「笑顔で、冷酷な行動するんだろうね。そうとも気づかず」
「そんなことない」
「なんて送ったの」
「楽しそうですね。笑顔が素敵です。って」
「まあ、そりゃそうか。あんたバカじゃないもんね」
「なんて書けばよかったの」
「知るわけないでしょ。私がその男に興味がないわけじゃないんだから」
「写真付ければよかったかな」
「むごい」
「その人と何の話したの?あの時」
「最後にした恋愛の話」
「あんたはなんて言ったの?」
「釣り合わなかった。って。わたし。ブスだから」
「あんたねえ。あたしの気持ち考えたことある。そりゃさ。あんたよりは不細工だけど。普通に黙ってても男が寄ってくるんだよ。私だって」
「知ってる」
「何を」
「あなたが私より経験豊富で、きれいだってこと」
「薄汚れてるとでも思ってるんでしょ。あんたもそのうちそうなるわよ。遅かれ早かれ」
「麗は薄汚れてなんかない」
「マジむかつく。あんたねえ。かっこいいと思う男いないの」
「いないわけじゃないけど」
「ああ、そうやってただの奥手の女じゃないってとこ。アピールしてるんでしょ。いないでしょ」
「います」
「名前だけでも。言ってみなさいよ」
「知らない」
「知らない?容姿は?性格は?」
「知らない」
「知らない誰かさんのことが好きなのか。日本はどこまで平和なんだろうね。あんたさあ。友達なくすよ」
「麗は大丈夫」
「まあね。あんたの面倒見てて楽しいと思うのは、私くらいのもんでしょ。男はまだ先の話か」
「ごめん」
「何、謝ってるの?意味わかんない」
「コーヒー飲んでいい」
「飲めばいいでしょ。あんたいくつなの。自分で飲みたい時に飲む」
「でもタイミング悪かったら・・・」
「それはあんたの個性」
「あっあいつ来た。何やってたんだろう」
「こんにちは。麗のおもりは大変でしょ?」




