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アレクシスは内心焦っていた。
ベリンダ嬢は浅慮で傲慢なところはあるが、素直な面も沢山持つ女性だった。
王命とは言え、見た目の美しさを美徳とする価値観を持つ彼女がこんな醜い肉の塊である自分と婚約させられたのだ。月に一度のお茶会やその他の誘いをすべてボイコットされても仕方がないと思っていたのだが、彼女は変に責任感が強いのか、はたまた面倒見の良い姉御肌なのか、必ず小言や文句を言いながらも付き合ってくれた。
彼女以前の他の婚約者たちは、お茶会はおろか手紙の返事すら返ってきた事はなく、やむを得ず必ず婚約者と出席しなくてはならない夜会では、エスコートする手を浮かして触れないようにされていた。
アレクシス自身彼女に恋愛感情こそ持っていなかったが、それなりに情はあった。
だからこそ、彼女が無礼に不敬を重ね罪人として断罪される事をアレクシスは望んでいなかった。
従兄と良い仲だという事も把握していたし、彼女が望めばいずれ婚約解消をしようと秘密裏に準備を進め円満解消できるくらいには彼女の事をアレクシスなりに気に入っていた。
まさかこんな公の場でこんなバカな騒ぎを起こすとは思っていなかった。この会で騒ぎを起こし自分に婚約破棄を言い渡すだけであれば、大した事にせず穏便に片付ける方法はいくらでもあったのだが。
従兄を担ぎ上げ陰謀を示唆するような発言や大国の姫にあんな態度を取られては、さすがにアレクシスの何とか出来る範疇を超えてしまう。
「(物理的に首だけは守ってあげたいけどな・・・。)」
アレクシスがそんな事を考えて苦笑している間にも女性同士の問答は白熱していた。
「貴女方は何をもって美しいとしますの?見た目?」
「そ、そりゃそうでしょう。人の第一印象は見た目で決まるわ」
「もちろんビジュアルの良さは良いに越したことはありませんし、残念ながら見た目で判断されることは沢山ありますわ。」
「ほら!やっぱり貴女だってそう思っているんじゃない!!」
「ただ・・・王太子殿下にはそれを超越した魅力がございますの!!!!」
拳を握り高らかにそう言い放ったシャロン王女に、アレクシスはただ目を丸くした。




