041話 勇者と合流してしまった件
これより第三章です。
少年は大きなくまの前に立っていた。傍から見れば少年が熊の圧にやられて全く動けなくなっているかのようだ。だが現実は全く違った。
その熊,ジェネラルベアーが少年,弘樹の圧にやられていたのだ。弘樹は一歩前に進む。それに合わせてジェネラルベアーも一歩後退する。そして全力で逃げ出していった。
「ちっ。にがさねえぇ」
俺がそういうとジェネラルベアーの前に弘樹が出現する。正確には俺の分身体,シーが化けたものであるが。
その分身体を見たジェネラルベアーが急に止まる。そして意を決したのか俺と戦う決意を決める。だがもう遅い。ジェネラルベアーがふと視線を視線を下す。そこには大きく穴の開いた自分の腹があった。
「グァァ」
そんな叫び声とともにジェネラルベアーは絶命した。
「ふー,任務完了だな」
「弘樹,今の戦闘だと私たちの方が悪役になってませんか?」
「⋯⋯」
◇
今ここは俺はがこのエンラで冒険者を始めてからおよそ三か月がたったころである。その間,俺はずっと冒険者として働いており,俺の冒険者ランクは先日Aに上がったのである。そして今日はそのAランクとして初めての依頼,ジェネラルベアー討伐戦で合った。
本来ジェネラルベアーは,人間が立ちむかっていい魔物ではないがそこは弘樹だということで割愛しよう。
そしてこの三か月の成果として,俺は人間での戦闘が圧倒的に強くなったのである。特にレベル等は上がっていないが,俺は確実に強くなった。いうならば技術が付いたとでもいうべきなのだろうか。魔物との
そして俺はジェネラルベアーをシーの出してくれた亜空間に入れると町へと歩き出す。どうやら今回の任務は終わったようだ。
◇
「弘樹,そろそろ」
シーがそういうと俺はシーを妖精からスキルモードにする。それは町のみんなには見せないためだ。今まで俺はこの妖精の存在はみんなに隠している。
もちろん魔力などから感知する地竜王もいるにはいるが今のところ弘樹は大々的に公表する気はない。自分の行動に支障が出るし,何よりシーの身が安全ではなくなる可能性があるからだ。
そしてシーは亜空間からジェネラルベアーを取り出す。これも無用な争いを防ぐためだ。亜空間はかなりの魔法使いでないとつかえないので俺
が使えると分かれば余計な火種になるだろう。そう考えて人前では使わないようにしている。
ちなみにシーはスキルになっていても独自で魔法が使えるので亜空間は常に発生させている。もちろん周りからは見えないようになっているが,その中には俺が食べきれないほどの食料,水など日用品がこれでもかというくらいに入っている。
「さて,行きますか」
あれ,このジェネラルベアー,うまく持ち運べないな。大きすぎる。どうしよう。
「そうだ,こんな時は⋯⋯」
そう言って俺はジェネラルベアーを被った。ちょうど俺が開けた穴があったのでそこから首を突っ込むとちょうどよくかぶれたのである。
これはなかなか楽だな。
だがこの時の俺はまだこのせいであんなことになるなんて知る由もないのであった。
◇
俺は町にむかって歩く。町はもうすぐそこまで来ている。
「さて,今日の晩御飯は何にしよう」
(弘樹,それを言うなら昼では? 今は11時くらいですよ)
「そっか」
そんなことを考えながら弘樹が歩いていると,ふと町の方が騒がしいとこに気づいた。
ん? なんかあったのかな。
(どっかで火事じゃないですか。ほら弘樹の言っていた江戸なる町でも火事は毎日あったんでしょ)
盛ってる気もするけどね。でも火事か。じゃあ俺の出番はないな。
そして俺はどんどん進んでいく。だだふと誰かが近づいてきている気がした。そしてその予感は大当たりであった。
そして数人の騎士が俺に話しかける。
「と,止まれ化け物め」
「ち,魔法部隊が到着するまで俺たちはこいつを足止めするぞ」
「でもできるのか,ジェネラルベアーなんて」
ん? このあたりのジェネラルベアー? それは大変だ。
ちなみに言うと弘樹にはジェネラルベアーの死骸のせいで周りが見えていない。
そして騎士が俺に切りかかる。
「やぁぁぁぁ」
はっ。この気配は何か斬撃が来る。これは⋯⋯ジェネラルベアーのだな。
俺はその斬撃を避ける。そして周りを感知する。
この気配は,1,2,3体か。こんなにもジェネラルベアーが発生するなんて。
いうまでもなく騎士である。だが騎士にしてみれば恐ろしいわけで,
「ひぃぃぃ。よ,避けられた」
「お,俺たち終わりだァ」
「ここで死ぬんだ。かあちゃぁぁん」
号泣し始めた。これには弘樹も驚いてしまう。
騎士を,忠義に厚い騎士をこんなにも泣かすなんて,なんてやつらだ。
何を言っても元凶は弘樹である。
だがそこに勇ましい声が聞こえる。
「大丈夫ですか,騎士さん方。ここは俺たちに任せてください」
「そうよ。たかが熊なんて一瞬で腹に穴をあけてやるわ」
「いや,お前ヒーラーだよ」
「細かいことはいいの」
「デース」
連たちである。だが目を隠されている弘樹は何かが近づいているということしかわからない。だが声は届くわけで,俺は実は困惑していた。
あれ,この声どこかで⋯⋯。
だがそんな考える時間など与えないと言わんばかりに魔法が飛んでくる。
「くらいなさいファイアレイン」
「俺も行くぜ,サンダー」
火と雷の魔法が一直線に弘樹に飛んでいく。だがその攻撃は俺が放った炎の壁によって消されてしまった。
あ,あぶねぇ。でもまさかこのファイアウォール,使う日が来るとはな。
そして俺は反撃をする。だが俺の後ろから刺客が迫っていた。連とボブである。
「ハ――――」
「デーーース」
かけ声とともに剣と鉄パイプが振り下ろされる。
(なにっ)
俺はそれを寸前のところで回避する。そして振り返りながら攻撃しようとする。そしてその回転で俺のかぶっていたジェネラルベアーがずり落ちる。
ーーーーーは?
戦場に無音が響き渡った。
◇
俺と連たちは今町にある喫茶店にいた。そこには机を間に挟んで俺と連たちが向かい合って座っていた。ちなみに俺の持っていたジェネラルベアーは既にギルドに持って行ってありここにはない。受付譲さんがかなり驚いていたがそこは置いておいていいだろう。
そして連たちはまだ腰に剣やつえをつけている。どうやら置きに行く時間はなかったようだ。
「で,何があったんだ,弘樹」
「えっと,それは俺のセリフじゃないかな」
「まず,弘樹はこの世界にどうやって来たんだ」
「えと,俺はこの世界に転生? してきたと思うんだけど」
「転生? なんだそれは」
「だから転生だよ。正直俺もよくわかってないけど」
「ふーん」
「で,連たちはどうしてここにいるんだよ」
「ん? 俺たちか。俺たちは国に召喚されたんだよ」
「召喚?」
「そうだ。この国のために召喚されたんだ。ラノベにもあるだろう」
「ほー」
(弘樹,連と立夏という少女のステータスが鑑定できました)
さすがだ。早速表示してくれ。
連
種族:人間種
Lv35
HP1250
MP50
攻撃力120
物理防御力110
魔法防御力95
素早さ40
スキル
光魔法初級Lv3
剣術初級Lv8
指揮初級Lv7
立夏
種族:人間種
Lv30
HP800
MP200
攻撃力30
物理防御力60
魔法防御力170
素早さ70
ほう,これは⋯⋯。
(弘樹,正直に言うと雑魚です。こいつらは本当に勇者なのでしょうか)
いや,待て。これはきっと偽装のスキルだ。そのスキルを使ってステータスやスキルをごまかしているんだ。
(な,なるほど。そう考えれば納得がいきますね)
他のメンバーはどうなんだ。
(数値上を見れば今表示した二人が一番高いですね)
なるほど。全員偽装スキルもちか。
(ですね。これは脅威になり得ます)
ここで考え事をしていた俺に陽太が話しかける。
「な,なあ弘樹。俺たちのこと分かるか」
「ん? ああ,陽太だろ。分かるも何もよく話したじゃないか」
「それもそうだが,やっぱり怖いんだよ。弘樹が忘れてそうで」
「そんなことはないぞ」
「じゃあ私も分かる?」
「ああ。舞子だろ。ていうかみんなわかるぞ。元クラスメイトだからな」
そういうとみんなはあからさまにほっとしたようだ。
「少しいいか,弘樹」
「なんだ?」
「お前,冒険者をやっているんだな」
「そうだが」
「それでジェネラルベアーを単独で倒したんだよな」
「そうだな」
「じゃあ,単刀直入に言う。俺たちと一緒に行動しないか?」
「回答の前にいっこ聞いてもいいか」
「ああ」
「お前らは今何をしているんだ」
「そうか。俺たちは今強くなるために特訓してる」
「特訓か。具体的には?」
「魔窟の攻略だ」
「なるほど,なるほど」
「そういう弘樹はどうなんだ」
「俺か? 俺も強くなろうと頑張っているが魔窟にはいってないな。冒険者として働いている」
「そうか。じゃあ,俺と決闘しないか」
「!!」
「俺は自分で言うのもなんだがかなり強くなっていると思う。だからこそ今のお前とどのくらい違うのかが見たい」
「いや,俺の方が絶対弱いと思うから戦いになんないでしょ」
「忘れたのか,弘樹。さっきお前がジェネラルベアーをかぶっていた時俺たちと戦っただろ。その時に俺は直感したんだ。お前,強いだろ」
「うっ」
(弘樹,これは戦った方がいいかもしれません。戦えば連君の強さも分かるでしょう)
仕方ない。戦うか。
「分かったよ。戦おう」
こうして俺と連の決闘が決まった。




