第115話 崩壊回避への道⑥
「これでよかったのか」
「他に方法があったか?」
「まあ無かったとは思うが。それでどうするつもりだ」
「クトゥルーよ、お前こそどうするつもりだ?」
「質問を質問で返すでない。まあよい、我はそうだな、今まで通りだ」
「今まで通り?」
「そうだ。生き残った人類に恐怖を与え、その恐怖を我が力として全ての人類を支配することとしよう」
クトゥルーの封印は既にない。星辰さえそろえばルルイエからも出ることが出来るだろう。
「まだ封印は生きているのだな」
「いや、封印はない。ただここからは出られないのだ。すでに旧神は無いというのにな。忌々しいことだ。それでナイアルラトホテップよ、お前はどうするのだ」
「我か。我は仕える主を失ってしまった。さてどうしたものか、とは思っている」
ナイアルラトホテップは心底迷っていた。何をどうすればいいのか、皆目見当が付かなかったのだ。
アザトースが健在であれば、その意思に沿って動くだけだった。それがエネルギーとしては残っているようだが存在としては消えてしまっている。
少なくともナイアルラトホテップには感知できなかった。
「では、今からどうするというのだ」
「とりあえず、今までの活動を継続する、というところか」
ナイアルラトホテップは様々な形態をとり人類の中で暗躍していた。
それを継続するということは、結局目的はアザトースの封印を解くことだったから、すでに目的としては破綻している。
ナイアルラトホテップとしては封印されていない。
今封印されているのはクトゥルーのみだ。
ただクトゥルーの封印はあとは星辰さえ揃えば自動的に解ける。
ナイアルラトホテップが何かの為に活動することは最早目的が皆無だった。
「まあ、好きにするがいい。とりあえずここからは出て行ってもらおうか」
クトゥルーの言葉にナイアルラトホテップはルルイエを後にするのだった。




