47宴(タツヤ)
深層10万mの地底にはバンパイヤの城があった。そして、そこには、最高血種の姫アイギスがいた。
アリエルからは、血を吸われるから気を付けろ、とは言われ、畏怖嫌厭していたが、妖精とアイギスの因縁の話を聞く限り、どうみても妖精が悪い。
でも、わかっているのは、まだ、それだけ。
アイギスが味方なのか、敵なのか、はたまた、単なる第三者なのか、まだ、何もわかってはいない。
アリエルとアイギスの戦いが一段落したところで、恐る恐る声をかけてみる。
「あの、、、アイギスさん?、、、どうやら妖精さんとは仲がよろしいようで。あのこちらでは何をされてるのでしょうか?」
「阿保か!仲いいわけなかろう!妾は休憩をしていただけじゃ。少し休憩を取り過ぎたかの。目も覚めたところで、久しぶりに会話のできる、『まともな』生物とであったものじゃ。妖精などというふざけた虫と違ってな。少し、妾の余興に付き合え。」
パチン
突如、アイギスは指を鳴らした。
するとどうだろか。
それまでの至る所がホコリをかぶり、蜘蛛の巣だらけであった古びた城が、キレイに掃除され、大広間のレッドカーペットには汚れや染みがあったものが、まるで新品のカーペットのように生まれ変わる。
アイギス以外は誰もいなかったはずが、玉座の奥のほうに、タキシードを着用した男たちが突如として現れ、チェロやバイオリンを手に持ちクラシックな音楽を奏で始めた。
大広間には他にもタキシードを来た男性と、キレイなドレスを纏った女性が現れ、ペアでダンスを始めている。
まるで、そこはきらびやかな貴族たちのパーティ会場だ。
「えっ!何よこれ。」
と霞の声でふと気づくと、自分の服もいつ間にか、すり替わっていた。それまで泥で汚れた冒険者用の服が、いつ間にか、黒のタキシードに白のシャツに貴族がしてそうなネクタイ、という姿に入れ替わっている。
霞も、汚い冒険者の服から、キレイな薄ピンクのドレス姿になっている。
ビスチェタイプのドレスで胸元は花柄のレースが施され、ほどよい谷間が覗ける。背中は大きく開いてかなりセクシー。スカートはフレアタイプで、霞が一瞬半回転すると、それに合わせてスカートがふわりと広がる。
それだけではない。霞のポニーテールが、いつの間にか巻き髪にされ、頭には大きな花飾りが付けられ、アクセントを引く。
「これが我が血種の宴じゃ。どっかの人間どもが妾たちの風習を真似し、同じようなパーティをするそうじゃがな。まぁ、よかろう。久しぶりに目覚めたのじゃ。今宵は宴じゃ。今宵は踊り、味わい尽くせばよかろう。」
そうは言われるも、俺も霞も、こんな貴族のパーティ的なものなど経験したことなどない。
お互いに顔を見合わせ、豪華な服装を指さし、お互いに驚いた。
あれ、虫かごがない。アリエルの入った虫かごも消えて、辺りを見渡す。
「どうした?人間のオス。あの汚らわしいハエの入った虫かごならば、そこにかけておいたぞ。」
とアイギスの目線を追えば、広間の端っこのほうに帽子掛けがあり、そこに虫かごが掛けられていた。
アリエルは中で、身振り手振りで、「ここから出して」、みたいなことをしている。小動物のようで少しかわいいではないか。アリエルのくせに。まぁ、いい。少し反省してろ。
パチン
さらにアイギスは指を鳴らした。
突如、大広間の一段高くなったところに、大きなテーブルが突然と現れ、俺と霞はテーブルにアイギスと並んで座す形になった。
テーブルの上には豪華な食事、フルーツが色とりどりに並べられている。
席からは大広間を見下ろせるようになり、ペアの男女の血種たちが正装して、音楽に合わせてダンスを嗜む様子がッ見て取れる。
「まぁ、気にすることはない。すべて、昔の様子を再現したまでじゃ。そこらにいる血種はすべて幻。服と食事は妾からのサービスじゃ。心置きなく、味わうがよい。」




