幕間 弘樹の日常
幕間です。
俺,こと永井弘樹は転生人だ。
転生人であれば生きていた世界があるはずだ。
今回はそんな日本での弘樹の生活を見ていこう。
◇
弘樹は見慣れた道を歩く。
そこは弘樹の通学路だ。まわりのは桜が舞っている。
今日は弘樹が高校二年生になる日。
つまり新入生が入ってくる日だ。
弘樹は不安半分期待半分だった。
弘樹は15分ほどかけて学校まで歩いていく。
もうすぐ学校に到着するという頃。
弘樹に話かかけてくる人がいた。
「よー,弘樹」
「おはよー」
連と夏だ。
「おう,おはよう」
そう挨拶を返した弘樹は二人と合流して登校する。
だが,学校とは目と鼻の先であり,三人で話せる時間は短い。
ちなみに三人は幼馴染である。
「なあ,なんで俺たちのことおいてったんだよ」
連が弘樹を責めるように言う。だが,表情からネタでやっているのは明白だ。もしかしたらからかいたいだけかもしれないが。
「そうだよ。というか最近はずっと置いていくじゃん」
そこに夏が便乗する。
弘樹が二人を置いていっているのは単純にこの二人は相思相愛であり,邪魔にならないためだが,まさかそれを言うことはできない。
弘樹は早くくっつけとおもいながら,
「すまんすまん」
と謝るのだった。
弘樹が周りを見ると,かなりの数の弘樹と同じ制服を着た学生がいる。このうちのいくらかは新入生だろう。
弘樹は朝早く来るなんて偉いなとおもいながら歩いていく。
弘樹は周りにいる人が何やら話していることに気づく。
もし連や夏の悪口だったらしばいてやろうと思いながら,周りの声に聴き耳を立てる。
「やば,かっこいい」
「ほれたかも」
「こうなったらハニートラップで・・・」
そんな声が聞こえてきた。
弘樹はひとまず悪口ではなかったことにほっとする。
そして何かを思いついたかのように連の方を向く。
「連,お前のこと噂されてるぞ。お前,人気だな,主に女子に。これは連を狙っている人多いんじゃないか」
そのとたん夏の顔が青ざめる。
そして小声で,
「頑張らなきゃ」
とつぶやくのだった。
ちなみにこの噂は全部弘樹に向けられたものである。もちろん連は気づいているので,苦笑いだ。
さらに言うと,新入生以外の学生の登校が早いのは弘樹を見るためであったりする。
まったく,罪な男だ。
◇
弘樹は昇降口の中にはいり,一つの掲示板を見る。
それはクラス分けを発表している紙。
弘樹はそれを興味深げに見る。
そこには,二年三組のところに弘樹,連,夏の字があった。
「やったね,今年も同じだ」
夏が騒ぐ。
連は少しめんどくさそうにしながら,
「そうだな」
とつぶやく。
「二人とも,今年もよろしくな」
弘樹はそういって歩く。二年三組は三階だ。そして,また二人が残された。
二人は急いで弘樹を追いかける。
後ろから聞こえる,弘樹と同じか同じじゃないかで阿鼻叫喚の昇降口を放って。
「おはよう」
弘樹はクラスに入るとみんなに挨拶をする。
「おはようー」
そんな声が返ってきた。
「はーい,HRを始めます」
クラス担任の石下がHRを始めた。
「まずはこのクラスの担任になった石下だ。よろしくな」
そして黒板に石下と大きく書く。
「じゃあ一年間よろしくな。これでHRは終わりだ。この後全校集会だから体育館に早く集まれよー」
そしてみんなが移動していく。
◇
「えー,君たちには廉価高校としての自覚をもってだな・・・」
◇
「それじゃあつまらない話も終わったことだし,自己紹介するぞ」
「先生がそんなこと言っちゃだめじゃないですかー?」
「いいんだよ。空は青いだろ。早速始めるぞ」
「はーい」
◇
一日も終わり,弘樹は帰ろうとする。
昇降口につくと,弘樹の靴箱に一つの手紙が入っているのを見つけた。
弘樹はそれを取り出す。
「なんだこれ」
中を見ると,
―今日放課後,学校裏に来てくださいー
とだけ書いてあった。
さすがにこれが書いてあったら弘樹でもこれから起こることがわかる。
「行ってこい,弘樹」
◇
「好きですぅ。付き合って下さい」
ここは学校裏。
弘樹は咲という女子に告白されていた。
「えっと,君は確か・・・」
「同じクラスの咲ですぅ」
「だよね」
弘樹はポリポリと頬をかく。
正直咲という女の子は可愛いが,付き合いたいかと言われると,わからない。
「なあ,俺たちお互いのこと何も知らないわけじゃないか。だから,いったん保留にしないか」
それを聞いた咲はすこし残念そうに,
「分かりましたぁ」
というのだった。
◇
次の日,学校はHRが多かった。
「クラス委員したい人いるかー」
「はい」
「じゃあ石原な。石原,同じ石として,頑張ろうな」
「それ,セクハラですよ」
◇
弘樹は今の日々に充実していた。
この平和な日々に。
だが,この生活は長続きしない。
そう,例の地震があるからである。
弘樹が転生するまで,あと一か月・・・。




