howling 2-2
頑張ろうと思ったら風邪でダウンしてしまった今日この頃。
でも頑張って更新するよー……
特に何事も_____サンダーは自己紹介をさせられたが、特に当たり障りの無いものだった_____無く、HRが終了した後。
「サンダー君、ちょっとこっちに」
来て頂戴、と先生に言われる前に、サンダーは席を立った。
「ごめんなさい、時間を取らせてしまって。今日は訓練の日だったんだけど、どうしても言いたい事があったから」
「いいえ、問題ありません。それより、用件はなんでしょうか」
人間の女性教師、春宮 早苗に呼ばれたサンダーは、職員室に連れて行かれた。
今は10分間の移動時間。今日はこの後、6時間通して戦闘訓練がある。基本的に装備の変更などで時間を取るので、そう言う時間に呼び出すと言うのは、余程急ぎの用事なのだろう。_____そう思って、サンダーは話の続きを促した。
「じゃあ、単刀直入に言うわ。
_____あなた、精神状態は本当に大丈夫なの?」
「それは、俺が狂っているとでも言うのでしょうか」
少なくとも、普通の人はそう思うはずだった。
「あ、いや、そう言う訳じゃ無いのよ。ただ、ちょっと、ね……」
何故か焦っている春宮をじっと見つめると、観念したように事実を話した。
「やっぱり、ごまかせないわね……。
じゃあ、今度こそ単刀直入に言うわ。
_____あなたのステータス、見せて貰ったわよ」
「……そうですか」
「ええ、そうよ。_____言っている意味が分かるかしら」
「はい。ですが、特に問題は無いと思いますが」
案外あっさりとした反応に、春宮は急に焦りを覚えた。
「貴方、何を言っているの……?」
「何を、とは?」
「他人事じゃ無いのよ!あの精神の数値はおかしい、普通なら発狂しているわ!なのにどうして」
「俺には」
急に言いようの無い圧力_____竜気を感じ、春宮は口を閉じた。
「守り通したい物があるんです。だからこんな所で逃げている訳にはいきません」
_____春宮の言葉は事実だ。装備を除けばサンダーの精神値はマイナス、しかも5桁を超える値を示している。普通の人なら発狂どころか心喪失状態になっている。
「それに……」
「それに?」
「……先生は『絆の誓約』と言う魔法をご存知ですか?」
「ええ、知っているわ。確か……」
「ランク10の無属性魔法です」
「そうよね。それで、効果が『誓約による行動の制限』だったわね」
「そうです。俺のはそれを応用したもので、3人が心の碇として俺の精神を繋ぎ留めています」
「なるほどね。つまり、その3人と自分の意志によって、精神の崩壊を防いでいると。そういう解釈で良いかしら?」
「間違いありません」
サンダーのセリフに、春宮は満足そうな笑みを見せた。
「分かったわ、ありがとう。それだけでも十分安心したわ」
「そうでも無いですね」
「えっ?」
しかし、それはすぐに崩れてしまう。
「……ヒントだけです。
_____過去って言うのは、それに触れるより見た方が影響が大きいんですよ」
「……分かったわ。肝に命じておくわね」
どうやらそれだけで理解したらしい。真剣な顔になると、春宮はしっかりと頷いた。
「ごめんなさい、ちょっと長くなっちゃったわ。もう行っていいわよ。_____黒鋼先生の方には、私から伝えておくから」
「ありがとうございます。それでは」
そう言ったサンダーは、最初から向けられていた敵意の元をチラリと見ると、その場から出て行った。
_____愕然とした教師達を残して。
(な……何、あれ……)
視線には、意図的で強大過ぎた狂気が乗せられていた。
(あれが、あの子の狂気の一部分だと言うの……?)
_____不意に薄ら寒さを覚え、彼女は自分の腕をさする。
それが畏怖から来る物だとは、自分では理解出来なかった。
否、理解から目を背けた。
それ程までに、その激情は強い物だった。
そして、その向けられた方_____アストラは、憎々しそうに強く顔を歪めていた。
演習場の観戦席で。
「すみません、遅れてしまいました」
「問題ない!それより、装備は準備出来ているのか?見た所制服のままだが」
サンダーが話し掛けた男性教師は黒鋼 剛鬼。赤銅色に焼けた肌、筋骨隆々の鍛え上げられた肉体と、おおよそ人族とは思えないステータスを持つ。
そして、この教師こそが訓練授業及び体育の担当なのだと言うのだ。_____余りにも合い過ぎていて、サンダーは少しばかり何者かの介入を疑いたくなった。
「問題ありません」
実を言うと、制服でも難なく動ける自信があった、と言うより登校中に制服のままでAランクのモンスターを殲滅したので動けるのだが、流石にそれは色々と目立ち過ぎるので、魔法でいつもの装備に変えた。
「大丈夫そうだな。ええと、お前の番は……。
_____ふむ。次はファイアと一緒だな。この試合の2つ後だから、準備しておけよ!」
「わかりました」
サンダーは軽く頷くと、ファイアの方へ歩いていった。
「お、来た来た!おせーぞ」
「ああ、悪いな、皆。少し話が長くなってしまったからな」
「そうか、なら仕方ねえな。
_____で、サンダーは誰と戦うんだ?」
負い目を感じさせない為だろう、白虎が話題を変える。
「ファイアと一緒になった」
「ファイアさんと!?是非見たいです!」
サンダーの言葉に、ローグが大きく反応した。
「さっきはファイアさんとだったんですけど、あと少しの所で負けてしまって……」
理由を聞くと、どうやらファイアに負けたから、戦い方を見て勉強するつもりのようだ。
まあ、負けてしまうのも仕方ない。
ファイアは炎属性なのに対し、ローグは樹属性なのだ。属性的にファイアの方が有利なのだと言う事もある。
さらに、武器のリーチも問題だった。
「刀にクローって、使い方によっては結構相性悪いと思うんだが……」
刀の長さの7~8分の1しかリーチが無いクローは、余程の実力が無いと厳しい戦いになる。
だが、それをほぼ補う程の実力を、ローグは持っているようだった。
「後は特訓あるのみだな」
「そうですか……わかりました」
サンダーに言われ、ローグはグッと拳を握り締めた。
※追加説明※
◎ステータスについて
その者自身の能力の事。具体的には、
STR(力)
SPD(素早さ)
MAG(魔力)
MND(精神)
VIT(体力)
以上5つの能力の事である。SPDはAGIとも表記される。
RPGによくあるHPの概念は無い。VITで相対的に評価される。
MPはあるが、魔力、法力、竜気など術を使える力の総合的な保有量として表示される。
ATK、DEFに関しても同様。
ATKの場合は技量、その武器の切れ味や重さ等の要素、そしてSTRの値。
DEFの場合も同様だが、こちらは武器の変わりに防具、STRの変わりにVITとなっている。
MAGは上と同じく魔力、即ち魔法及び各種術の威力を表しているが、MNDの値は魔法(術含む)耐性と自身の心の調子を合わせているので、日によって変わる。ちなみにプライバシーの関係上、他人のステータスを見るのは基本的に禁止である。
本文中にあるような行動は、教育者としての特権である。当然悪用すれば処罰される。
ちなみにLUK(幸運)の隠しパラメータもあるが、一部の能力者を除いて見る事は出来ない。




