魔王
突如魔王として目の前に現れた死んでしまったハズの二人いるAIのうちの一人であるアイ
バグに感染していると言われたヤマナカ
物語は佳境を迎える、刮目せよその終わりを
-全てを思い出した俺はバグに感染したヤマナカを救うために、魔王軍四天王と魔王であるアイと協力して戦うことにした
「行け、我が四天王
クイーンエリザベス!ネルソン!オライオン!」
「「「おう(承知)(りょーかいッ!)」」」
キングジョージのような角が生えた人型の魔獣3匹が、それぞれ弓・斧・モーニングスターを持って襲いかかる
しかし一瞬の出来事だった、3匹ともヤマナカの呪文により頭以外が吹き飛びその生首は虚しくも地面に落ち、血は綺麗な絵画を作り出した
「やっぱり無理ね、もうどうしようも無いのかしら…」
「諦めるのかよ!辞めないでくれ!諦めないでくれ!」
そこでアイは少し笑ってすぐに真剣な顔になる
「うそうそ、でもヤマナカを殺さなくては世界は崩壊してしまうわ殺すしかない
でも、もし失敗すれば自体は悪化するけれどヤマナカを救える可能性があるとしたら?」
「フン、決まっているだろう
君が死んでしまった時、俺は救えなかった
しかし、今度は絶対に救う!
俺はお前もヤマナカも両方救う!」
するとアイはすぐに話し始めた
「よろしい!
では、ゲームを強制ロードして君をヤマナカと会う前に戻すわ
そうしたらこの修正パッチが入った剣で貫くのよ、効くかどうかチャンスは一度きり、失敗すればヤマナカは暴走してしまう
そうなればあなた自身でヤマナカを殺すことになるわ
では、行ってらっしゃい!」
何かに吸い込まれるような衝撃を受けるのと同時に世界がゆがみ始め、気づくと何度も見た森を出た広場に立っていた
ヤマナカが居る
俺はすぐに駆け寄っていき剣を振りかぶり突き刺す
「ぐっ、ぐわぁぁぁあ痛い痛い痛い痛い
あっ、ぁぁぁあ」
すごく苦しんでいる様子につい剣を抜きたくなるが、それは出来ないと必死に突き刺し続ける
急にヤマナカが静かになる、そしてまた狂乱したような様子をみせ呪文を唱え始めた
俺の首が吹き飛ぶのを感じた頃には既に意識が薄れかけていた
その後、俺はロードされて老人の家へと戻りその後何度もヤマナカに剣を突き刺しては何度も暴走されてもはや成功するなんて無理かとすら思いながら何度目かの死を迎えていた
(そうか、俺の冒険はここまで…
結局誰も救えずに死んでいくんだな…
ごめんな、アイ、ヤマナカ)
「諦めるのはまだ早いぞ」
脳内に声が聞こえ気がつくと体が元通りになっていた、その声にはもちろん聞き覚えがある
''田島''だ
「なんとか間に合ったな」
聞きなれた鈴がなるような少し高い声に、小学生のような背丈に端正な顔立ちに野球帽
間違いない田島だ
しかし、俺はついバグに感染した時にバラバラにして殺してしまったことを思い出し泣いてしまう
「どうして泣いているんだ?
まだ気に病んでいたのか、あれは仕方なかったんだ
こちらも殺す気でいたしおあいこだよ」
そして俺は何があったのか全てを聞いた
「あの後開発者は俺からバグを取り除いて石像として封印した、そしてアイを魔王にして復活させてゲームを作り直し田島も復活させたと」
「そういう事だ」
開発者に感謝したいが今はそれどころではない
「そうだ、ヤマナカを救いたいんだがどうすればいい?」
田島が喋り始める
「手段がないことは無いぜ、お前の手でバグを取り除くんだ」
「それは無理だ、手段がないし一体どうやって」
田島が少し呆れたような顔をしながら首を振り手を横に広げる
「なんでお前はデバッグモード使えるのに使わないんだ?
まぁそれとコードを書き換えてバグを治す能力与えといてやったから使えよ」
それだ、このゲームのデバッグモードにはきっと弱体化とか以外に役に立ちそうなものがあるかもしれない!
俺は走りながら田島に礼を言って死んでいる間に居なくなったヤマナカを追いかけた
-「追いついたぞヤマナカ」
「ナンダ…?」
こちらを見るとまた呪文を唱え始めたがすぐに冷静に対処する
「コード04起動!呪文封印!」
そこからはどんどん畳みかけていく
「コード03起動!移動制限!」
「コード08起動!弱体化!」
「コード06起動ry」
ありったけのコードを唱えまくる頃にはもうヤマナカは1mmたりとも動けなくなっていた
そこで俺は懇親の力で最後に一言唱える
「コード修正!!」
ヤマナカは正気を取り戻し、気を失いこちらへ倒れてくるので受け止める
そして暫くしてヤマナカは意識を取り戻した
「哀…川?」
「良かった、俺のようにならなくて本当によかった」
さぁ、ここからが2度目の冒険の始まりだぞ
-その後俺は魔王城へと向かい、四天王を倒しアイを追い詰めて和解して侵攻しないことを誓わせた
-GAME CLEAR-
「本当に帰ってしまうの?」
アイが問いかけてくると首を縦に振る
そこへ自分がゲームのキャラだとも知らないヤマナカが来る
「なぁ、魔王とそんな話してないで街に帰ろうや
きっとどの町もお祝いムードやで!」
「そうだな、帰ろうか」
-「私はゲームのキャラだからそちらへ行けないけれど元気でね、いつでも待ってるわ
また気が向いたらいらっしゃい…
愛してくれて本当にありがとう」
魔王城を出たらエンドロールが流れて現実へ帰らされてしまうということをアイから聞いたので少し渋ったが、無事エンドロールを見た
プシュッ…ガタン
俺の精神をゲーム内へと送り込んでいたポッド型の機械が開く
-「お疲れ様でした、こちらの不手際により非常に長いゲームになってしまったことをお詫び申し上げます」
ゲーム開発者と思われる無精髭を生やした20代と思われるお兄さんが話しかけてくる
「いえいえ、構いません
十分楽しませて貰いました」
俺は久々の家路に着いた、しかし帰るあいだ片時も忘れなかったものがある
ゲームを終える直前にアイが見せた笑顔だ
涙を流していたが、その顔は俺を送り出すには十分すぎる満面の笑みであった
俺はきっと何をする時もこの顔を思い出しては泣いてしまうな
-こうして俺の少し長かったゲームは終わった
しかし、プレイヤーがいる限りゲームというものは永遠に続いていく…
-to be continued-
読んで頂きありがとうございます!
我ながらよく書けたと思いますので自信を持って投稿致しました、楽しんでいただけたなら嬉しい限りです!
それではまた