真実を探して
魔眼を通して見たその魔法は、美しく、緻密だった。
地面に描いた魔法陣が、拡大されたかのように空に映し出されていた。
そして、その魔法陣から無数の魔力が地面に伸びていく。
魔眼を持ってしても、それしか見ることが出来なかった。
一体どういう原理で記憶の書き換えを成立させているのか、全く理解することは出来なかったし、地面に向かった魔力がどうやって人々の記憶に影響を与えるのかも全く分からなかった。
いくら触媒を使っているとはいえ、これだけ大規模で精密な魔力操作ができるのは、ほんの一握りの魔法使いだけだろう。
無限院マホロは、将来的に二つ名持ちとしてその名を世界に響かせる――そんな未来が簡単に想像できてしまった。
凄まじい力を持った魔法使いと言うと、一瞬エメスのことが頭にちらつくが、あれは例外中の例外だと自分を納得させる。
魔法を使い終わったマホロが一息つく。
そして、髪飾りについた土をはらうと、髪飾りをつけ直す。
「さて、あとはホテルに移動する御祖父様を待てばいいね!」
そう言うと、マホロは警備の人たちが並んでいる道の方へと歩いていく。
「本当に大丈夫なのか?」
「手応えはあったよ」
しばらく進むと、警備の人たちの何人かがこちらに気づき、近寄ってくる。
マホロの魔法が失敗したのではないかと思い、身構えてしまう。
「止まりなさい。あなたがたは何者ですか!」
「私は無限院家の無限院マホロです。そして、こっちは岩院家の岩院ユウタ。面会のために、ここで待たせてください」
「ご親族の方でしたか。それではこちらでお待ちください」
警備の人に案内され、俺とマホロは警備の列にすんなりと並ぶことになる。
いくら親族とはいえ、サミットの最中に警備の列に並んで待つなど、普通は考えられないことだ。
マホロの魔法の効果は確かに出ているのだろう。
とはいえ、このためにここに居る大勢の人の記憶をいじったと考えると、あまり気分は良いものではなかった。
今後、マホロがあの魔法を使わないように、もう一度しっかりとお願いしておこうと思った。
トオヒサが来るのを待つ間、俺はマホロにトオヒサのことを尋ねてみる。
「覚えてないんだけど、マホロのおじいちゃんってどんな人なんだ?」
「うーん……一言で言えば、妖怪みたいな人かな。いつ見ても、見た目が変わらなくて、正直不気味だなと思ってた」
「一応は当主様だろ? そんなこと言って良いのかよ?」
「昔から、私は御祖父様のことが苦手なんだよ。何考えてるかわからないし、いつもこっちを舐めたような態度をしてくるんだ。ただ何にしたって、もし記憶を操作したのが御祖父様なら、絶対に許さないから」
果たして、10年前の真実は何なのか。
俺が、魔法を使い巨龍を倒したというのは本当なのか?
本当に俺は記憶を消されているのか?
それを知るのは、無限院トオヒサだけだ。
――俺たちはトオヒサを待った。
作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。
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