岩院ユウタVS無限院トオヒサの結末
「なんだと!? 一体、何をした!?」
巨龍の牙まで使って練り上げた大魔法が消され、初めて動揺を隠しきれずに狼狽えるトオヒサ。
「今は何もしてないさ」
「減らず口を……!」
「地面に描いた魔法陣を見てみるといい」
トオヒサが、魔法陣を見る。
「魔法陣の一部が……削れている……?」
地面に描かれていたはずの魔法陣の一部が消えていた。
何かが通り過ぎたかのように、一直線に消えている箇所がある。
「そんなバカな! ”久遠”の影響下でこちらに干渉できるはずがない!」
「それは、俺が放ったガイアニードルが通り過ぎた後だ」
「戯言を! ワタシとお前の間にある”久遠”の隔たりを、あのちっぽけなガイアニードルごときで越えたとでも言うのか!?」
「そうだ」
“久遠”は俺の無意識を確かに狂わせ、トオヒサと俺との間に”遥かな距離”を作り出していた。
その距離は数キロか、数百キロか、はたまた数万キロか、それはわからない。
しかし、そこにあったのは”無限”ではなく、”有限”にすぎない。
トオヒサの目から見たガイアニードルは、さぞゆっくりだったことだろう。
それでも、魔力が切れることがなければ、いつかはトオヒサの元にたどり着く。
“久遠”を発動している限り無敵だと考え、詠唱に集中していたトオヒサは、そのゆっくりと迫るガイアニードルに気づくことはなかった。
トオヒサの顔には、これまでにない驚愕が見てとれる。
しかし、すぐに冷静さを取り戻すと、こちらに話しかけてくる。
「なるほど、お前が”久遠”をガイアニードルで越えたというのは驚いた。だが、それに何の意味がある? ワタシはお前が魔法を放ったのを見てから、ゆっくりと移動して避ければ、それでいいのだ。無敵だと思っていた”久遠”に穴があるのは意外だったが、未だ”久遠”を破れたわけではない」
トオヒサの言い分はもっともだ。
ガイアニードルがトオヒサの元に届くまで、かなりの時間がかかった。
何か魔法を撃ったところで、トオヒサが意図して避けようとすれば、簡単に避けられてしまうだろう。
「ああ、だが、これでだいたい距離の感覚は掴めた」
元々、俺の狙いはトオヒサに直接魔法を当てることではなかった。
“久遠”によって俺の無意識に植え付けられたトオヒサとの隔たり……それがどのくらいなのかを測りたかっただけだった。
「掴めたからなんだと言うのだ?」
「簡単な話だ。もし、”久遠”によって俺とお前の間に1万キロメートルの隔たりがあったとして、1万と1キロメートル先に直接魔法を当てればいい」
「馬鹿なことを!」
トオヒサが俺を嘲笑する。
「荒唐無稽だな。魔力の遠隔操作の難しさを、知らないわけではあるまい? このワタシですら触媒や魔道具なしでは3メートルが限界だ。いくらお前が膨大な魔力を持っていたとしても、今魔法を思い出したようなお前にそれだけの技術があるわけがない」
魔力を自分の身体から離れた場所まで操作して、その場所で魔法を作り出す。
これが非常に高度な技術であることは、常識だ。
はっきり言って、トオヒサの3メートルという数値でも驚異的なものである。
「ところで……この”久遠”という魔法は、発動地点を決めて、その一帯に居た人物に影響を及ぼす魔法だな?」
「それがどうした?」
「もし、人を対象にかける魔法であったなら、俺はマホロに近づくことも出来なくなっていたはずだ。そうでなかったということは、俺たちの居るこの場所自体に”久遠”がかけられているということになる」
「だから、それが分かったからと言って、何になるというのだ!」
「こうするんだよ」
俺はそっと大地に手を当てる。
確かに、魔力を身体から離して操作するのは難しい技術だ。
感覚だけで魔法を使っている今の俺には、到底無理な技術だろう。
しかし、そもそも俺の使う魔法は、「俺の身体から放たれるわけではない」のだ。
大地の魔力を使って魔法を詠唱する俺の身体とは、「大地そのもの」だ。
「ロックウォール」
俺は、”久遠”のその先を目標にして、魔法を放つ。
トオヒサは大地に立っているのだ。
距離さえ分かってしまえば、強引に”久遠”を越えることも可能だった。
ズゴン!
地面が、弾けるように隆起し岩が形成されていく。
俺が使ったのは、本来は盾として使うロックウォールだ。
しかし、なにもトオヒサの前に盾を出現させたいわけじゃない。
俺が狙ったのは、トオヒサの足元だ。
「なっ……!!」
せり出してきた岩にふっ飛ばされるトオヒサ。
突然のことに、受け身を取ることもできず、ドスンと地面に叩きつけられる。
「ぐ……」
顔を上げるトオヒサ……
だが、その目の前にいるのは……
「マホロを傷つけたお前を、絶対に許しはしない」
俺だ。
“久遠”によってこちらから近づけないのなら、トオヒサをこちらに近づけてしまえば良いのだ。
トオヒサは急いで立ち上がり、すぐさま魔法を使おうとするが、この距離はすでに武術の間合いだ。
「俺は! マホロを守ると約束したんだァッ!!」
俺が繰り出したのは”正拳突き”だ。
トオヒサは”久遠”の発動のために、魔力障壁すら纏っていなかった。
確かに、”久遠”を使っていれば普通は攻撃されることがないため、トオヒサの判断が悪かったというわけではない。
だが、俺という相手が悪かった。
「支配者は、このワタ――」
ドゴォッ!
トオヒサの言葉が最後まで紡がれることなかった。
繰り出された正拳突きが、トオヒサの顔面にクリーンヒットする。
折れた歯と血が飛び散り、声を上げることも出来ずにぶっ飛んでいく。
そのまま後ろに倒れたトオヒサが、起き上がってくることはなかった。
作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。
当然、【評価ptの数だけ戦闘力が上がる】チート能力を保持しています。
というわけで、広告の下にある☆☆☆☆☆より評価をしておいてください。
約束ですよ。




