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揚げ×2の国

風に揺られる流線型の雲は、まるで、こいのぼりのようです。


ぽん「鯉おいしかったなー」


ぼん「今日は美味しいものでも食べて、一日リラックスしましょう」


ぽん「やった!」うきうき!


ぼん「え!なんだあれ!そと見て!」びっくり!


ぽん「うわっ!火の海だ!」どっきり!


あのとにかく燃えているところは、揚げ×2の国。

美味しい揚げ物が有名な国です。


ぼん「最近、テレビで紹介されてたような」


ぽん「リポーターさんが燃えて放送事故になったやつ?」


ぼん「そうそうそれ!」


ぽん「じゃ、やめとこう」


燃えあがるー!熱風がー!かまどの前にひざまづけー!


ぽん「どうして降りたの」じとー


ぼん「揚げ物が食べたい気分なの」


ぽん「お姉ちゃん前!」


ぼん「ぎゃあああ!!」燃え上がり


ぽん「ぎぃえあああ!!」びくっ!


ぼんちゃん、スワンボートは火の海のなかですよ。


ぽん「やばいやばい!」あわあわ


ぼん「なんてね!」きゃぴ!


ぽん「……もう。空想科学適応灯使ったなら言ってよね!」ぷくー


ぼん「えへへのへっ!」ぺろ


ぽん「でも、どうしてわざわざ火の海の中に停めたの?」


ぼん「スワンボートに何かあったら困るからだよ」


ぽん「あー」


今までネジを抜かれたりネバネバにされたりあったなー。

と過去を振り返りながら歩き、耐火レンガで出来た町をよく見回しますと、道路のあちこちで炎が燃え上がっていました。


ぽん「やばすぎー」


ぼん「地下に天然ガスが豊富なんだって」


ぽん「なにそれ爆発しそう」


と言ったその瞬間、建物の一つが大爆発。


ぽん「あわわ……」びくびく


ぼん「空想科学適応灯を使って正解だったね」


ぽん「あれ大丈夫なの?」


この国の人達はどこより我慢強いのです。


男性「あああ!熱いよおおお!」じたばた!


ぽん「何も見てない何も見てない!」めかくし


女性「誰かお水を!」あた


老女「それと救急と消防を!」ふた


ゴツい人「俺は救急隊員だ!」バキムキ!


ぽん「マッチョさん……」ちら


イカついてる人「消防隊員ならここにいるぜ」ガチムチ!


ぽん「がんばれー!」


イカついてる人「愛するイカの嫁よ!イカスミだ!」


くコ:彡「やるでげそー」ぴょん


イカ、距離を見誤り男性と燃える。


イカついてない人「これはイカん!」


それでもスミを吐く健気なイカの嫁。


ゴツい人「よし火が消えた!ここからは俺の出番だ!」


ゴツい人の足元から突然、炎が吹き荒れる。


ゴツい人「心頭滅却すれば火もまた涼し」


我慢の甲斐があって鎮火。

チャンスです。


ゴツい人「息もある!脈もある!しかし髪がない!」


老女「ああ……燃えてしまわれたんだわ」


女性「私の髪を使ってください」


ゴツい人「いい……のかい?」ごくり


女性「ええ。我慢します」


化粧用ハサミで長い髪のほとんどを切り落とし、そっと、男性の頭の上へ。


ゴツい人「よくやった。これで髪は何とかなったが、それでも、救急車の到着までに栄養が足りない!くそっ!」どんっ!


くコ:彡「私の足を使ってください」


イカついてない人「いい……のかい?」ほろり


くコ:彡「ええ。我慢します」


化粧用ハサミで足のほとんどを切り落とし、焼いて、男性の口へ。


イカついてない人「惚れ直したぜ」


くコ:ヾ「やめなイカ……照れるでゲソ」てれぬる


ベタに愛が燃え上がったところで、ようやく救急と消防のご到着。


ぼん「めでたしめでたし」ぱちぱち


ぽん「いい話だなー」


ぼん「さ、行こっか」かたぽん


ぽん「うん」


それから。

焦げたパンフレット片手に、二人は有名なお店へとやって来ました。


ぽん「お店真っ黒なんだけど」


ぼん「いかにも老舗って感じだね」


どこがでしょうか。


ぽん「このバックドラフトってお店、本当に大丈夫?」


ぼん「驚き満点だってさ」わくわく


ぽん「旨さ満点がいい」


ぼん「いくよ!」がらら!


ちゅどーん!!


ぼん「うわー」


ぽん「まるでドラゴンの火炎放射だー」


糞親父「らっしゃい」無愛想


ぼん「ちょっと!危ないじゃないですか!」


糞親父「低温だ。安心しな」


できてたまりますか。


糞親父「文句があるなら帰んな!」


ぽん「そうします」くるり


ぼん「美味しいもの食べさせてよね」がしっ


ぽん「離して」


ぼん「それだけ自信がおありなら、さぞ、美味しいことでしょう?」


糞親父「言ってくれるじゃねえか嬢さん」にやり


ぽん「離してってば」やなの


ぼん「楽しみ」じゅるり


ぼんちゃんのお腹のゴングが鳴り、一歩前に出たことで火蓋が切られ、糞親父が勝負に燃え上がる。


糞親父「こんなに熱いのはいつぶりでい、へへっ」


ぽん「本当に頭が燃えてるよ」


糞親父「さあ座んな」


お店にはカウンターがひとつだけ。


ぽん「まるでお寿司屋さんみたい」


糞親父「昔はな。全部炙りになるからアホらしくてやめたんでい」


この国で始めたのがアホでしょう。


ぽん「あ!」


カウンターのショーケースには愛らしいドーナツが並んでいます。


ぽん「これください!」きらきら


糞親父「それは土産だ。嬢さん方は甘いもんがお好きだかんな」


ぽん「じゃあ、後でくれるの!」


糞親父「ああ、好きなだけもってけ」


ぽん「おじさんかっこいなー!さすが太っ腹!」


その言い方だと悪口になります。


糞親父「てやんでい!」てれ


ぼん「あの、メニューは?」


糞親父「うちはコースしかやってねえ。嫌なら帰んな」


ぽん「帰りません!」きりっ!


ドーナツが食べたいから!


糞親父「ほらよっと」こと


ぽん「なに、この激熱油」


糞親父「こまい嬢さん、フィンガーオイルも知らねえのかい」


フィンガーオイルとは、指先を洗うための九十九度ほどの油です。


ぽん「ええ……」どんびきー


ぼん「こりゃあ粋だねえ!」ぬたあ!


ぽん「お姉ちゃん!なんで!」


ぼん「郷に入っては郷に従え。昨日教えたこの言葉、覚えてる?」


ぽん「よそに行ったら、よそのルールに従いなさいってことだよね」


ぼん「そう」ぐいっ


ぽん「ぎゃあ!」ぬぽお!


ぼん「大丈夫。熱くないでしょう」ひそ


ぽん「ほんとだ」


ぼん「空想科学適応灯」ひそひそ


ぽん「でも最悪」ぬるぬる


糞親父「まずは前菜だ」こと


ぽん「コロッケだ!」わーい


糞親父「甘いカボチャコロッケだ。嬢さん方はそういう洒落たのが好きだろう」


ぽん「おじさんシティボーイだね!」


そんな言葉どこで覚えたのか。


糞親父「てやんでい!」てれ


油の中のゴーヤといっしょに浮かれた糞親父は、次々と自慢の一品を振る舞う。


糞親父「ゴーヤのかき揚げサラダだ」


ぽん「うま」さくさく


ぼん「よろし」ぺろり


糞親父「素揚げした玉ねぎのスープだ」


ぽん「んふふー!」うまうまよー


ぼん「しつこくない上品なお味ね」


糞親父「カレーとビーフシチューの欲張り揚げパンだ」


ぽん「おかわりください!」


ぼん「よく煮込まれているじゃない」


糞親父「フィッシュとチップスだ」


ぽん「揚げたてハッシュドポテト大好き」もむもむ!


ぼん「この白身魚……さすがは元お寿司やさん」


糞親父「フライドアイスクリームだ」こと


ぽん「は?」


ぼん「お口直しね」


ぽん「は?」


糞親父「台無しになっちまう。さっさと食え」


ぽん「冷た!なにこれ!え!うまちぃなんだけど!」ときめきいぇい!


ぼん「はあ……やさしい」ぽー


糞親父「てやんでい!」てれ


ぽん「おかわりおかわり!」


ぼん「すっかりお気に召しだね」なでなで


ぽん「ちょっと頭べとべと!」


ぼん「ごめん」


糞親父「次はメイン。若どりの手羽の竜田揚げだ」


ぽん「んー最高!」かりゅ!


ぼん「生姜の香りが吹き抜けるみたいに爽やかね」


糞親父「チーズボールだ」


ぽん「さくとろー」


ぼん「おえ……」


ぽん「油で気持ち悪くなった?」


ぼん「まだまだこれからよ」うぃんく


ぽん「嫌な予感する」


糞親父「フルーツに、不老長寿の秘薬とも呼ばれる無花果の揚げ出しだ」


ぼん「いちじくを揚げるなんて……あむ」


ぽん「ぷちうま?」くびかしげ


ぼん「んく……ふぅ」


糞親父「デザートの砂糖菓子」


ぽん「あんまー」


ぼん「う……うぷぅ……」


糞親父「最後にココナッツオイルコーヒーだ」


ぼん「助かった……」


ぽん「助かった?」


ぼん「なんでもない。とにかく素晴らしいコース料理だったよ」


糞親父「てやんでい!」へへん!


ぼん「ごちそうさまでした」


糞親父「またいつでも来な」


ぼん「お断りします」きっぱり


糞親父「…………」


ぽん「ドーナツもらうね」


ぼん「まだ食べる気……!?」


糞親父「初めてだよ」参った


ぽん「ふーん」


燃え広がったぞー!そっちも火の海だー!爆発が止まらねー!


ぽん「おいしかったなー」けぷっ


ぼん「げろろろ……」


ぽん「あーあ。大丈夫?」さすさす


ぼん「そう言う、あなたさんは平気なの?」じゃー


ぽん「う……ん?」くら…


ぼん「!」


ぽん「げろろー!」

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