表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の怪人☆お悩み相談室  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/105

第六十四回 ナヤ・ミオオ(1)

「こんにっちゃ!」


 今日僕が担当する怪人は、ナヤ・ミオオ。


 事前に渡された書類で、その名を知った。

 いかにも悩みが多そうな名前だが、どのような相談をしてくるか気になるところだ。僕に適さない相談でなければ良いのだが。


「こんにちは。担当の岩山手と申します。よろしくお願いします」


 個室へ入ってきた老人風の怪人に、僕は普段通りの挨拶をする。


「わしゃ、ナヤ・ミオオじゃ。よろしくのぅ、若造よ」


 ……若造、か。


 いきなりの若造呼ばわりは、少し失礼な気がする。だが、完全に間違いというわけでもないので、そう呼ばれるのも仕方がないのかもしれない。


 実際、僕はまだ若いから。


「お待ちしておりました」

「そういうのはええぞ。べつに気を遣うことはないわ」


 言いながら、ナヤは自ら椅子へ腰掛ける。

 年寄りアピールなのか何なのか知らないが、椅子に腰掛けた後、彼は片手で腰辺りを擦っていた。


「では相談をどうぞ」


 僕はそう声をかける。

 しかし、ナヤは首を横に振る。


「人生の後輩である若造に相談することなどないのじゃ」

「え……」

「今日は、ただ、わしの愚痴を聞いてもらえればそれでええ」


 彼の場合、どうやら、解決してほしい悩みがあるというわけではないようだ。ただ愚痴を聞いてほしいだけのようである。


 それはお悩み相談室の職務なのか?


 甚だ疑問ではあるけれど、予約の時点で由紀が断っていないということは、問題ないのだろう。


「話をお聞きすれば良いのですか?」

「あぁ! そうじゃ!」


 聞くだけ、というのは、ある意味難しいかもしれない。態度によっては、ぼんやり聞いていると誤解される可能性もあるわけだから。


 でも、だからといって逃げるわけにはいかない。


 一生懸命、今の僕にできることをやる。目の前に存在する道は、ただそれだけ。一本道だ。


「職場のお話ですか?」

「そうじゃな」

「では、その前に少し、ナヤさんの職場について教えていただけますか?」


 彼を取り巻く環境を知らずに愚痴だけ聞くなど、世界観を知らずに小説を読むようなもの。それでは理解が深まらない。


「そうじゃな、そこは大切と言えるじゃろう。では」


 少し空けて、ナヤは話し出す。


「わしが勤めとるのは、この国の最東端の県に本社を置く悪の組織ワルザスの、根源基地。三十人ほどの怪人が働く、中規模基地じゃな。ちなみに、わしゃそこの基地副長じゃ」


 ナヤは妙に喋る。

 一度口を動かし始めると、止まらない。


「しっかし、なぜ基地長がわしより若いもんなのか……上の考えはまったくもって分からんのぅ。厳しい時代を生き抜いてきたわしからすれば、基地長とはいえただの若造じゃ」


 話が長い。

 いちいち長い。


 だが、これも仕事のうちだ。


「なるほど。どのようなお仕事をなさっている組織なのですか?」

「現世という枷から人々を解放するお仕事じゃな!」


 ……おっと、何やら危なげだ。


「学校に通うのが辛い者には、偽の成績表を作り、通わずともきちんと卒業できるようにする。嫌な上司に苛められ日々鬱屈な者には、裏から手を回し、その上司をクビにする。そうやって人のためになることをし、善行を積んでゆく組織じゃ」


 いや、最初思ったほど危なくはなかった。


 ……が。


 いいのか? それは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。 ポイント・ブクマなど、いただければ嬉しく思います。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ