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Saga of Dragons Fragments of the Memories  作者: evilplant
chapter1 howling
17/32

howling 2-5

サンダー達の秘密が、一部明らかに……。

「サンダーっ!」

頭を抱えて崩れ落ちたサンダーの傍に、ファイアは瞬間移動した。

すぐにしゃがみ、サンダーに向けて右手を翳す。

「マインドキュア!」

短い呪文を唱えるとサンダーは白い光に包まれ、光が収まると同時に頭から手を離して横に倒れた。

異常なまでの激痛で余韻がまだ残っているらしく、時々頭を抑えている。

「立てるか、サンダー」

「あ……う……ファ…イ……ア……?」

ファイアが起こしながら話し掛けると、かすれた声で返答があった。酷く衰弱しており、声を出すのも難しくなっているようだ。

(仕方ねえ、運ぶか)

勿論立つ事も出来る筈が無い。それ故にファイアはサンダーを背負って連れて行く事に決めた。

だが。


何かが刺さるような音がして、激痛が走った。

見ると、自身の右足の下に急速に血溜まりが出来始めていた。

「……マジかよ」

反射的に引き抜こうとした瞬間、膝までの辺りを刺し貫いたその針に横向きの枝が生え、神経を引き千切った。



「が……っは……あ……」

意識が飛びかける程の痛みに、汗がどっと流れ出す。

倒れそうになったが、必死で無事な左足を動かして踏みとどまる。



「ふ……ふふ……ファイア君。

私があんな攻撃で死ぬと思っていたのですか……?」

目の前に立つ、体がズタズタになった状態で話し掛けて来るその声は、間違いなくアストラのものだった。

「貴……様ぁ……!」

「ふふふ。そんな怖い目で見ても無駄ですよ。この時の為に私は『不老不死』を戴いたのですから。貴方達が幾ら攻撃しようと死ぬ事はありません」

そこまで言うと、アストラは口が裂けんばかりの満面の笑みを浮かべた。

「ファイアさんっ!」

「ファイア!……くそっ、邪魔だこの障壁!」

声のした方を向くと、白虎とローグが下の扉の前で障壁に阻まれていた。先程から白虎が教師達に混じって破ろうとしているが、緑色で半透明の障壁には傷1つ付かない。

「騒がしいですね。大人しくそこで見ていなさい。_____さて、ファイア君」

その様子に冷ややかな侮蔑の目を向けると、アストラはファイアの方へ向き直った。

「貴方は私の計画には邪魔なのです。なので死んで貰いますよ」

そう言った直後、針が一気に成長して足の付け根までを只の肉塊に変化させた。

「…………っ!!」

「ふふふ、痛いでしょう?大丈夫ですよ。すぐに何も考えられなくなりますから」

薄ら笑いをファイアに向け、まるで日常茶飯事だと言うように語りかける。_____最早アストラに正気は残っていなかった。

そして。



「さあ、これで終わりにしましょう。何せ君の次にはサンダー君が待っているのですから……ね!」

最後の一文字と共に、アストラは杖を振り下ろした。



瞬間的に針が成長し、心臓を突き破ると同時に枝を一瞬で伸ばした。

ファイアの体の中から針が皮膚を突き破り、周りに紅い華を咲かせた。

そしてその針の樹が枝を戻して地面に戻ると、ファイアは湿った音を立て、倒れて動かなくなった。

膨大な血が、ファイアを中心に水溜まりを作っていた。



「ふふふふ…………ハハハハハハ!」

アストラはこの上無い優越感に浸っていた。

彼の崇拝している神から授かった力が、最高の力だと証明された瞬間なのだ。

有頂天にならない方がおかしいだろう。

「さて、次は……」

そう言って、サンダーの方へ向く。

しかし、地面から針を出現させる前に、何者かが邪魔に入った。

「させません!……コキュートス!」

女子生徒が飛び出し何かを唱えると同時に、彼の前に分厚い氷の壁が屹立した。

「素晴らしいの、スティリア君」

若干のんびりとした声と共に、その外側に堅牢な魔術無効結界が張られる。

舌打ちを抑えて周りを見渡すが、生徒は全員居なくなっていた。

(人質を取ろうと思ったのですが……ね)

しかし、それは些細な違い。忌々しい氷の壁を砕いて、その中にいる臆病者を全て引き裂けば良いだけ。_____そう思っていた。



アストラの後ろの瓦礫が突然、大小様々な槍となって宙に浮かんだ。

だが、それらの半数は灼熱の炎に溶かされ、残りは雷鳴と共に全て粉々に砕かれていた。



「……ったく、痛えじゃねえかよ」

「大丈夫か、ファイア」

先程まで倒れていたサンダーと、間違い無く死んでいたはずのファイアが、目の前に平然と立って居る事を、アストラは信じられなかった。

「お前はまず自分の心配をしろよ。全く……」

ファイアは呆れたように呟くと、水無月以外の唖然として見ていた教師達に振り向き、「この事は秘密にして下さい」と言った。

「……やはり、君もそうじゃったか。とすると?」

水無月が少し悲しそうな表情で呟く。

「ええ、そうです。俺の家族は全員不老不死ですよ」

それに対してサンダーが答えると、水無月は深い溜め息をついた。

「やはりのう……。それは自ら望んでそうなったのじゃな?」

「勿論です。俺はサンダーを守るにはこれしか方法が無かったし、皆も他の家族を気にしてますからね」

今度はファイアが答えを返す。

その淀みない答えに、水無月は満足そうに目を細めた。

「それなら儂が言う事は無い。存分にやりなさい」

「分かりました。_____サンダー」

水無月から許可を貰ったファイアは、サンダーに呼びかけた。

「何だ?」

あれ(・・)、使って良いぜ。あいつをブッ潰す」

「分かった」

と、先程まで雰囲気に呑まれていたアストラが喚き出した。

「な……何を戯れ言を!第一、神に選ばれたこの私を殺す事など」

「黙れ」

だが、すぐにサンダーの一言で停止させられる。

「神に選ばれた事など、俺達にとってはどうでも良い。

不老不死?そんな物は障害にならない。俺も不老不死だからな。後は_____今ここで、お前を殺す。その意思だけで十分だ」

「ふ……ふざけるな!!お前のような只のトカゲに、何が出来る!」

「逆に聞こう。今のお前に何が出来る?」

「そ、それは……」

逆に問い返され、アストラは言葉を詰まらせた。

「結局の所お前はただ力を与えられ、命じられるままに神の手の平の上で踊らされていただけだ」

その言葉は、かつてそうだった彼の_____サンダーの、精一杯の慈悲だった。

「だ……だまれだまれだまれえっ!!」

だが、アストラはそれを撥ね除けてしまった。

「神は私を見守って下さるのだ!貴様ら低俗生物に分かりはしないだろうが!」

サンダーは一瞬悲しそうに顔を歪めると、溜め息をついて左手を翳し、呪文を唱えた。

「リベレーション•ドラゴンブレイブ•ライトニングドラゴンロード」

突然サンダーの左手首の腕輪に嵌っていた2つの水晶が砕け散った。

白と黄色の光の粒子となったそれは、輝きながらサンダーの胸の中心あたりに吸い込まれていった。

そして全て吸い込まれると、今度はサンダーの体が光の柱に覆われ、変化し始めた。

身長が高くなっていき、角と尻尾も若干長く、太くなる。

翼も気が付くと全体的に広く、大きくなっていた。

服装も礼服のような物に変わり、背中はマントが覆う。


そして光が収まると、そこには2本の剣を腰に帯びた「竜王」が立っていた。

「私に盾突く者、仲間を傷付ける者は断じて容赦せぬ。

_____覚悟せよ」

右手の剣をアストラに向け、サンダーはそう宣告した。

※追加説明※

◎不老不死について

基本血縁などで継承•発生しない、神の祝福の1つ。

その名の通り老いる事も、死ぬ事も無くなる。だが、『同じ不老不死の者からの攻撃』では死ぬ可能性がある。戦闘に関しては自身の力量次第と言った所だ。

また、身近な人と別れる回数も増える為、苦痛に感じて自殺する者も居る。


◎フォームチェンジについて

誰もが1つ以上持っている能力。基本未覚醒。

呪文を唱える、技として放つ(又は叫ぶ)等で起動すると、自身の姿が変わり能力が変化する。

基本は向上一択だが、サンダーの場合はフォームによって増減が見られる。

いわゆる究極幻想13のオプ○ィマのようなもの。

ちなみにサンダー一家は全員使える。

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