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初恋  作者: ツナ川雨雪
1/31

好き

初恋 (ハツコイ)




               1




 生まれる。ひとたび、生まれる。何も持たない。持ってはいけない。


「あの時の男」


「あの時の男。気に入ってたものね。あんたのこと」


「何も思わない。思えない」


「関心なしか。写真に写ってる。その男かわいそう」


「そうかな」


「知らない。きれいな女ってみんなそうじゃない」


「そうなのかな」


「自覚してるんだ」


「してない」


「笑顔で、冷酷な行動するんだろうね。そうとも気づかず」


「そんなことない」


「なんて送ったの」


「楽しそうですね。笑顔が素敵です。って」


「まあ、そりゃそうか。あんたバカじゃないもんね」


「なんて書けばよかったの」


「知るわけないでしょ。私がその男に興味がないわけじゃないんだから」


「写真付ければよかったかな」


「むごい」


「その人と何の話したの?あの時」


「最後にした恋愛の話」


「あんたはなんて言ったの?」


「釣り合わなかった。って。わたし。ブスだから」


「あんたねえ。あたしの気持ち考えたことある。そりゃさ。あんたよりは不細工だけど。普通に黙ってても男が寄ってくるんだよ。私だって」


「知ってる」


「何を」


「あなたが私より経験豊富で、きれいだってこと」


「薄汚れてるとでも思ってるんでしょ。あんたもそのうちそうなるわよ。遅かれ早かれ」


「麗は薄汚れてなんかない」


「マジむかつく。あんたねえ。かっこいいと思う男いないの」


「いないわけじゃないけど」


「ああ、そうやってただの奥手の女じゃないってとこ。アピールしてるんでしょ。いないでしょ」


「います」


「名前だけでも。言ってみなさいよ」


「知らない」


「知らない?容姿は?性格は?」


「知らない」


「知らない誰かさんのことが好きなのか。日本はどこまで平和なんだろうね。あんたさあ。友達なくすよ」


「麗は大丈夫」


「まあね。あんたの面倒見てて楽しいと思うのは、私くらいのもんでしょ。男はまだ先の話か」


「ごめん」


「何、謝ってるの?意味わかんない」


「コーヒー飲んでいい」


「飲めばいいでしょ。あんたいくつなの。自分で飲みたい時に飲む」


「でもタイミング悪かったら・・・」


「それはあんたの個性」


「あっあいつ来た。何やってたんだろう」




「こんにちは。麗のおもりは大変でしょ?」




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