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【1万PV感謝】レベル5デスの使いどころがありません!  作者: 角乃とうふ


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第12話 新入社員諸君、さあ僕のベンツを磨きたまえ

「タナちゃん。また三日大根が採れたっぺよ。あと、デラトマトとおばけピーマンもどっさりだわさ」

「今日も大漁だね! サナエちゃん」


 あれから、1か月足らずで野菜がドンドコドンドコ()れるようになった。『やせた土地でも、手早く収穫できる都合のいい作物とかないですかね?』って、聞いてみたら『あるよ』と即答してくれた男前なサナエちゃん。三日大根はその名の通り、植えたら三日で収穫できる。なので三日連続で植えたら、ハイ永久機関の出来上がり! である。ただし、主に漬物要員にしかならないのだが。

 このほか、デラトマトは、小指の先ほどの小さなトマトがぶどうのように鈴なりになっていて、甘くてデザート感覚で食べられる人気野菜。お化けピーマンは、どてかぼちゃのような大きさで味は大味だけど、調理しやすいし、なにより食いでがある。

 こうしたサナエちゃん監修の畑は、現在5区画にまで広がった。あんまり順調なので、噂を聞きつけたエルフの家族が何組か、農業の研修を兼ねてここに移住してきた。マイホームならぬマイキャッスルに空き部屋がいくらでもあるので、適当な部屋に住んでもらいながら、一緒に畑仕事に(はげ)んでいる。

 そんなとれ(だか)重視の野菜育成のおかげで、オレとエルフ族の食糧問題は一気に解決に向かった。今後は多少収穫に時間がかかっても、栄養価の高いもの、美味なものを育てていく予定である。さらには、将来的な輸出も考えて、高価な果物なんかにも手を出したりなんかして、こりゃ億万長者も夢じゃないぞ。ウヒャヒャ。


「ちょっと、キモイ顔でボーっとしてないで、手動かしなさいよ」

「ん? あぁ、ごめんごめん。壮大な長期計画の構想を練っていたものでね」

「なんだか良くわからないけどしっかりしてよ、社長」


 移住してきたエルフは皆家族ぐるみだが、なぜだがエミリールだけ一人でやってきた。彼女(いわ)く、将来的にはこの辺に第2エルフ村を作るかもなので、村長(むらおさ)代理という立場だそうだ。後で聞いた話では、他の候補者を無理やり引っ込めて、自分が立候補したらしいけど。


「ふむ。それでは(せい)を出して働くとしよう、エミリール君」

「どうでもいいけど、そのヒゲ似合ってないわよ」


 前世では社長どころか係長にもなれなかったので、悪ふざけでエミリールに社長と呼ばせている。『エミリールだけに特別な呼び方をさせてあげよう』と言ったら、何を勘違いしたのか(ほほ)を赤らめ『しょ、しょうがないわね!』と快諾(かいだく)し、それからは社長時々社長サーンと呼ばせている。うむ、いい気分だ。

 しかし、このファッションセンスの素晴らしさが理解できないとは。より社長感を出すためダリ風の付けヒゲをつけた上、サナエちゃんにオーダーして、ダブルの金ボタンスーツ風農作業着を新調してもらったというのに。ちなみに背中には『タナトス・ファーマーズ』と社名を刺繍(ししゅう)してある。もちろん、ノリで書いてみただけで、そんな組織はない。


「エミリール君、社長といえばこれがスタンダードな姿なのだよ」

「良くわからないけど、エルフの研ぎ澄まされた美的センスが激しくアウトを叫んでいるわ」


 やはり悪魔とエルフは相容(あいい)れない存在なのかもしれない。サナエちゃんは結構褒めてくれたのに。それからは、スーツのパンツはダブルが良いかシングルが良いかを真剣に議論しながら、二人で野良仕事に汗を流した。そのうち、エミリールには伊達メガネにポニーテール、そんでタイトスカートのスーツに身を包んだ秘書コスプレでもさせようかと思う。



「タナトスさん。このデラトマト美味しいです!」

「そうでしょう。オレも今作っている野菜の中では一番好きですよ」


 そんなワクワク農業活動を、スマミ越しにデラトマトをパクパクしながらフロラに報告した。


「エルフ族の食糧問題も、質はともかく量は解決のメドが立ちましたね。タナトスさん、素晴らしい功績です!」

「いや、まぁ9割方サナエちゃんのおかげなんですが」

「私の手厚いサポートも忘れてませんか? まぁ、いいですけど。先日の女神ミーティングでも、『悪魔をどうやって調教したの?』って先輩女神から質問攻めにされて……」


 フロラが両手をほっぺに当てて、一人首をフリフリ(もだ)えている。調教という見下した発言は、いつものフロラの可愛さに免じてスルーしよう。社長サーンは心が広いのだ。


「そんな頑張り屋のタナトスさんに、今日はこれをプレゼントします! じゃ~ん。善行ポイントカードです」


 そう言って、フロラからポイントカードが転送されてきた。カードにはスタンプ欄が20マスあって、すでに5つ、てへぺろしたフロラのスタンプが押してある。


「これまでの善行で5つスタンプを押しておきました。ちなみに、折り返しの10個までスタンプを集めると、選べる神具ギフトがもらえちゃいますよ!」

「……神様がすごく(ぞく)っぽく感じ出した今日この頃です」

「最近の神々のトレンドはフレンドリー感を出すことですので!」


 なんだかなぁ。まぁ、いいや。流れ的に20個貯まったら、悪魔から転生できるんだろうな。


「ありがとうございます。成果が見える化できるのは良いですね。この調子で農業王にオレはなる!」

「素敵! ステタナです!」


 そんな他愛もない会話で、2人ケラケラ笑い合っていた平和な夜。このときは、これから壮絶な修羅場がやってくるとは思いもしなかったんだ。

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