21/26
イスタンブール
恵まれたとは決して言えない大地に
奇跡の様に日を受けて茂るオリーブ
実がたわわに揺れている
オリーブの実をもぐのは楽しいでしょうねと
観光客は言って
現地の女達が苦笑いをしていた
高貴な人だけが口に入れる事を許された
貴重な蜂蜜の話
身体の不調がたちどころに良くなる
そんな魔法の蜂蜜なんだそうだ
いくらするんでしょうと
観光客は言って
現地の女達が苦笑いをしていた
洞窟に描かれた壁画
煙に涙を滲ませながら少ない材料で
沢山の想いを込めて描いたのだろう
のちに、ところどころ剥ぎ取られ
あれはマリア様だろうかと
観光客は言って
現地の女達はそこに居合わせなかった事を
マリア様に感謝するんだろう
茨の道のりを観光バスで行く
彼らが踏んだ道筋なんて見ない
少し面白くない
ケシの花が咲き乱れている
終点は雑多の街の海の音
混じり、分かち、流れゆく
イスタンブールは終点なだけです。




