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46ハエたたきゲーム(タツヤ)


「その通りぞ、人間。この妖精は、ハエ以下の害虫よ。まったく、何度も、何度も、、、いい加減に学習しろ!お前らに脳みそはないのか?」


 なるほど、吸血の姫アイギスさんが手にハエたたきを持っている理由が理解できた気がする。


「あの、アイギスさん?。心中お察しします。うちのハエがいろいろとご迷惑をおかけしまして。」

「ほぉ、下賤な人間よ。お前とは仲良くやれそうな気がするぞ。」


 アイギスは再び視線をアリエルの方へとやる。


「おい、ところで、貴様、他にも村の仲間がいただろう。」


 その問いに対して、アリエルは、左右の指をつんつんしながら、小さく答える。


「その、、、村の、、、引っ越しで、、、置いてかれた。」

「何?、声が小さいわ!」

「村の引っ越しで置いてかれたのです!」

「ぷっ、ぷはっ、ははははははは。いい気味だ。要は、捨てられたということだろう。可哀そうに。」

「ふん、お前なんか妖精の手にかかれば、あたし一人で一撃なのです。あんたなんかイチコロなんだから。」

「ならば、やってみるか?」


 スポン!


 アイギスは手に持っていたハエたたきで、アリエルを叩く。だが、空振りだ。

 アリエルは叩かれる瞬間に、アイギスの頭上に移動した。一方、アイギスは、そこにアリエルが移動することがわかっていたかのように、再びハエ叩きでアリエルをぶっ叩く。


 バン!


 アリエルの体が床に叩きつけられた。アリエルの体は十分に小さい。人間が床に落ちるのとは遥かに軽い音がする。


「アリエルちゃん!」


 霞が、アリエルのもとへと近づき、傷を癒す魔術を発動させようとするも、アリエルはそれを静止する。


「待って。回復は不要なのです。代わりに、生気を頂戴。」

「えっ。」


 アリエルは一瞬だけ、霞の指先にフレンチキスのように唇を添えると、ふっ、と、かすり傷が一瞬で消え、そのまま、アリエルは再び立ち上がり、羽をバタつかせて、宙を飛ぶ。


 こんな真剣な場面で、言うのなんだが、本来、生気ってあれだけでいいんだな。


「ふん、所詮は妖精なんぞ、そんなものじゃ。」

「うるさいのです。吸血ババァが。あんた、何年生きているのです。」

「さぁ、忘れたわ。というか、妾はバンパイヤじゃない。最高血種と言うているであろう。」


 アイギスとアリエルとの間で、けなし合いの会話がなされている。

 その間に、アリエルの周りの空間には、キンキンとアリエルの「気」が濃縮して張りつめていく。

 アリエルとて、普段はうざいが、それでいても魔術については天才だ。何か強大な魔術を発動させるのだろう。


 アリエルの周りの空間がまるでレンズを通したかのように歪んで見える。時折、その歪んだ空間の表面で稲光がバチバチと音を立てる。その空間が徐々にと収縮し、ついにはアリエルの手のひらに収まるほど小さく収縮するのだ。


「さて、準備はできたかのぉ?まぁ、無駄じゃと思うがの。」


 アイギスもまた、アリエルが何か強大な魔術を発動させることは理解してるようだ。それを理解した上で、彼女はそれを受け止める気でいる。


「へぇ、受け止める気でいるの。言っておくけど、城のお宝はあたしがいただくのです。」

「ふざけ。虫ごときが笑わせてくれるわ。」


 アリエルは、先ほどの手のひらに収縮させたものを解き放つ。それは一直線にアイギス目がけて直進し、アイギスを呑み込まんとするほどの大きな球体の空間となる。

 何の魔術でかはわからない。ただ間違いなく直撃したらヤバい系の魔術ということは間違いないだろう。


「ほぉ、次元魔術か。それで、この妾を別の次元へと飛ばそうという気か。ふん、片腹痛いわ!」


 アイギスはその魔術が何かを理解してるらしく、手に持っているハエ叩きで、そのアリエルの放った空間をぶっ叩くと、まるでその球体の空間が真っ二つの半球になって割れ、消えてしまった。


 だが、その先にすでにアリエルはいない。その裏で、すでにアイギスの背後を取っていた。

 アリエルは、こうなることは事前に読んだ。わざと高度な魔術を見せ、そのうちに、背後をとった。


「ふん、終わりなのです。そっちに気を取られるのが悪いのです。」


 アリエルは、アイギスの背後から、ゼロ距離で爆炎を放出させた。

 周囲に煙が巻きあがる。


 徐々にその煙が落ち着くと、アイギスは、いまだ、玉座に座したまま。そして、右手には、アリエルの小さな体を握っていた。

 これだけアリエルが戦いながらも、あのアイギスという最高血種の姫は玉座から一歩も動いていない。


 アイギスと目が合ってしまう。


「あら、人間。いい虫かごを持っているじゃないか。」


 アイギスが目を付けたのは、俺が持っていた虫かごだ。


「ふん、ハエはハエらしく虫かごにでも入っていろ。」


 シュン!バコン!


 アイギスがまるで球でも投げるようにアリエルを投げだすと、それは自分の持っていた虫かごに見事に命中し、アリエルがそこに見事に収まった。

 アリエルは、そこから出ようとするが、アイギスに魔術でもかけれいるのか、虫かごからは出られない


「ふふふふ、ハエはハエらしく、そのまま、虫かごに入っていれば良い。」

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