第7話 夏
カーラたちの世界にも、夏が来ました。
ミミは日々強くなる日差しを見上げて、目を細めた。暑くなってくると、ミミはマントを羽織って弱く風魔法をかけて暑さをしのいでいる。元一流魔法使いの魔法のコントロールは今も健在だ。
「そろそろ、カーラのドレスも夏用にしてあげましょう」
ミミが作ったカーラの夏用ドレスはオレンジ色で、襟元と裾に少しレースがついていた。腰のところに大きなリボンがあって、カーラによく似あっていた。
暑さも寒さもカーラは感じないと言っていたが、夏用ドレスを作ってあげるととても喜んでくれたから、冬用のドレスまで作ってしまったミミである。
カーラを夏用ドレスに着替えさせてあげると、カーラはその場でくるくる回って軽やかなドレスの質感を楽しんで、
「ミミ、ありがとう!」
と言ってから、ちょっと上目遣いでミミを見た。
「明日、ミミと一緒に買い物に行きたいわ」
「いいわよ。ドレス、みんなに見てもらいましょうね」
と笑うと、カーラはちょっとはにかんで頷いた。
ミミのマントは、薄い水色で、裾の方に自ら青い色で刺繍したツタのような模様がある。カーラはそんなミミの肩に乗って、ご機嫌である。知り合いを見つけるとカーラは手を振ったり挨拶して、お出かけを楽しんでいた。
リアが運営していた孤児院の近くを通りかかると、孤児院の子と近所の子が遊んでいた。現在の孤児院はリアに面倒を見てもらった者たちの幾人かが運営していた。町の者たちも町の子と孤児院の子を分け隔てなく扱ってくれるので、子供たちはよく一緒に遊んでいる。
「カーラだ!」
町のガキ大将と言った子が、カーラを指さして大声を出した。カーラは微妙に胸を張って、
「どう?夏用のドレスなの」
と言うと、女の子たちは口々に「可愛い」とほめ、男の子たちは「変なの」と憎まれ口をたたいた。
「カーラ、この子たちと遊んでいく?」
「そうね、見つかっちゃったし。ここでミミが戻ってくるの待ってるわ」
と言うなり、カーラはふわりとミミの肩から地面に降りたった。スカートがめくれないように降り立つ姿は優美で、女の子たちはほうっとため息をついてみていたが、男の子たちはカーラと遊びたくて仕方がない様子だ。
ミミはカーラが子供たちと遊ぶのが好きなのを知っている。少々汚れても、魔法できれいにできるから問題はないが、注意をした。
「カーラのドレスを汚さないようにね。髪をひっぱったり、乱暴はダメよ?」
「分かってるよ!」
と、ガキ大将がそう言った。カーラはすでに女の子たちに囲まれていて、くるくる回ってドレスをひらりとさせて女の子たちに夏用ドレスを見せびらかしていた。
「いい子ね。じゃあ、カーラをよろしくね」
ミミは微笑んで買い物へ向かった。ミミが再び戻ってくると、カーラの風魔法で前髪が変な格好で立っているのに満足げな男の子たちと、女の子たちとのおままごとでお姫様を演じているカーラが、カーテシーを披露している姿に、ミミはまたほほ笑んだ。
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