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042話 連たちと行動した件

 今俺は連と向かい合っていた。その雰囲気はまさに一騎打ちであった。


 そもそもこうなったのは連が一騎打ちをしようと誘ってきたからだ。俺はいい場所がおもいつかなかったのでギルドの闘技場を使うことにした。


 そして決闘が決まった後,俺は喫茶店で軽く昼ご飯を済ませ,冒険者ギルドに連たちといった。さっきジェネラルベアーを売りに行ったばかりだったので軽く驚かれたが俺は動じずに決闘場の使用許可をもらう。


 本来であればギルドの決闘場は私事には使えないのだが,そこは弘樹がAランク冒険者であるから特別に許可をもらった。連が勇者であるというのも効果があったのかも知れない。



 そして,俺たちが例にもれずらせん階段を降りる。


 どうやららせん階段はどこのギルドも一緒なんだな。ギルドと言えばカウラさんはいまどうしているんだろ。


 そして階段を降りるとそこにはベルセルクの闘技場などの比ではないほどに豪華な闘技場があった。

「これはすごいな」


 俺が思わずつぶやく。それもそのはず,その闘技場はまるでコロシアムだったのだ。戦う場所を取りかこむ円形の壁,高いところにある観客席,そして二つある入場門。どこをとってもまさに決闘場であった。


「さて,やろうか」

連がそういう。どうやらはしゃいでいたのは俺だけのようで,連はこのような豪華な物にはもう慣れているようだ。


 さすがは勇者,連か。だけどなんだか前までの優しい連がどっかに行ってしまったような感じがして悲しいな。


 俺はコロシアムの片側の入り口に行った。そこから中に入れるようだ。連はもう一つの方に行ってくれている。この動作を無言で行える当たり日本での仲の良さが現れている。他のメンバーはまた違う入口から観客席に進んだようだ。


 俺はコロシアムの中に入る。


 これはきれいだな。全部石畳だ。


 そして俺はバトルフィールドに入る。


 なんか,試合前の独特の緊張感があるな。それよりこの建物,相当豪華だな。


 俺は連と決闘することよりもこのコロシアムを使えることの方に喜んでいた。だがそれも向こう側からくる連の表情を見て思い改める。


 連は本気の顔をしていた。まさに決闘の戦士。


 これは俺も本気で行かないと失礼に当たるな。連のためにも頑張ろう。

  

 そして連と弘樹が向かい合った。

「弘樹,本気でこいよ。情けは不要だ」

「そっちこそ。親友だからって手加減すんなよ」

連はふっと笑った。俺もそれにつられて笑う。そして二人同時に

「「当たり前だ」」

というのであった。



 連は俺から少し離れる。そして腰にさしていた剣を抜いた。シュンと心地いい音がなる。


 俺も移動する。こういう闘技場のルールってあんまりわからないんだよな。でもここは見様見真似で頑張ろう。


 弘樹も少し離れた。そして日本にいたころの柔道の構えを取る。


 やっぱり剣はかっこいいな。でも俺の技もかっこいいはずだ。そんなことを考えていた俺に連が話しかけてきた。

「弘樹,勝利条件はどうする」

「任せる」

「どちらかが降参,又は戦闘不能と思われた時だ。審判は,俺とお前の関係だから要らないだろう。それでどうだ」

「分かった」

そういうと弘樹は気合を再度入れた。


「弘樹,始めるぞ」

「ああ」

「それでは,初め」


 始まった瞬間,連は光魔法を発動し,連の周りに光の矢がいくつも発生する。だが弘樹も負けじと炎を発射する。その炎は魔法でも何でもないただの炎だった。だが連は嫌な予感がしてその炎を避ける。そしてその判断は正しかった。


 連が炎が通った場所を見ると地面がえぐれている。この決闘上の地面は石だったはずだが,今はその下にある土がみえてしまっている。それはひとえに弘樹の火力を物語っていた。

「これはやべぇな」

そういうと連は走り出した。

「遠距離なら俺はたぶん勝てないな。だが近距離ならどうだ」

そういうと連は弘樹にむかって剣を振り下ろす。

 

 連,その攻撃は甘いよ。JKが食べるパンケーキより甘い。


 そして俺はよける。そのため連の剣もただ空を切るだけとなった。そして俺はカウンターパンチをする。それは炎も何も載っていないただのパンチ。

 

 ち。俺,無意識に威力を抑えている。相手が人間だからか。これじゃあ連に失礼かな。


 だがこの手加減がなければ連の命はなかっただろう。なにせ弘樹の攻撃力は45万で連の物理防御力は110なのだから。


 だが手加減したと言っても元の値が高いので弘樹のパンチを食らった連は一気にコロシアムの端まで吹っ飛んでしまう。そしてそこに弘樹が炎魔法をうつ準備をする。

「これで,とどめだ」

そう言って弘樹が使おうとしたのはファイアボールだ。だがそれは本当にファイアボールなのかと疑うくらいの熱量を誇っていた。それもそのはず。この世界では魔法の威力は込める魔力で決まるからだ。


 そして弘樹がその魔法を放とうとしたとき,

「こ,降参だ」

と,連から聞こえてくるのだった。これが弘樹が勇者最強に勝ってしまった瞬間だった。





 ふう,何とか勝てたな。ただかなり手加減してもらっていたな。まあ,そういう俺もかなり手加減してしまったのでお互いさまにしようか。

(連君は手加減してない気がするんですけど⋯⋯)

ん? そんなわけないじゃないか。だって勇者だぞ。勇者があんなに弱かったら誰が魔王倒すんだよ。

(まあいいですけど)

あれ,なんかシーに呆れられた? まあいいや。それより今は連の様子だよ。


 そう言って俺は連のほうを見る。そこには立夏に治療してもらっている連の姿があった。連は俺に降伏宣言をした後気絶してしまったのだ。大丈夫かな。


 俺は連が回復されるのをじっと見ている。連のけがの具合はかなりひどく,全身骨折をしていた。だがさすが異世界の魔法だ。立夏が全力で魔法を使うとどんどん良くなっていき,数分するうちに目立った外傷はなくなっていた。


 そして回復してから少し経ったころ,連が目覚めた。良かった。


「やっと治ったか」

俺がそう声をかける。

「ああ。でもお前あんなに強かったんだな」

「ああ。なんせ俺は最強だからな」

そう言って俺は思いっ切り笑った。


 全く,迷惑かけさせやがって。





 場所は変わって最初に連と話した喫茶店にて。俺は今後につてはなしていた。


「なあ,弘樹,これからどうするんだ。もしよかったら俺たちとパーティー組まないか」

パーティーか。いいかもしれないな。今までずっとソロでやってきたから誰かと一緒に戦えるのはうれしい。

(弘樹⋯⋯。私がいるのに。私も一緒に戦ったのに⋯⋯)

あ,ごめんって。シー以外にってことだよ。でももしパーティーをくんだらシーと一緒に戦えないのか。それは嫌だな。

(では一時的に組んでみたらどうですか)

そうか,その案があったな。


「連,一時的に組もう。俺は今までソロだったからパーティーがどういう物かわからないんだ。だからもし一時的にでいいんだったら組みたいな」

それを聞いた連は少し驚いているようだった。もしかして俺が今までソロだったことに驚いているのかな。そうだもんな。俺は日本にいたころはいっつも誰かといっしょにいたもんな。



 こうして俺と連の一時的とはいえ共闘がきまった。


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