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旧都の片隅で  作者: 睫永
第1幕 水の精霊
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序奏

痛い。

左足に激痛が走る。


強い腹痛。

ここ2日、水を少し飲んだだけだ。何も食べていない。


月の灯りが薄く照らす路地裏に音も無く倒れこむ。


少し冷たい地面が心地よい。


嗚呼、こうしていると嫌でも思い出す。


部屋の隙間から覗いた、父と母の会話。


『あいつは、うちには置けない。』


父の冷淡な声。


母の小さな嗚咽。


次の日には、私には居場所が無くなっていた。


嫌な記憶だ。


ゆっくりと瞳を閉じる。


母が昔弾いていた、ピアノが耳に蘇る。


なんて曲だっけ…


大好きだったんだけどなぁ…


もう、それも思い出せないや…。




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