第31話 純白の要塞
歓迎された街┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(紅聖国 古都イアタウン)
日に照らされた青き湖、雲より高い白き山脈に囲まれた美しき都市"イアタウン"。
聖大陸の西に位置し、大国の白聖国の南に隣接する紅聖国は、大陸内では珍しい民政国家である。
主な産業としては鉱石の採掘や、漁業などの第一次産業が盛んに行われている。
最古の文明が栄えた"朱聖国"を東に隣接する為、多くの化石資源が盛んに取れる。
中でも昔から拠点となっていた"イア"の街は、伝統的な白い石造りの家や教会が今も遺されている。
イアの街の観光の見どころとして、美しい湖でのヨット体験や、坂の上の教会への参拝、さらに世界で最も美しい純白の要塞"イア・キャッスル"への訪問があげられる。
そんなイアの街に、世界的なイベントが開かれる。
"虹色会議"である。
虹色会議とは、白聖国と黒聖国を除く、聖大陸の7カ国連合と黄緑公国を加えた8カ国による会議のことで、毎年各国が持ち回りで開かれている。
しかし、今回はイアの街の"千年祭"を記念して、特別に8カ国とは関係の無い"紅聖国"での開催が決まったのだ。
虹色会議の1番の見どころは、会議が終わった翌日に、"夜祭"と呼ばれる祭りが催させることだ。
夜祭では、世界各国の名産品の市場が一夜限り通常より安い破格で売られ、毎年多くの人が夜祭を目当てに訪れる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(イア・キャッスル)
要塞の内部では、紅聖国の兵士たちが虹色会議に備え、様々な対策に追われていた。
今回、虹色会議の議長と虹色連合の防衛、夜祭開催の全ての責任を任された"エリザベス・スカーレット中将"は、最前線で兵士たちに指示を出していた。
彼女は僅か"22歳"で、紅聖国の重要拠点である"イア・キャッスルの司令官"に就任し、国内で最高の名誉である"レッド・リボン"を獲得している。
「いよいよだな」
エリザベスはイア・キャッスルの屋上からイアの街を眺める。
緋色の髪が風に揺られ、右眼につけた眼帯が露になる。
髪で右眼を隠す彼女の腰には、獅子の刺繍が施されたロングソードを拵えていた。
━━━━━━━━━━━━━━━
(イア 観光街の付近)
夜祭など関係なく、たまたまイアの街にやってきたのは彼らだけであろう。
シヴァとゾロロは任務を終え、皆の待つペンションへ向かって坂を下っていた。
シヴァたちが滞在する為に借りたペンションは湖の1番麓にあり、毎回仕事に出かける際は長い坂を登らなければならなかった。
「はあ、遠い...」
日差しの照りつける猛暑のイアの街の坂をゾロロは下りながらペンションの場所を後悔した。
「いいじゃないか!観光街は近いからさ」
シヴァは先程購入した名産品のブルーソーダを片手に坂を下っていた。
「バカやろう!何でそっちが優先なんだ!だいたいな、お前が義手を直したり、家の修復代でお金が無くて一気に仕事を受注して資金を確保するために来てるのにお前たちが不必要なものばかり買うからお金が増えてないんだろ!?」
ゾロロは顔を真っ赤にして怒った。
それもそのはずである。
普通であれば1週間の滞在で資金を調達するはずが、イアタウンを訪れて既に1ヶ月...。
シヴァはブルーソーダを飲み干すとゾロロに話す。
「いいじゃないか!夏休みさ、夏休み!」
ゾロロは心の奥底からため息が溢れ出た。
「はあ...。何で俺はコイツらに着いてきたんだ、いつまで貧乏生活なんだ、狩人ってもっと金持ちじゃないのか...」
シヴァとゾロロはようやく坂の一番下にやってくると、すぐ左にある妖精の彫刻が施された家の扉を開ける。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(イア ペンション"Magic Bell")
「帰ってきたさー」
シヴァが家の中にいる皆に帰宅したことを伝える。
すると、玄関を開けてすぐ左にある扉からソフィアと紅覇がやってくる。
ソフィアはイアの伝統的な青い衣装を身にまとっていた。
「おかえりなさい、シヴァ。どうですか?イアの衣装!」
シヴァはソフィアに目を輝かせる。
「可愛い!ソフィア、似合ってる!」
ソフィアと紅覇は目を見合わせて嬉しそうにリビングダイニングへ戻って行った。
「ソフィア、また買ったのか!?」
ゾロロはソフィアの後を追って部屋の中に入っていく。
ゾロロとシヴァが部屋の中に入ると新着の服が10着以上増えていた。
シヴァとゾロロの元にカリティアがやってきて事情を説明する。
「ほら、聞いて。もうすぐ夜祭じゃない?せっかくだったら皆で伝統衣装を来て楽しみたいじゃない?それで買ったの!」
「とてもいい考え...」
シヴァが話す途中でシヴァの口を手で抑えるゾロロ。
ゾロロは気持ち悪いほどの笑顔でカリティアに尋ねる。
「へえー、それはそれは素敵な考えだ。で、値段は!?」
かなり怒りのこもった声に臆することなくカリティアは値段を正直に言う。
「30万Jよ。何か?」
ゾロロは値段を聞いて膝から崩れ落ちる。
「30万...。嘘だろ?嘘って言ってくれ...」
ゾロロが怒りで気がおかしくなっているとも知らず、買い出しに行っていたエドワードと希麗が帰ってくる。
エドは勢いよく部屋の中に入ってくる。
「ただいまー!皆、美味しそうなワインと高級肉買ってきたっスよ!今日は肉祭りにするっスよ!」
希麗も幸せそうに笑みを浮かべていた。
「見て!美味しそうなフルーツのスイーツ買ってきたよ!」
ゾロロは帰ってきたエドと希麗の目の前に行って鬼の形相で見つめる。
「お前たち...、値段...」
「希麗、見せて」
紅覇はゾロロのことを押しのけて希麗のデザートに食いつく。
「お肉...、お肉...」
食べることが誰よりも好きなソフィアは、エドが買ってきた巨大なブロックの肉にヨダレを垂らしていた。
「お金が...、お金が...」
紅覇に吹き飛ばされた勢いで床に仰向けになって絶望するゾロロ。
シヴァはゾロロの目の前にしゃがみこんである依頼達成の紙を見せる。
「ゾロロ、お金が気になっていると思って黙って仕事しておいたさ」
ゾロロはシヴァの持っている紙を見ると、飛び起きる。
「1億Jの仕事...。シヴァ、本当なのか?」
シヴァはゾロロに笑顔で頷く。
「"ナンバー組の違法捕獲"を阻止したらイアの町長に凄く感謝されて祝い金まで貰っちゃったさ」
シヴァはゾロロに祝い金の100万Jの札束を渡すと、ゾロロは目から大粒の涙を流す。
「シヴァ、お前は神か...。感謝するぞ!シヴァー!俺はお前に着いてきて良かったー!!」
ゾロロは急に皆に宣言する。
「よし、お前たち!今日から夜祭まで夏休みだ!存分に遊ぶ倒すぞ!」
カリティアはゾロロの急変に驚く。
「何!?急にどうしたのよ?」
シヴァの依頼書に書かれた"ナンバー組"...。
世界の闇組織の首領と呼ばれていることをまだ知らない...
━━━━━━━━━━━━━━━
(酒場"Blue Blues")
青い髪をオールバックにして後ろに髪を立たせた少年が1人で酒を飲んでいた。
「ナンバー組の支部破壊...!?誰だ?ナンバー組を狙ってやがる男はー!?」
ナンバー組の壊滅を願う彼はいったい何者なのか!?
夏休み、開始!?┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




