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“王太子殿下は呪われている”
―――それは国民皆が知る事実だ。
アレクシスの5歳の誕生日を祝うパーティーでその悲劇は起こった。
この日はアレクシスの立太子したお披露目も兼ねていた為、一部王宮を開放し平民たちの出入りを許可し、多くの店が立ち並ぶ商業街の方からお城までの目抜き通りには屋台が立ち並ぶお祭り騒ぎだった。
民衆が見守る中、王宮のテラスから挨拶を終えた時、開放していた一部の区間より更に奥へと侵入に成功した渓谷の魔女が陛下に自分を愛人にしてくれと大きな声で怒鳴り迫った。
彼女は一目見て恐れ多くも国王陛下に恋をしたらしい。
しかし国王陛下は魔女の存在は知っていても、面識はない。ましてや愛人にしてやる理由もない。国王陛下は王妃以外を望んでいない。
即座にあっさりと断わりを入れた国王陛下に渓谷の魔女は逆上し、彼の溺愛する息子であるアレクシスに呪いの魔法を掛けた。
「おのれぇぇぇ!!!呪ってやる」
「アレクシス!!!!」
王妃の悲痛な叫び声が響く。
駆け出した近衛たちは一歩間に合わず、黒い霧がアレクシスを包む
黒霧の向こう、王妃譲りの艶やかな濡れ羽色のサラサラな髪にこの国の王族の証である琥珀色の瞳を持つ神秘的な美しい子供であったアレクシスの呪いの魔法を掛けられぷくぷくと膨らんでいった。
ぷくぷく
ぷくぷく
あっという間に来ていた服はピッチピチになり遂には着ていた正装の第三ボタンがパーンっと飛んで祝賀会の為に飾られたバルーンの1つを割った。
「まあ!!!」
王妃殿下の短い声が響く。
「「「・・・・、」」」」
華奢な身体をしていた幼きアレクシスの真ん丸となったお姿を見て、皆が可愛らしいとすら思っていた。
「侮るな・・・この呪いの呪文は“真の愛”で結ばれなければ解けん」
逃げようとした魔女をすぐさま近衛と駆け付けた王宮魔導士たちが拘束した。
魔女の処刑を行おうにも呪いを掛けられたアレクシスに影響を及ぼす危険性があり行えず、渓谷の魔女は王宮の北の塔の地下牢に今も幽閉されている。




