第1話 転生先もブラック職場でした
未読の方は、この話の前にプロローグから読んでね。
「いい加減仕事してくれよ! 早くヤラなきゃ殺っちゃうぞ(笑)」
……なんだ白昼夢か。怒られすぎて意識が現実逃避してたんだな。まだ説教の最中か……。
ぼんやり辺りを見回すと何だか薄暗い。ところどころ燭台があってボンヤリ明かりは灯ってはいるが……。ロウソク?
「テメェ、四天王としての自覚あんのかよ! 抜擢したオレを無能にしたいわけ?」
ガイアンがコスプレしている。黒ずくめでRPGに出てくるラスボス的な奴。キャラには合ってる。ドンキで買ってきたにしてはリアルだな。趣味がコスプレだったとは多様性の時代だ。いっちょ前にキバなんか生やしちゃって。……て、会社でか? ハロウィンは時期はずれだろ。
「なぁ、オレッて無能なの?」
「とっ、と~んでもございません! 魔王ガレス様は宇宙一~!」
「フンガ、フンガ!」
2mは超えるガリガリのドラキュラ風な男が媚びを売り、フランケンシュタインとトロールを足して2で割ったような男が相槌を打つ(相槌なんだろう、たぶん)。
「難しいことは言ってないのよ。オレ様やさしいから。とりあえず、人間の小さな村、1つ2つ消してくれたらいいから」
「まぁ、なんとお優しい!! 本来なら処刑でもおかしくない怠慢ぶりのタナトスなぞに、なんという広いお心!!」
「フンガ、フンガ!」
「まあ、1日だけ待ってやるから。……できるよな?」
「イエッサー!!」
状況は不明だが、普段の社畜ぶりを発揮して、条件反射で元気よくお返事できました。