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浪矢の異世界転生旅行記(改)  作者: 無なる者
3/13

上級神


3 上級神


ひゅうううう~ーー


無情に流れる虚空の風が空を移動する矢座霧乃君(浪矢)の頬を掠める。


「·······。」



《どうかしたのか?。》


空を四本足で蹴る闇照が背中に乗せていた矢座霧乃君の微妙な変化に気づき心配して問いかける。


「いえ、何でもありません····。」

「ろうや?。」


前に座っていたラベンダー色の髪を揺らし心配そうに闇月乃姫ジュネが矢座霧乃君(浪矢)の顔色を窺う。

闇照という犬神を殺す。

それがクリエイスの回収方法

浪矢はその衝撃的な事実に身体が重く胃が逆流するほど吐き気をもよおす。

目的を完遂させるためには殺さなくてはならない。この善良そうで優しそうな犬神を。

浪矢は神殺しの経験はあった。それはジュネの世界で魔神、邪神、悪神という世界を我が物にしようした明確な悪敵対者であった。世界を神が人間を蹂躙し支配する世界を企んだ悪神の野望を俺とジュネで討ち滅ぼした。

だが今度の世界では何の罪もない悪神ではなく寧ろ善良な神を自分は殺さなくてはならない。

浪矢は異世界転生を続けて色んなタイプの敵対者と対峙し殺した。それは敵対者は明確な悪であったからだ。だがこの世界で初めて善良な者を殺す。矢座霧乃君(浪矢)の手は震えだす。初めて恐怖を感じた。その恐怖は強者を相手取る恐怖をとも違う。初めて罪のない善良な者を殺すという罪を犯す恐怖であった。


矢座霧乃君(浪矢)の震える手にそっと幼い手が添えられる。

幼い冷たい手であったがそれでも微かな温もりを浪矢に与えた。


「ろうや、大丈夫だよ。大丈夫····。」


闇月乃姫ジュネが母が子を優しく宥めるように優しく声をかける。震えた手が闇月乃姫ジュネの冷たくも温もりのある幼い手によっておさまる。


「ジュネ、ありがとう···。」


ラベンダー色の髪を靡かせるジュネの下瞼と隈のついた幼い素顔がニッコリと微笑む。


どう致しますか?。

ラーシアの声が無情に頭に響く。

他に方法はないのか?。

『現状ではありません。』

そうか····暫く様子をみる。闇照という犬神は何か目的があるようだし。暫くは同行するつもりだ。もし本当にそれしか方法ないというのなら···そのときは···。

浪矢は固く口をつぐむ。


『そうですか····。浪矢様のお好きなように行えば宜しいと思います。これは浪矢様の旅ですから。』

感謝する···。


プツ

ラーシアの思念の通話はそこで途切れる。

この世界で闇照という犬神を殺す以外の方法がないとも言えない筈だ。

闇照の魂にクリエイスを結合させた張本人がこの世界にいる筈だ。そいつならクリエイスと魂を分離させる方法だって解るかもしれない。

淡い期待でしかないのかもしれない。綺麗事で事が進められないことも解っている。それでも俺は罪を犯さずに進めるなら進みたい。臆病者、偽善者、愚者と罵られようとも俺はこの路を歩む。


《着いたぞ。》


闇照の声で我に返る。

辺りを美しい庭に降りていた。

庭の前方には正方形の人工的なだだっ広い池があり。その池の真ん中に一本道の通路が伸びていた。通路の奥には立派な宮殿がそびえ立つ。

矢座霧乃君(浪矢)と闇月乃姫ジュネ黒い毛皮の背中から降り立つ。


《ここが私達が遣えている神、時渡津見ときわだつみ様の殿である。》

「粗相ないようになあ。」


蚤童子だけ降りずに闇照の犬耳の頭上をぴょんぴょんと跳ねていた。


《それでは参ろうか》


闇照の四本足に続き矢座霧乃君(浪矢)と闇月乃姫ジュネはついていく。

広い池を分断する長い通路を突き進む。

池の長い通路を進み終わると宮殿の入り口についた。

入り口前には巨大な鳥居があり。奥の宮殿は朱色の柱で何本も支えていた。左右に何本の朱色の柱が支える宮殿の通路を通る。

神の宮殿でありながら人気がなかった。


「ああ···闇照っ!!。」


ファさ

突然羽衣を羽織る着物を着た美しい女性が現れ闇照の黒い毛皮に抱きつく。


森野珎女もりのうずめっ様!?。》


闇照は森野珎女もりのうずめという女神であろう突然の来訪に犬耳を逆立て戸惑っていた。


「心配したのですよ。貴方が穢れに染まり穢れ神なってしまうのではないかと。」


緑色の髪を束ねた美しい女神が大きな黒い毛並みに身を寄せる。


《心配しすぎですよ。森野珎女様。私は穢れにある程度の耐性があります。それにこれは私のお役目ですし。すすんでしていることなんです。》

「それでもわたくしは心配なのです。貴方が無事に戻れるよう。何度も日出弥ひいずるみ様にお祈りをしているのですよ。」


森野珎女は巨大な黒い犬の身体の毛並みを優しくさする。


「あの方は森野珎女もりのうずめ様だ。自然と森を司る女神様なんだぜ。闇照様をああやって子供のように過保護に扱うのさ。闇照様もあの方には頭が上がらないのさ。」


いつのまにか勝手に俺の肩に止まって蚤童子が森野珎女の紹介を始めていた。

森野珎女は後ろで控えていた青年と少女に目をとめる。


「あら?其方そちらの方は。」

《私に遣えたいという新米の神です。名は矢座霧乃君と闇月乃姫と申します。》

「どうも初めまして···。」


俺とジュネは深くお辞儀をする。

ジュネは森野珎女にたいして品定めするかのようにぎらついた鋭い視線を発していた。

森野珎女が俺にちょっかいだすタイプか警戒しているのだろう。


「まあ、何という生命力を溢れたお二方なのでしょう。片割れの幼い女神は日出弥様ほどの力を感じます。」

《それほどですか!?。》


闇照も黒い犬耳を逆立て驚いていた。

まあ別の異世界の創造神の末の娘ですからねえ。正直ジュネの戦闘力は総合的比べて俺よりも数百倍も上なのである。力を除けば全てパラメータが最強クラスである。チートキャラ言えるほどジュネは最強キャラなのである。そのぶんヤンデレ属性が有るゆえに扱いづらいのだけれど····。


「この二方なら闇照、貴方のよい相棒パートナーになるでしょう。」

「ですがまだ時渡津見様の了承は降りていません。これから報告ついでに許可を得るつもりなのですが。」

「そうですか。でしたら私も口添えを致しましょう。」

「感謝します。」


森野珎女様という女神様も同行することになった。温厚で優しい女神様だ。巨乳でもあるし。さすがは自然と森を司る女神だ。自然と森を司っているから豊かな胸の膨らみをお持ちなのだと自分で勝手に納得した。

じぃぃぃ

ジュネは俺が森野珎女様の巨乳に魅了されていないかと強烈な眼光を放って監視してくる。

俺の下心を悟られまいと目を泳がせた。

宮殿の奥に奥に進み大広間にでる。

左右には何本の朱色の柱が連なっていた。

大広間の奥には巨大で装飾が施された巨大な玉座があり。

そこに巨大な巨人呼べるほど背丈の人物がどっしり椅子に座っていた。正にGODというなの風格を醸し出していた。巨人程の背丈ある神は独特な豪華な和風の着物を着ていた。

身の丈何メートルの巨人の神の前にたつ。


「来たか·····。」


つり上がった眉毛をはやし厳格な顔が此方を見据える。


《時渡津見様、お役目無事終了致しました。》

「ふむ、大義であった。」

「ギャギャ、相変わらずまだぴんぴんしているじゃねえかっ。犬っコロ!。」


時渡津見の隣であぐらをかきながら宙に浮く角の生えた小鬼に目が止まる。おでこに一本の角をはやし身なりがあの牛若丸が着ていたような平安装束を着ていた。あれも神様なのだろうか?。


「こらっ!闇照様に向かって犬っコロとは何事か!!。」


蚤童子は闇照の犬耳の頭上をぴょんぴょんと跳びはね憤慨していた。


「ケっ、犬っコロを犬っコロと言って何が悪い。」


平安装束を着た小鬼は宙を遊泳し冷やかすようにケラケラと嘲笑する。


「貴っ様ー!!。」

《蚤童子、善い!。気にはせぬ。》


闇照は強く静止する。


「し、しかし···。」


闇照の犬耳の頭上で蚤童子の口が苦渋に歪む。


鬼面籠きめんろうこれ以上私の愛しい闇照を侮辱するならただではすまさぬぞ。」


ゴゴゴゴゴ

あんなに温厚で優しそうだった森野珎女もりのうずめ様が逆鱗に触れたのか異様な威圧を放って激怒していた。


鬼面籠きめんろう··言葉が過ぎるぞ···。」


巨大な玉座に腰かける時渡津見は場を読み鬼面籠の言葉を遮る


「はい、すいやせん。」


鬼面籠は大人しく身をひいた。


「我が遣いが無礼を働いてすまぬ。」

《いえ、気にしてはおりませぬ。》

「そうか···、務めで疲れたであろう。暫し休みをとるがよい。」

《いえ、私はお役目が全てです。このまま続行したいとおもいます。》

「そうか···。して、そのもの達は···。」


つり上がった眉を上げ鋭い瞳が威圧的な冷たい視線を向けてくる。。

それは本当に冷たい威圧感のある瞳だった。ジュネの父親である創造神と比べるとあちらとは違い温かみと言うか情というものが一切感じられなかった

隣にいた闇月乃姫ジュネも何処か疑念という疑わしげな眼差しを向けていた。

一応闇照に労いの言葉をかけているようにみえるがそこには一切情というものが入っていないのだ。

矢座霧乃君(浪矢)じっと時渡津見という神を観察する。身の丈以上の巨大な神で長い黒髭を蓄えている。上級神で闇照が遣えている神だという。闇照の魂とクリエイスが結合されていることに関係しているのだろうか?。


《このもの達は右が矢座霧乃君、左が闇月乃姫と言います。私に遣えたいと申しております。》

「へえ~闇照みたいな神に遣えたいなんてそんな酔狂な神もいたもんだ。」


ジロリ

鬼面籠は茶化す言動に時渡津見の睨みきかし黙らせる。


「時渡津見宜しいのではないですか。闇照ヤミテラスはお役目を充分果たしています。少しでも闇照のお役目の負荷を和らげるためにも1人2人遣いが増えても構わないではないですか。」

「んむ。確かに穢れの浄化は多大な負荷がかかる。だが新米の神二人増えたところで役に立つのか?。」


時渡津見は俺とジュネに厳格な冷たい軽薄な眼差しを放つ。


「問題ないでしょう。私から見てこの二人はかなりの才に溢れているようですし。」


森野珎女は繕うように微笑み返す


「そうか····。」


森野珎女の提案に時渡津見は顎に手をあて考えこむ。

数秒たち顎にあてた手を椅子の手掛けに戻す。


「よかろう。その二人の神を闇照、お前の遣いとして認めよう。」

「感謝します。時渡津見様。」


闇照は犬耳の頭を下げ深くお辞儀をする。

別れの挨拶をすまし俺と闇照は再び宮殿を

正式に遣えることが決まった。闇照は次のお役目の為別れの挨拶をし宮殿を出る。

宮殿内で闇照と森野珎女と新米の神二人の姿が小さく遠ざかっていくのを時渡津見は厳格な冷たい眼差しでじっと見つめていた。


「だいぶ溜まってきましたねえ。あの犬っコロ。」


鬼面籠は闇照と関係者がいないことを良いことに再び口悪く悪態をつく。


「もう少しだな···。」


巨大な椅子にどっしりと座る時渡津見は厳格な顔が初めて口元が醜悪に歪んだ。


「しっかし、あの犬っコロ頑張るねえ~。多量の穢れをその身に宿しているのに、他の神なら直ぐに発狂して穢れ神になってもおかしくないのにねえ~。」


鬼面籠の牙の口が卑しげにひきつく。


「なればこそだ。かのような強き想いを持つ者が穢れに身を宿しても自我を保てるのだよ。穢れが全て満たされるのも時間の問題だ。」


巨大な椅子に腰かける時渡津見は冷笑を浮かべる。

鬼面籠は宮殿を出る遠くの黒い炎を纏う巨大な犬に冷ややかな視線を送る。


「まあ、あの犬っコロの思いが本当に実るかどうかなんて···分かりゃあしませんがねえ。くく。」


鬼面籠は思い出し笑いをするかのように腹を抱える。


「まあ、いずれにせよ。もう少しだ··。新米の神の介入は想定外だが。森野珎女には悟らせる訳にはいかないなからなあ。」


「あの女神さんはあの犬っコロにご執心ですからねえ。主様でもあの女神相手ではかなり手こずるでしょう。」

「だが我が望みに障害にはならんよ····。」


巨大な玉座のような椅子に構える時渡津見は無情な顔が変わり口元が歪み厳格な顔が酷く醜く歪みきっていた。

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