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【1万PV感謝】レベル5デスの使いどころがありません!  作者: 角乃とうふ


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第28話 カックスって、ネーミングが秀逸だと思うの

 結局、その日は2人、夕方まで飲んだくれた。悪魔の肝臓はハイスペックらしく、飲んでも飲んでも悪酔いしない。でも、酔っぱらって気持ち良い感覚はちゃんとある。悪魔に転生して初めて良かったと思った。いいね! 悪魔。対するメグミーヌもザルだった。ただし、なかなかに酒グセが悪い。過去の失恋話を延々と語りだした挙げ句、同意を求めてくる。典型的な絡み酒である。


「……というわけなのよ! ひどくない⁉」

「それは、ひどいですね! あんまりだ!」


 適当に相槌を打ってはいるが、途中から話はまともに聞いていない。いつになったら終わるんだ、この生産性のない話。しかし、酒は美味いな。確かにいい酒を揃えている。ウイスキーに切り替えたオレは、舐めるようにその味を確かめながら、目を閉じて、味覚に意識を委ねていた。


「たけしのバカー!! 男なんて、みんな背負い投げよー!」


 メグミーヌが叫びながら、突然何かを勢いよく投げ捨てた。うっすら目を開くと、自慢の金髪縦ロールが足元に転がっている。何が起こったんだ? すると目の前には、あら、かわいいお坊さんがいるではないか。


「あ、あの、メグミーヌさん……」

「んあ⁉ 何か文句ある? ズラは蒸れるんだよ!」

「あぁ、そうですか、すみません……」

「分かれば良いんだよ、このすっとこどっこい! あーキモチイイ!!」


 メグミーヌ和尚(おしょう)が白い布でボウリングの球を磨くように、自分の頭をキュッキュッと磨いている。きっと、これを超える衝撃体験はいかな異世界でも無い気がする。と、聞いてもいないのに、和尚がズラ愛を熱く語りだした。


「女はね、髪がロングだと手入れが超面倒なのよ。そこで、賢い私は考えた。バッハもモーツァルトもズラだったじゃない! ズラならその日の気分で髪型変えられるし、1人になったら脱いだら良いだけだから、楽ちんなのよ!」


 ひとしきり頭を磨いて満足した和尚(おしょう)がキセルを(くわ)える。すかさず、マッチに火を点けるオレ。うーん、前世でやってたことは体が覚えているもんだな。和尚(おしょう)は満足そうに、(ほそ)い紫煙を吐き出した。


「ま、この世界のいいところは、喫煙者に優しいところね。前の世界じゃ、タバコ吸うってだけで、親の仇みたいに(にら)まれてたから。大体、喫茶店なのに、喫煙できないなんて、ウソ大げさ紛らわしい! JAROに訴えるぞ!!」


 愛煙家の立場には同情するが、正直、オレもタバコは苦手なんだよね。でも、丸坊主の女性が長いキセルを(くわ)える姿は妙に色っぽいな。おっと、危ない。変な性癖に目覚めそうだ。


「あー、飲んだ飲んだ。眠くなったから、もう寝るわ。オヤスミー」


 いうが早いか、すぐさま鼻ちょうちんを膨らませながら、和尚(おしょう)は爆睡した。寝タバコは火事の元ですよー。火の始末と簡単な片付けを済ましたオレは、もう日も暮れるので、沈む夕日を眺めながらここで1泊することにした。



 次の日の朝。メグミーヌはパチリと目を覚ますと、急に頭をシーツで隠しだした。


「ちょっと、あなた! 見てないわよね?」

「ええ、スキンヘッドは見ましたけど、裸とかは見てないですよ」

「お嫁にいけないー!」


 そういうと、メグミーヌは泣きだした。おいおい、お前が勝手にズラ脱いだんだろうが。こっちも見たくて見たわけじゃないぞ。まぁ、面白かったからいいけど。


「ちょっと、責任とってよね!」

「はい?」

「とぼけんじゃないわよ!! 私の生まれたままの姿を見たからには、ちゃんとケジメつけてもらうわよ!」

「いや、お言葉ですが、生まれたままの姿は見てません。剃り上げた頭皮を見ただけで……」

「わー!!」


 メグミーヌがまた泣き崩れた。これ、オレが悪いのか? 


「まぁまぁ、メグミーヌさん、これは2人だけの秘密です。オレも悪魔の身で、簡単に責任うんぬんは約束できませんが、メグミーヌさんの夢の実現には精一杯協力しますので……」

「言ったわね! そう言ったからには運命共同体よ! 私、自慢じゃないけど、面倒くさくて重い女よ!」

「それは、痛いほど分かりました。他にも身内に違うタイプの痛い女がいますので、免疫はあります」

「何よ、それ! 私は1番じゃなきゃ嫌よ! 2番じゃダメなのよ!」

「はいはい。メグミーヌさんが1番ですよ」

「毛が無くても?」

「だが、それがいい」


 うっすら(ほほ)を赤らめ、オレを見つめるスキンヘッドの乙女。噴き出しそうだが、得意の口から出まかせで、ここまで取り繕ってきた苦労を水泡(すいほう)に帰すわけにはいかない。オレは肩をプルプル震わせながら、努めて真剣な声でこう伝えた。


「とりあえず、オレの城へ案内しましょう。ピヨカン農園もその目で見ていただきたいですし」

「いきなり自宅に誘うなんて、大胆……。さすが悪魔ね」


 メグミーヌがそう(つぶ)いたが、いきなり部屋飲みに誘ったやつが言うセリフか? そう思いながら、オレは朝日が反射して(まぶ)しいツルピカ頭を見つめていた。

 拝啓 メグミーヌ様

 喫茶店の喫茶は、喫煙していいって意味とは全然違うそうですよ。

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