10/15
高校時代 1
高校に入ってすぐ、ユリはアルバイトを始めた。
学費を稼ぐためでも、自立の準備でもない。
ただ「この家から少しでも離れていたい」という理由だけだった。
けれど、稼いだお金はほとんど母親に取り上げられた。
「生活費を払え」
そう言われるたび、ユリはどこかで「家族」の定義を見失っていった。
高1の夏、家に帰らない日が続いた。
最初は友達の家やバイト先の先輩の家を泊まり歩いた。
だが、日数を重ねるごとに「泊めてくれる人」は減っていった。
そのうち、バイト先でナンパしてきた客や地元の先輩に、体を許すことで「泊まる場所」を確保するようになった。
「これしか、私には価値がないんだ」
そう思うようになっていった。
愛されたいわけじゃなかった。
ただ、生きるために、そうするしかなかった。




