40:文化祭を楽しもう!(2)
お待たせして申し訳ない。
今日は2話連続で投稿するZE!
オレたちの前にジンさんがニヤリとほくそ笑んで見つめる。
ああ、しまった。チャイナ服できたのはやっぱ間違いだったかも......。
だって、向こうからしたら「自分の買った服を着てる」状態だもんな。
「ハルちゃん、ちゃんと僕があげた服着てくれてるんだね」
その言葉にさすがの一途も困惑した顔でこちらを振り向く。
「えっ、まじで? まあ自分で買わなそうなきわどい服だなとは思ったけどさ」
「まあ、そうなんだけど別にジンさんに見せたかったわけじゃなくて、お前に評価してほしいなって思って着てみただけ」
オレはバカだ。率直に言葉を言いすぎてしまった。ジンさんの顔が少し暗くなる。この人は感情がわかりやすい。ジンさんは一途をジトっと見つめて意外なことを口走る。
「ねえねえ、一途くん。ちょっと僕とゲームしないかい?」
「ゲーム? どうしてですか?」
「いやあ、僕たちってさ、推しが同じ同士だから分かり合えないかな? って思うんだけどさ。君はどう思う? やっぱり同担拒否系?」
「いや、なるべく同じ推しならいがみ合うより手を取り合って応援する方がいいですけど。それとゲームすることに何の意味が?」
「単純なことだよ。オフ会交流みたいなもんさ。君もエルちゃんの実況見るなら多少はゲームするでしょ?だからいっぱい遊んで僕という人間を分かって欲しいのさ。もちろん、エルちゃん君にもね」
ジンさんはオレにウィンクして見せた。
うーん......。まあ、ファンが交流してくれるのはうれしいけど、なんか別のことで争ってるみたいで嫌だな。
「オレは別に構わないけど、一途どうすんの?」
「あ? 売られたケンカは買わんとな。で、ゲームって何すんの? スパブラ? EPEX?」
「ううん、僕たちが初めて見るものにしよう。ついてきて」
初めて見る? だいたいの対戦ゲームは実況でも見たことあるし、多少はやったことのある俺たちが知らないものってなんだ? ジンさんはオレたちを別の教室へと連れていく。そこにはボードゲームサークルと書かれた看板が掲げられていた。
「ボードゲーム?」
一途もちょっと首をかしげていたけど、ジンさんのことだからゲーセンとかでゲーム対戦すんのかと思っていた。それが、ボードゲーム?
「ははーん、俺がボドゲ駄目だって踏んだな? 残念、オセロと将棋は子供ん頃からの得意なんだよ」
「え、この間一途お前、スイッチの遊び大全でオレに将棋ボロ負けしてたじゃん」
「うっせーよ。それはそれ、これはこれ」
「ふふ、それは楽しみだね。じゃあ、中入ろっか」
ジンさんが率先して中に入っていくと、オセロや将棋だけじゃない、海外の知らないボードゲームが並べられていた。なんとなく見たことあるけどルール知らん奴ばっかりだな。
ふいにジンさんがボドゲサークルの一人に声を掛けた。
「君、ここにオリジナルゲームがあるって聞いたんだけど」
「ああ、試作品の『限定チェス』? そこにありますよ。試してみます?」
「ああ。後、ルール説明係も連れてきて」
「は、はい......」
ジンさんの言葉そのままにオレたちは、そのボードゲームが広げられた机に座る。確かに名前の通りチェスみたいな盤面だな。駒は10個ずつ。意外と少ないな。
「じゃあ、ルールを説明します。8×8マスの64マスにそれぞれ10個の駒を置いて、先にすべての駒を無くして持ち駒の多い方の勝ちです。チェックメイトとか王手のような詰みを認めるものはないです。敵を全滅させるまでがゲームです。駒の内容は、ドラゴンが4つウィザードが4つ、そしてネザーが2つです。それぞれ、ドラゴンがネザーに勝ち、ネザーはウィザードに勝ち、ウィザードはドラゴンに勝つという風になってます」
オセロやコインのように丸い駒にドラゴンや魔法使いの杖のようなものが描かれた駒が二人に配られていく。自作っていうのもあってか、めちゃくちゃチープだ。
「ちょっと待って。それじゃ、ネザーって不利じゃね? 数あってないし。あいこ合戦になって終わるんじゃね?」
「その辺は試作品ですし、このゲームの神髄はむしろあいこにあります。あいこになった場合、自分と相手の駒をひっくり返します。ドラゴンと魔法使いには裏面のあるものとないものがあります。この場合、裏面ありとなしの場合はありの方を優勢として裏面なしをゲームから除外します。どちらもなしの場合もゲームから除外されます。アリ同士の場合はプレイはできませんが自分のものになります」
「それって、普通にじゃんけんして勝ったときも負けた相手の駒を取れるっていう解釈でいいのかな?将棋とかチェスみたいに」
「そうですね。すいません、言いそびれてました」
さすがジンさん。彼のゲーム把握能力は中々のものだ。雰囲気ゲーとかにある初めの操作がわからない奴だったり、倒し方を教えてくれないボス戦だったりをなんとなくで理解できてしまう。
「うーん、じゃあネザーも裏あるってことよな。どっちにも......。そうじゃないと多分2つにしてる意味ないよな」
「そうです。ネザー2枚にはそれぞれドラゴン、とウィザードが裏面に書かれています。処理は同じです。ただ......。特殊勝利があります。ネザーが少ない理由としてネザーのドラゴンが2枚のみ自分の手札にある場合、相手の方が多かったとしてもそのカードを持っている人の勝ちです。あいこにしまくって手札にネザーを呼び込むか、普通に枚数で勝つか二人に任せますけどね」
ふふふと笑い、ルール説明係が終わると、すぐに一途はジンさんとにらみ合いながら駒を並べていた。普通はこの並べ方も自分で考えられるそうだが、手前から2、4、4の配置でゲームを開始することにした。
「仁さんはウィザードとドラゴン交互に並べたんすね」
「君は律儀に属性ごとに並べたね」
「だって、駒の動きは全部前後左右斜めに1つずつしか動かないんすからどこ置いても一緒っしょ」
ここでも少し彼らの個性が出ていて面白い。意外に一途は生真面目な性格だ。属性ごとに並べたのは納得がいく。一方でウィザードとドラゴンを横に交互にして並べてあるからどれが裏面ありなのかがわかりずらくなってる。策士といってもいいだろう。
彼らはホントに交流のためだけに遊んでるんだろうか? やっぱり、ジンさんのあの姿勢から感じるのは戦いのオーラだ。彼がEPEXをやっているときに見せる本気。それが今の彼に流れている。
二人は何のために戦うの......。
次回はジンさんとボドゲ対決だ!!
次回「推しが推しでいるために」




