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最弱の竜は最強の竜狩りと恋をする  作者: しき
第三章 竜と竜狩り
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3-8.竜狩り昇格試験初日

 翌朝、竜狩り昇格試験の初日だった。クリフはシヅルが部屋に来てから出発した。


「じゃあ行ってくる。シヅル、後は任せた」

「分かりましました。行ってらっしゃいませー」

「頑張って来てね!」


 ロロの声援を受けてクリフは部屋から出た。前日の記憶を頼りに、クリフは戦士団総本部に向かう。朝でも通行人の数は多く、人混みに慣れていないクリフは何度も人とぶつかることとなった。ようやく本部に着くと、同じような受験者が本部に入っていく姿が見られた。名前も知らない相手なのに仲間意識を持ってしまった。彼らに続いて、クリフも本部へと入った。

 本部の中は、アーデミーロの詰所よりも格段と広かった。受付が七つもあり、奥に見える職員の仕事場もアーデミーロの三倍くらいの広さがある。戦士たちの待合所も同様に広く、席も多い。さらに酒場だけではなく食事処としても充実しているようで、待合所に座る戦士たちのテーブルには、様々な種類の料理が並べられてあった。さすが本部だなと、クリフは感嘆した。


「おいクリフ。こっちだ」


 受付の方にガリックの姿を見つける。デジャブを感じつつ、ガリックの下に向かった。


「今日は早かったな」

「待ちに待った日だからな」

「気が逸ったか?」

「そんなとこだ」


 今回の昇格試験で竜狩りになれると思うと気が高ぶってしまう。早く来てしまったのもそのせいだ。

 クリフは試験の受付を済ませると試験会場の案内を受ける。試験は三項目ある。筆記と実技、面接、そして実践だ。初日の筆記試験と二日目の実技試験、三日目の面接試験が一次試験になっており、これに合格することで最終日の実践試験に進むことが出来る。一次試験の結果は四日目に発表され、ここで受験者の九割が落とされる。

 筆記試験は本部の二階で行われる。クリフは早速二階に上って会場に向かう。


 二階は長い廊下の左右にいくつもの扉がある。近くの扉には「第一会議室」と書かれていることから、普段は会議用に使われていることが容易にうかがえた。クリフが案内されたのは第三会議室だ。

 少し歩くと目的の第三会議室に着く。一度深呼吸をしてから扉を開ける。縦十列横三列で長机が並べられており、クリフよりも早く会場に来ていた数名がすでに座っていた。クリフは部屋を歩き、机に置かれた札を見ていく。札には受験者の名前が書かれており、そこが各受験者の席になっている。クリフは廊下側の前から三列目の机に自分の名前が書かれた名札を見つけた。その席に座ると、クリフは今一度部屋の中を見渡した。


 受験者の顔つきは様々だった。緊張していたり、リラックスしていたり、厳しい眼で本を読んでいたりしている。それぞれが様々な想いを抱いて竜狩りになろうとしている。だが竜狩りになれる者は、受験者数の一割にも満たない。竜狩り確実と言われているクリフも落ちる可能性は十分ある。だというのに、クリフの心は乱れていなかった。

 少々気が高ぶっており、緊張もしている。しかし心の平穏を乱す程ではない。むしろ最高の仕事が出来る時と同じ状態だった。待望の試験だというのに、過度な緊張も興奮をしていない、絶好の体調だった。

 今日は最高の自分を出せそうだ。自然とクリフはそう思えた。



 ***



「試験終了十分前」


 試験管ブルートは受験者が聞き間違えないようにはっきりと、集中を乱さないように静かに言った。

 筆記試験の科目は三つ。午前は兵器の使用方法や緊急事態の対応等の戦士としての基本を身に着けるための『戦士基礎学』、午後はモンスターや竜との戦闘における個人・複数人での戦術を学ぶための『戦術学』、そしてモンスターや竜のみならず、自然環境を学ぶための『生態学』である。

 どの科目も難問が出されるため、しっかりと準備してこなかった者は容赦なく振るい落とされる。しかも今年は過去最高の難易度だ。噂によると、誰にも解けないであろうと用意した問題が解かれ、しかもそれが自分よりも遥かに年下である十代の少女であったことに腹立たせて、さらに問題を難しくしたという話だ。その科目は生態学。ちょうど今、受験者たちが取り掛かっている科目だ。


 受験者たちの多くが問題を前にしてペンを止まらせている。他の科目は過去の難易度と大差ない。受験者の想定内の難易度だろう。おそらく最後の科目も同様だと思ったはずだ。そんな油断し切ったところに、過去最高の難易度の問題が現れたのだ。試験開始直後、多くの受験者の表情が曇っていたのをブルートは見ていた。疲れ切ったところに例年よりも遥かに難易度の高い問題が出されたのだ。正直、同情せざるを得ない。

 受験者たちは苦しい顔を見せながらもペンを走らせる。ブルートは長机を間を歩きながら彼らの様子を見る。前の二科目を早々に解き終えた彼らでも、今回は終了十分前だというのに最後の問題に辿り着いていない。それでも彼らは必死な形相で回答に注力する。ブルートは心の中で彼らを応援した。


 そうして歩き回っていたブルートだが、ある受験者の横で足を止めた。受験者たちのなかで比較的大きい身体である青年だ。あまり頭が良さそうに見えなかったが、前の二科目ではペンを止めることなく動かして回答する様子を見て評価を変えていた。とても優秀な戦士であると。

 彼はどこまで解けているのかと、ブルートは気になった。ペンを止めるか、足掻いて最後の問題で心を折るか。ブルートは彼の回答用紙を見た。だが彼は、ブルートの予想を裏切っていた。

 彼は最後の問題を解き終えようとしていた。


 難問が多い生態学の中でも一際難問である最終問題。現役の竜狩りでも苦戦する程の超難問である。それを制限時間付きで、しかも他の難問を解いて疲れ切った頭で解こうとしている。ブルートは驚いて声が出そうになった。

 ブルートは机の名札を確認する。名前はクリフ。所属戦士団はアーデミーロ。最年少記録、最短記録を持ち、前回の最難易度の問題を解いた竜狩りのレイが居る町だ。またあの町の戦士が解くのか。ブルートは心を躍らせた。


 クリフの手は止まらない。正しい回答を書き続ける。彼の身体から熱を感じ、ブルートの頬に汗が伝う。この熱はなんだ? どこからそんなエネルギーが湧いて来る? ブルートはクリフから目を離せなかった。


 そして、


「ふーっ……」


 クリフはペンを置いていた。最後まで解き切った彼は、表情を変えずに長い息を吐く。最後の問題が終えたというのに、彼は気を緩ませていない。身の毛がよだつ表情だった。これでまだ平戦士だというのか。


 ブルートは彼に気取られる前にその場から離れた。そして「ああいうのが竜狩りになるのだな」としみじみと思っていた。



 ***



「残り三分だ! 最後まで走れ!」


 試験二日目の実技試験は、一科目を除いて戦士団管理の訓練場で行われた。試験管のミランダは、試験中の戦士たちに聞こえるように大声で言った。


 実技試験の科目は四つ。各々の戦闘力を見極めるための『戦闘技術』、暴漢やモンスターから一般人を守るための『護衛術』、生態調査や竜の探索のために必要な『調査技術』、そして体力を計る『障害物持久走』だ。調査技術は近場の森で行われているが、それ以外はアズルダ内にあるこの訓練場で行われているため、試験管は三科目の結果をすぐに知ることが出来た。

 今ミランダは、障害物持久走の試験を監視している。訓練場内に用意された障害物の周回コースを十五分間走り、その周回数で評価を決める試験だ。一周五百メートルのコースに五十個の障害物が設置されている。地面が荒れた山道や荒野を想定したコースだが、突破するだけなら誰でもできる。しかし何周も走り続けると疲労が蓄積し、残り時間が少なくなるとこける者が出てくる。ちなみにこけた場合はその時点での周回数が評価点になる。だからといって、こけるのを恐れて歩くこともできないのがこの試験の過酷なところだ。


 多くの試験科目では、試験を終えても自分の評価が分からない。そのためどんな動きが評価につながるのかという情報が得られない。だから各々は、自分たちにとって最善の手法で挑んで結果を祈るしかない。しかし、この試験は別だ。自分が何周したかという情報が得られる。そのため過去の合格者が何周走ったかを知ったうえで、それを目安にして挑むことができる。故にその周回数に達していれば最後は楽を出来るが、そうじゃ無ければ走り続けるしかないのだ。

 今回の試験では、十七周が目安とされている。例年通りの受験者の実力なら、例外なく走り切れるだろう。コースがいつも通りの難易度ならば、だ。


「ふふふ、必死に走っているなぁ」


 ミランダの背後から嬉しそうに笑う声が聞こえた。この障害物持久走のコース製作者、ホゼだ。


「汗水垂らして、ふらついて、歯を食いしばって前に進もうとしている。いやぁ、良い光景だ。そうは思わないかね、ミランダちゃん」

「監督中なので話しかけないでください。あとちゃん付けはやめてください」

「つれないなぁ。やっと仕事を終えて会いに来たというのに」

「見に来たの間違いですよね」

「……ふふ、その通りだよ。予想通りの光景が見れて、僕は満足だ」


 ホゼはニヤニヤと笑いながらコースを走る受験者を見る。目の前を受験者が通る度に、彼の顔が醜く笑う。


「あぁ、良い景色だ。今回は愉快な結果になりそうだなぁ」


 ホゼは苦しむ人の顔を見るのが好きな変態で、かつ人の限界を見極めるのが得意な講師である。性格には難があるが、その人を見る目が評価されてコースの製作者として選ばれている。


 前回、ホゼは例年よりも有望株が多いという話を聞いて、とっておきのコースを用意していた。多くの戦士は目安とされていた周回数を走り切れることは出来ず、走り切れてもギリギリのものがほとんどだった。ホゼは彼らの顔を見て喜びに満ちていた。

 だが一人の戦士が表情を変えず、それどころか汗一つもかかずに目安の周回数の倍以上の四十三周を走り終えた姿を見て、彼は悲しみにくれた。大の大人が人目を憚らずに泣き叫び、三日三晩寝込んだ。どこまでショックなんだと、ミランダはドン引きした。四日目になって復帰すると、「もう二度と、あんな奴は見たくない!」と前にもましてコース製作に精を入れた。そうしてできたコースが今回の試験に使われていた。


「で、現在までの周回数はどんな感じぃ?」


 ミランダは感情を押し殺しながら淡々と告げる。


「現在は四組目、最終組です。三組目までで目安の十七周を超えている者は、各組で五人前後しかいません。最高が十九周です」

「ふふふ、十九ねぇ。ギリギリっぽいなぁ。で、四組目は?」

「他の科目を終えた後もあって、現時点で超えているのは一名です。終了までに超えそうなのはあと二人で、他よりも少なくなりそうですね」

「そうかそうか。ま、最終組だから仕方ないね。で、その子は何周目?」

「三十九です」

「………………え?」

「三十九周、あ、今ので四十周です」


 目の前を通り過ぎた青年を見て、ミランダは周回数を増やした。ホゼは呆けた顔で彼の背中を見ている。


「は、え、え、さんじゅ、え、よんじゅう?」

「はい。四十周です」

「…………えぇ?!」


 ホゼは目を丸くしてミランダを見る。


「ホントに言ってんのか?! 嘘じゃないのか?!」

「本当です。他の試験管にも聞いてみますか?」


 この試験では周回数に間違いが出ないよう、複数人が試験管を務めている。ミランダの他にも三名いた。彼らの手元には、各受験者の周回数を記録した紙がある。

 ホゼは頭を抱えながらぶつぶつと呟いている。


「うそだうそだうそだ……そんなに走れるわけがない。きっと無理して、そう、無理してるに違いない」


 走っている青年の姿をホゼは見る。青年の表情に苦痛の色は見られない。しかも汗すらかいていなかった。前回、ホゼを寝込ませた戦士と同じだった。


「なんで? なんでだ? どうしてこんなことに……」

「ちなみに彼の名はクリフ。アーデミーロの戦士のようです。あ、偶然にも同じとこに所属してますね。あのレイと」


 何かが切れたかのように、ホゼはその場に膝を着ける。どうやら今のが致命傷になったらしい。以前から彼の事が嫌いだったので、止めを刺せてせいせいとした。

 ミランダは気分を良くして笛を握る。そろそろ制限時間だ。


「いやぁーーーーーー!」


 前回同様、ホゼが泣き叫ぶ。笛を鳴らしたいので、早く黙って欲しかった。



 ***



「し、失礼しました」


 受験者の退室を見届けると、試験管マルコは溜め息を吐いた。手元にある受験者別の評価表に評価点を記す。十点満点中の三点。竜狩りになるには低すぎる評価だ。

 面接では受験者の三つの資質を見極める。対人能力、対応力、人格の三つだ。これらの資質が優れていなければ竜狩りには相応しいとは言えない。たとえ今までの項目で優れた結果を収めていてもだ。


「マルコさん、ちょっと厳しすぎません?」


 試験管の一人ギルがマルコを戒める。マルコはふんと鼻を鳴らした。


「どこがだ。あんな質問に答えられないようでは竜狩りに相応しいとはいえん」

「いや質問は良いですよ。問題はその後です。詰ったりするのはダメですよ」


 先程、マルコは受験者に質問をした。「家族と一般市民の両方が襲われたとき、あなたはどちらを助けますか?」と。その質問に受験者は、数秒迷ってから「市民です」と答えた。マルコはそこを突いた。


「お前は自分を産んで育ててくれた親を見捨てるのか?」


 五秒程、マルコは返答を待った。しかし彼は言い淀むだけで、ちゃんとした回答をしなかった。だからマルコは彼に告げた。


「君みたいな人の想いを踏みにじる人間には、竜狩りになる資格は無い」


 その後、受験者は元気を失って、他の試験官の質問にもちゃんと答えることが出来なかった。その原因となったマルコだが、一連の発言を後悔してなかった。


「あの程度の罵詈雑言でへこむ方がダメだ。言い返すくらいの気骨が無ければ竜狩りの仕事に耐えられない。竜狩りは強く無ければならないのだ」

「けどあんなこと言われて動揺しない人なんていませんよ。これだから受験者いびりのマルコって言われるんですよ」

「そんなつもりはない。それに今までにも骨のある受験者も居た。前回もな。たしかあれは―――」


 ドアをノックする音が聞こえた。マルコは口を閉じて試験に切り替える。ギルが「どうぞ」と促すと、扉の向こうにいる受験者は「失礼します」と言って入室する。

 入ってきたのは、なかなか大きな男だった。顔は若干厳ついが、何千人もの戦士の顔を見て来たマルコは怖気づかない。むしろ好感を持っていた。良い顔をしている。この顔は戦える人間の顔だ。


 マルコを除いた試験管が次々と質問をする。彼は慌てず、落ち着いて答えている。しかも姿勢は正しく、声も良い。マルコ好みの戦士だった。

 だがマルコは、己の役割を忘れてはいない。好みの戦士であっても、竜狩りの戦士に相応しいかは別だ。それを見極めるために、マルコは質問を投げかけた。


「君は黒竜と対峙したことがあるか?」

「あります。今までで六回遭遇しました。戦ったのは二回です」

「残りの四回は何をしてた?」

「すぐに戦士団に報告し、竜狩りが来るまで町に待機していました」

「黒竜と戦う気概は無かったのか? そんなのでよく竜狩りになる気になれたな」

「戦士の役目は市民の安全を守ることです。当時の私には力が足りなかったため、竜狩りの戦士を待つしかありませんでした。それでも町に来た時は戦うつもりでした」

「口だけなら何とでも言える。黒竜は我々の都合を気にしない。今襲ってくることも有り得る。そのとき、竜狩りでない君はどうする気だ?」

「何でもします。住民の避難、兵器での攻撃、竜狩りの支援はもちろん、私が直接戦うこともやぶさかではありません。私の戦歴を見てもらえれば今の言葉が嘘でないことが分かります。一ヶ月前のフェーデルで、私は皆の支援を受けながら黒竜と戦いました」


 マルコは手元にある資料を読んだ。資料には受験者の実績が記されている。彼の言った通り、彼は黒竜と直接戦っている。しかも竜狩りの戦士を倒した黒竜とだ。実力は本物のようだ。マルコはますます彼の事が気に入った。


「なるほど。確かに君はそれなりの力を持っているようだ。しかし、それだけではないか?」


 資料には気になる内容が書かれてあった。マルコはそれを訊ねることにした。


「君は昇格試験の前に、認定試験を受けたようだね。過去の合格者の中にも、戦士になって短期間の者が受験したことがあるが、彼らは認定試験を受けていない。つまり彼らは竜狩りとして相応しい素質を持っていたということだ。では、君はどうだ? 君は上層部に何らかの不安を抱かれたことで、認定試験を受けることになった。それについてはどう思うのかな?」


 一呼吸おいて、彼は答えた。


「それは私が未熟だったからです」

「ほぅ。未熟とな」

「はい。私が認定試験を受けることとなったのは、竜狩りに相応しくない戦士だと思われていたからです。当初は憤りを抱きましたが、今では必要だったことだと感じています。私はまだ子供で、竜狩りたちのような人格を持ち合わせていませんでした。それを危惧したために、私に認定試験を受けさせたのだと思います」

「なるほど。では認定試験に合格した君はその欠点を克服してるということかな?」

「はい」


 自身に溢れた声だった。マルコはさらに深く掘り下げる。


「それは自惚れではないか? たった一度の試験で欠点が無くなったなんて、私にはそう思えない。君の上司が情けをかけて合格させたのではないのかな?」

「……私は、仲間を信じられない戦士でした」


 彼は声の調子を変えずに続けた。


「任務の時、共に組む戦士たちを見下し、蔑ろにすることが多々ありました。信じられるのは自分自身と僅かな優秀な戦士だけでした。それでも十分な成果を上げられてきたので、これで良いと思っていました。……しかし、一つの出会いが私を変えました」

「ほぅ」

「彼女は他人との繋がりを大事にしている人でした。他人の幸せのために尽くし、自分すらも犠牲にするような性格です。最初こそ彼女の事が分からなかった私ですが、いつの間にかそれがとても大事なものだと思えるようになったのです」

「君の欠点を彼女が克服してくれたということかな?」

「少し違います。私は彼女を見て、そうありたいと思ったから動いたのです。この欠点に関して、彼女は何もしていません」

「つまり君自身が自発的に変わったということかな」

「はい。ですが、慢心するつもりはありません。私自身、まだまだ未熟な点があります。今後も先達の戦士を見習い、精進していく所存です」

「……なるほど」


 マルコはギルと他の試験官に視線を送る。彼らはその意図を汲み取って頷いた。


「それでは面接は終了します。お気をつけてお帰り下さい」

「はい。ありがとうございました」


 彼は席を立ち、「失礼しました」と言って退室する。扉が閉まると、そこでようやくマルコは笑った。


「良い戦士だな」


 マルコは前回の試験を思い出した。彼の姿を前回マルコが感心した戦士に重ねていた。

 ふと気になって、彼の経歴を再確認する。彼の所属を見て納得した。


「あのレイと同じアーデミーロの戦士、クリフか。道理で素晴らしいはずだ」


 マルコのお気に入りに、また一人の戦士が加わった。


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