✒ サイレンが聞こえる 2
ピロと再会を果たしてから2ヵ月が経過していた。
ピロからの手紙は未だ来ない。
既に入院はしている筈だから、ピロの奴は毎日の生活が楽し過ぎて、オレに手紙を出す事を忘れているのかも知れないな。
よしよし、サプライズして驚かせてやるかな★
とはいえ、オレが働いてる職場はブラック企業並みにハードレスな会社だ。
申請したって、簡単に有給休暇なんて許可してもらえやしない。
有給休暇を使わせてもらえる時ってのは、冠婚葬祭か入院する時くらいだろう。
酷い会社だよ。
その代わり、給料は高いし、残業代も付けてもらえるし、ボーナスも多いし、セルフだけどドリンク飲み放題だし、食堂で提供される料理は美味いし、昼休みとは別に20分の昼寝タイムも有る。
上司は鬼畜魔でブラックだけど、良い所も有るんだよな~~。
ダメ元で事情を話して、有給休暇の申請をしてみようと思う。
断られたら、どうすっかな~~~~。
意外や意外、事情を話したら、有給休暇を頂ける事になった。
急にどうした!?
但し有給休暇が頂けるのは、5月のGWが明けた後の30日間。
有り難いっちゃ、有り難いけど、先にオレの魂の灯火が尽きそうだ。
こりゃ、馬車馬のように死ぬ気で働かないとだなぁ~~~~。
しょうがねぇ……5月のGW後の有給休暇の為に、身を粉にして働くしかねぇ!!
ピロにサプライズして、驚かせる為にもな!!
頑張れ、オレ!
負けるな、オレ!
精魂が尽きる迄は励むんだぁ~~~~。
──*──*──*── 5月
──*──*──*── 有給休暇・前日
とうとう……この日が来た。
平日の月曜日 ~ 金曜日は残業して会社に寝泊まり生活を繰り返し、土曜日,日曜日,祝日も返上して、地獄の2ヵ月を何とか乗り切った。
オレは仲間達と共に、やり遂げたんだ!!
早速、自宅に帰宅して、明日から始まる有給休暇に備えたいと思う。
「 帰宅が出来る 」──なんて素晴らしい響きなんだろう!!
溢れる涙が止まらないっ!!
毎朝、朝食に利用している《 す◯家 》で顔を会わせてるSさんには、LINEばっかりだったからな、直接会って話したい。
明日は2ヵ月ぶりに《 す◯家 》へ朝食しに行く日だ。
Sさんに会えると良いな~~。
──*──*──*── 翌朝
──*──*──*── 有給休暇・当日
久し振りに《 す◯家 》へ顔を出して、2ヵ月ぶりにSさんと再会を果たし、話に花を咲かせ、予想外に盛り上がってしまったオレ達は、そのままSさんの自宅へ────。
なんか……御免な、ピロ!
見舞いには絶対に行くから、今日は許してチョンマゲ!!
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 有給休暇・2日目
やってもうた──。
大好きな【 呪数珠巡戦 】の事をSさんと夜通し語り合ってしまったぁ~~(////)
くぅ~~~~こんなに【 呪数珠巡戦 】の事を熱く語り合えたのって、大学時代以来じゃないだろうかっ!!
懐かしいなぁ……大学時代の漫研サークルで語り合った仲間達が!!
一緒に【 呪数珠巡戦 】の同人誌を作成して盛り上がってたよな……。
大学時代は本当に熱かったと思う。
思い出したら目頭が熱くなって来たよ。
「 Tさんは俺の知らない【 呪数珠巡戦 】の話を沢山知ってるし、こんなに楽しかったの初めてだよ(////)
俺の友達は中々【 呪数珠巡戦 】を読んでくれないから…… 」
「 【 呪数珠巡戦 】は長寿漫画だし、来月には128巻が発売される予定だ。
流石に今から128巻を買って読んでファンになる人は少ないかもな。
途中から作画も変わるし、賛否も有るし。
でもさ、其処も引っ括めて、古参ファンは【 呪数珠巡戦 】って作品を愛しちゃってるんだよな~~(////)」
「 ドハマリしたら愛しちゃうよね(////)
毎日でもタケさんと【 呪数珠巡戦 】の話をしたいな(////)」
「 ははは。
じゃあ有給休暇中、語り合おうか? 」
「 良いの?
有給休暇中、俺と同居してくれるの! 」
「 え…あぁ……まぁ……。
Sさんが嫌じゃなければ? 」
「 うん!
嫌じゃないよ!
帰宅したら【 呪数珠巡戦 】の話が出来るんだね!!
くぅ~~~~、嬉しいなぁ(////)」
「 ははは……。
じゃあ、自宅に荷造りしに戻らないとな 」
「 何時くらいに戻って来るの? 」
Sさんとの会話は盛り上がった。
御免な、ピロ。
今日もサプライズ見舞いには行けそうにない。
許してチョンマゲ!
──*──*──*── 4日後
漸くオレは、ピロの見舞いに行ける事になった。
先ずはピロが通った市民病院へ向かう事にする。
電車やバスといった公共交通機関を利用して、市民病院へ向かった。
──*──*──*── 市民病院
《 市民病院 》の[ 受付 ]でピロが入院している《 精神病院 》の事を尋ねてみる。
すると予想外な事を言われてしまった。
「 源宮さんですね。
えぇと──、源宮さんは《 精神病院 》に入院されていません 」
「 は?
入院してない??
いやいやいや、そんな筈はないですよ!
本人から聞きましたけど、病院が入院手続きをしてくれた──って!
もう2ヵ月以上経ってますし、入院している筈でしょう!
入院予定の患者は此処からシャトルバスに乗って《 精神病院 》へ向かう──って言ってました! 」
「 確かに此方《 市民病院 》から《 精神病院 》行きのシャトルバスは出ましたけど……源宮さんは乗られていませんでした 」
「 は……?
乗ってない??
そんな筈は無いですよ!
だって、ピロは──、アイツは……入院する事を楽しみにしていたんです!
此処から出発するシャトルバスに乗らない訳が無いですよ!
何かの間違いじゃないんですか? 」
「 いいえ、間違いでは有りません。
時間になっても来られないので、連絡も入れました。
出られませんでしたし、折り返しも有りませんでした。
来られない源宮さんを残して、出発しました 」
「 そんな………… 」
「 お渡ししている《 精神病院 》のパンフレットには、住所も書かれていますので、もしかしたら御自身で向かわれたかも知れません。
此方が《 精神病院 》のパンフレットになります 」
受付穣からパンフレットを貰う。
確かにパンフレットの裏にはピロが入院しているだろう《 精神病院 》の住所が書かれている。
交通費が痛いけど、タクシーで行くしかない。
──*──*──*── タクシー乗り場
オレは停車しているタクシーに乗車する。
運転手にパンフレットに書かれている住所を見せる。
運転手に事情を話したら、「 態々現地へ行かなくても電話をして聞いたら済むんじゃないですか? 」って至極真っ当な事を言われたけど、オレの気持ちは変わらない。
確かに《 精神病院 》へ電話をしてピロの事を尋ねれば、済む問題だとオレも思う。
然しだ、ピロが楽しみにしていた《 精神病院 》が、どんな施設なのかをオレだって直かに見てみたいんだ。
そんな訳で、タクシーはオレを乗せて目的地の《 精神病院 》を目指して出発した。




