第十六話:三竦み:
どうやらこの獣人の里は本来の主である大狗権現
大和之王太刀と呼ばれる大蛇の獣人
そして大狗迅狼丸と呼ばれる女性の獣人
この三人で本来の王の座を取り合っているらしい
だが他の二人は強靭な肉体を持ちそこそこ戦えるが
大狗権現はまだ子供で獣人いや人としても弱い
だから里の外から来た私達に協力を
求めて来たのだろう、そもそもこのワンコは
表では行方知らずになった事になってるようだ
だから偽者でも里を纏める人物が必要になり
大和之王太刀が王の座に居座っている
そして里を裏で牛耳ろうと迅狼丸とやらが動いてる
「まずはその迅狼丸とやらを倒して情報を聞き出せば
里の中で何が起きてるかわかるんじゃないか?
その後はなるべく人を集めてその蛇を叩く
あまり良く思って無い奴等もいるようだし
里の人間と協力すれば倒せるだろうが手強そうだ
何か弱点が有れば良いんだが大狗様は知ってる?」
大狗は耳をビッと動かし答える
「確か里に魔物が雪崩れ込む事件が有り
その時に逆鱗の近くを怪我して治療が長引いてた筈
そこを狙って攻撃すれば少しは弱らせられるかと」
あからさまな弱点あったな…、今はそれを狙って
倒すしか方法が思い浮かばない裏と表の王を倒し
里の人々に生きていた事を証明して王の座を
奪い返すぐらいしか思い浮かばない本物が
生きてて二人を倒せる程の部下がいるなら
王の座を取り戻せることだろう
まずは迅狼丸とやらを倒す方法を考えないとな
場所的には宿屋の地下に隠れ家を持っており
そこから殆ど出て来ないらしい危険だが
乗り込んである程度隠れ家を荒らしてから
敵を叩けば案外楽に済む筈だから
ここにいる半分ぐらいで乗り込めば倒せるだろう
その次に皆の治療が済んだら大和之王太刀を打つ
どうも上手くいきすぎてる気がするが倒せるうちに
倒さないと厄介な相手だそれにどれ程強い敵かも
未知数な相手だ手加減も油断も出来ない
「みんな今出せる全力で二人を倒そう!!」
ざわざわと波が立ちやがて皆が遠吠えを上げる
こんなに騒いで大丈夫か?まぁ剣士達が
一丸になったのは有難いこのまま迅狼丸を打つ
書いてもらった地図を頼りに宿を取り囲む形になる
やがて数人が突入しそれに続き一階を味方の獣人達が
蹂躙していく、そして台所に入った者が地下への
梯子を見つけ降りて行く案外呆気ないぐらいに
進んで行く取り敢えず私達も地下に降りて
迅狼丸を倒さなければ最悪逃げられる可能性は有る
地下に降りると予想より随分と広い空間に出る
だが直ぐそばに扉が有る蹴破ろうとした時
「お待ちくださいそこの絵を外し花瓶を
入れ替えてくださいおそらく開く筈です」
剣士の1人が言う何故知ってるんだ?
「一応やってみるよ」
扉の上にある絵を外し両側の花瓶を入れ替えると
絵のあった場所から鍵が落ちてくる
「どうやら館にあった仕掛けと同じようですな
何故かは分かりませんが、コレは利用しましょう」
鍵を開けて中に入ると数人の兵と背の高い獣人の女性
おそらくアレが迅狼丸とかいう人物だ私達が近づくと
刀を構えて吠える
「小賢しい蛇のはらからよ、一匹残さず
捻り潰してやるこのような所で私の願いは
誓いは終わらぬ終わらせぬぞ…!!」
迅狼丸は大振りの刀を叩きつけるがタカヤは
それを避け足の腱を切り付ける、それでも
刀を振り回して攻撃しようとする剣の重り部分で
弾いて手首を軽く切る流石に耐えられず
両手で斬りかかってくるがみぞおちに
グリップを深く叩き込む、迅狼丸は口を押さえて
倒れ込む、どうやらこちらの方が強かったようだ
「ゲホゲホッぐうぅううぅ……」
剣を鞘に収めて要件を言う
「私達が協力してる大狗権現様に王座を
譲ってもらえるか?出来れば命は取りたくない」
迅狼丸は話が分からないという様子だどういう事だ?
「オマエ達はあの蛇の配下ではないのか?」
さっきもそう言ってたな何故私達をアイツの配下だと
思ったのだろう?爬虫類の獣人は一人もいないのに
「どうゆう事か話してくれるか何故私達を
アイツの配下だと思ったんだ?理由が知りたい」
迅狼丸は息を整え胡座をかく
「数日前場所を突き止めたので兵を送り込むと
手紙が届きこの宿の近くで我が兵が数人死んだ
今日ついに攻め込んで来たかと思ったが
オマエ達は蛇の配下ではないと言う何か奴の策が
あるのだろう十分に気を付けておく事だ
ヤツは聡い……策を練り…裏をかき人を貶める…」
流石にガタが来たようだ治療したら拠点に帰ろう
多少の不安が有ったが拠点は無事で特に攻め込まれた
跡すら無い何故私達が攻め込む事を知ってたんだ?
味方に裏切り者がいる?だとしたら誰だ?
いや思い当たる人物がいる最近出来た部隊が
古巣の話を知ってたんだ?彼は何処に行った?
大狗に近づく獣人の男をシズが止める
「貴方は何者ですか?」
ダブついた皮を撫でながら彼は答える
「はて?何の話でしょうか私はただの
しがない兵です証明は難しいですが…」
シズは銃を構える、そして
「何故、貴方から死臭がするんです?」
獣人はふぅ…と溜め息を吐き
「だから駄犬の皮は嫌なんだ…臭ぉてかなわん…」
犬の身体を引き裂き鱗を纏った巨体が現れる
巨大な蜥蜴男の頭にシズが数発弾丸を撃ち込むと
ぐらりと身体を曲げ痛みに耐えるそのうちに
背後に回り込みナイフを膝裏に突き刺す
タカヤが敵の顔付近に粉をばら撒き手を擦り合わせ
火を点け離れると軽く爆発する顎がもげて
手が黒焦げても蜥蜴男は止まらないが
タカヤがナイフを頭部に突き立て電雷を流す
と白眼をむいて倒れる結構強かったな
取り敢えず鉄紐で縛り檻に閉じ込める
だがまだざわついているおそらくどれだけ
敵が混ざってるか分からないからだ
疑心暗鬼にするのが敵の戦略なのかもしれない
こんな時こそ飯でも食って落ち着かないといけない
そうだな鶏鍋でもしようまず昆布と切った椎茸を茹で
出汁を取り昆布をあげて刻んでおく雑炊用だ
次にキャベツともやしを入れて一煮立ち
手羽先を入れて鶏肉ミンチに胡麻油生姜を混ぜて投入
よく火が通ったら完成だもみじおろしとレモン醤油で
食べると美味しいもみじおろしは大根に穴を開け
唐辛子を差し込み削ると良い感じに出来る
レモンと醤油の割合はお好みで作り分けるのがベスト
美味いもの食べれば不安や悩みも多少和らぐ
みんなで鍋を食べ一致団結した残りは一人だ




