第九星 報告
矢を放った後、私は体勢を戻して崩壊していく星喰雌龍を見ていた。
「……」
“星素分解”。星喰雌龍に起こっているのはそれだ。星侵獣は絶命するとその身体を崩壊させ、星素になる。私の“スターナイト・ジャッジメント”の詠唱にある通り、“無に還る”のだ。
「主スティラー!」
「…あ、ラン」
空間揺れでの音声伝達。…いや、念話でも地味に方向あるから分かるんだけども…声のした方向を向いて視力強化すると、ルシリールを片手で抱き寄せ、もう片手で箒を掴んでいるランの姿が見えた。少しするとラン達は私の前まで来て止まった。
「ご無事ですか、主スティラ!」
「うん、大丈夫。…ただ、流石に疲れたかなぁ……」
「……あぁ。そう、ですね……」
あ、ランも疲れた表情で呟いた。…まぁ、最初は偵察……狙撃ポイント決めるとかしたいだけだったもんね。
「……さて、と……ザニアのカウンターへの報告は明日に回すとして。…星間ギルド本部には報告しなきゃね。」
「そうですね……どうぞ」
ランの言葉に首から下げていた懐中時計を開く。
「……星界標準時、星暦25年6月20日19時41分。ザニア上空に出現した“上級空中超大型非増殖式星界侵略魔獣ドラギュート・フーリス・ジ・アスケラ”の討伐任務を完了。受注、及び討伐を成した流れ星は“スティラ”と“ラン”の2名。以上。」
「…………西暦もお願いします」
「はぁ……星界標準時、西暦2057年6月20日19時41分。ザニア上空に出現した“上級空中超大型非増殖式星界侵略魔獣ドラギュート・フーリス・ジ・アスケラ”の討伐任務を完了。受注、及び討伐を成した流れ星は“スティラ”と“ラン”の2名。以上。…これでいい?」
「はい、間違いなく記録しました。」
「………はぁ」
ため息をついた私にランが苦笑いした。
「…太陽系、帰らないとねー。絶対あいつらに捕まるよ……」
「あはは……呼び出しは免れないでしょうね…」
「うぅ……太陽と日本だけ行ってさっさと太陽系出たい……」
そう呟いているうちに“星素分解”が終了。次いで周囲の星素が一点に収束して2つの珠を作り出した。
「主スティラ、“強星侵獣星素圧縮”も終わったようですね。」
「そうね…」
膨大な力を持った星侵獣───星喰龍のような超大型や星の名を冠する星の刺客といった星侵獣は星素分解後に“強星侵獣星素圧縮”という現象を起こして珠を作り出す。ええと……
「……あ、“恒星隕侵星鉄”だ。」
恒星隕侵星鉄。とりあえず凄く硬い素材だと思ってもらえればいい。それ故に入手難易度はかなり高い。
「それでこっちは……“良”か」
もう1つの珠は“星侵獣心石”って言って…まぁ、ファンタジーとかでよくある魔物から採れる心臓とか肝とか…そんな感じのもの。
「“良”なだけいっか」
星侵獣心石は必ず1つ採れる。でも相手の強さによってその……なんて言ったらいいんだろ、品質?が変わる。
「……さ、ザニアに帰ろっか」
「はい、主スティラ。」
2つの珠を量子変換ポーチに入れて箒に腰かけるように乗る。操作はランに任せたままで私達はザニアに戻っていった。




