165愚かな人間たち(朱音)
資源開発の最大手RGF社の第一最前線調査部隊、曹長、朱音である!
我が隊は、グローリーホールを攻略という偉業を達したあと、今は、グローリーホールの底からレッドダイヤを採掘するため、その最前となる部隊なのであります!
えっ、言葉づかいが戻っていると?何でRGF社にいるのかと?
それには海よりも、大迷宮よりも深い理由があるのであります。
では、少々、その昔話をするのであります。
といっても、付近には誰もいないですね。口調はいつもの通りに戻しましょう。
あたしは、ベベルゼルドとノヴァリスで出会うことができました。
これも、タツヤさんや、霞さんに、アリエルさん…。あれ?、アリエルさん……、って誰でしたっけ?いえ、何でもないのです。
タツヤさんや、霞さんのおかげですね。
本当に幸せでした。タツヤさんたちと別れた後も、あたしはベベルたちと一緒に行動していたんです。魔女さんに、セイイチさんも一緒です。それは、本当に、本当に、本当に、幸せな毎日だったんです。タツヤさんには感謝しても、感謝しきれません。
いろいろありましたよ。ベベルと一緒に空賊退治をしたり、ラビリンスからは、グレゴリーさんが冒険者を連れてやって来たりと、いろいろありました。そして、その毎日が平和で幸せな毎日だったんです。
ちょうどですね、グレゴリーさんが来た頃からラビリンスとの交易の話があったんです。
ノヴァリスは機械の街、機械を作るにも資源が必要なんです。ラビリンスには大地下迷宮に豊富な地下資源をがあります。そして、ラビリンスもノヴァリスの高度な機械を欲してました。
お互いにWinWinな関係です。すぐに交易は成功しました。
ノヴァリスは豊かな資源、ラビリンスは高度な機械を手に入れることができたのです。
けどですね、だんだん、ノヴァリスとラビリンスは険悪になっていきます。
ラビリンスでは魔術を使えない者は見下されます。そして、ノヴァリスの住人はみな魔術なんて使えません。
だから、ラビリンスの人はノヴァリスの人を見下すようになったのです。
そして、ある日、ついに争いになったのです。最初は小さなイザコザでした。そのイザコザに対して互いが報復し合い、徐々にエスカレートしていく。そして、気づけば、もう、戦争状態でした。
ベベルも魔女やセイイチさん、それに、グレゴリーさん達も互いをなだめようとしました。でも、報復による憎悪はより巨大な憎悪となって人々の心の奥底に残ります。物理的な戦いであれば、ベベルもグレゴリーさんも強いです。でも、憎悪で荒んだ人々の心までは止めることができません。憎悪がより強大な憎悪を呼び、もう、止めようがありませんでした。
そんなとき、現れたのがRGF社でした。
RGF社はノヴァリスからの高性能機械を入手し、ついにグローリーホールの底に辿り着いたと聞きます。そこで、大量のレッドダイヤを採掘し、大儲けしたのだとか。
大量のレッドダイヤのせいで、ダイヤの価値が暴落し、経済は大きな混乱したそうです。だけど、RGF社は採掘を止めませんでした。
ただ同然の安い賃金で労働者をほぼ奴隷のように雇い入れ、経費をかけずに大量にレッドダイヤを今もなお採掘しています。
RGF社はその労働者はどうやって入手したのか。それは、簡単です。だって、ノヴァリスとは戦争なんですから、捕虜を使ったのですよ。
そして、その目はあたしにも向けられます。何せ、あたしは元RGF社員。会社を辞めることなど不可能とまで言われたあの超ブラック企業、RGF社を初めて辞めた人間なんです。
だから、あたしがノヴァリスにいるとわかったときのRGF社は凄まじかったです。表面上は戦争をしながらも、戦争を理由の蓑として、明らかにあたしをだけを狙いに来ていました。
これでもあたしはラビリンスではAランク冒険者です。腕には自身があります。
けども、RGF社はノヴァリスから購入していた最新鋭武器をぞくぞくと投入してきたのです。たったあたし一人のためにですよ。
巡航ミサイル、毒ガス、クラスター爆弾、レーザ銃、超電磁砲、超高出力マイクロ波、
あらゆる武器を投入しますが、あたしには利きません。ひたすらに逃げるだけです。
けど、RGF社っていうのは、目的のためには手段なんて選びません。
やつらは、卑怯にも捕虜であるノヴァリスの兵士を人質にしたのです。
許ません。
結局、あたしは降伏しました。
降伏して、RGF社の社員に逆戻りです。
配属された先も、当時とまったく同じ部署。上司もまったく同じです。
あのときの上司の顔を覚えてますよ。不気味なほどに、ニヤリと笑ってましたよ。してやったりと。
さぞ、嬉しかったんでしょうね。
あたしがRGF社を辞めてから、仕事が溜まりに溜まり、全社員がぶっ倒れて、職場崩壊したんだとか。そのことをずっ~とネチネチと言ってましたよ。
「おい!!!1あぁ~かぁ~ねぇ~~!!!!!手が止まっとるんだろうぐぁぁぁぁぁ!!!!何を一人で小言を言っとるんだぁぁあああ!!言葉づかいがなっとらんぞぉぉぉ!!!とっとと黙って仕事せんかぁぁああ、われぇええ!」
パン!!!
「……ありがたく幸せであります。」
頬を張り手で殴られ、体が吹っ飛んだであります。素早く立ち直り、感謝を言うのであります。
殴られたら、感謝をするのがRGF社の決まりであります。
これが今の日常であります。昔に逆戻りです。
あたしがノヴァリスでベベルに会えたときは、本当に幸せでありました。夢でないかと思っていたあります。
けども、これが現実、やはり、あれは夢であったのでありました。
どんなに夢を抱こうとも、それは所詮は、叶わぬ夢、下手な夢を抱くなど無駄でしかないのであります。
人は、誰しもが夢を持つことができるのであります。けど、それを許されたのは、ごく一部の限られた人間だけなのであります。
我々、一般人は、夢など抱いてはいけないであります。
夢など抱いたところで、夢なんて叶うわけがないのであります。無駄であります。
夢なんか持ってしまったら、叶わなかっときの反動が大きいのであります。
我々、一般人に、生きるために、夢など不要、もっと現実を知り、すべては会社のために貢献するのであります!!
それが、この社会の現実なのであります!




