151出会いと別れの踏切―初版(タツヤ)
カンカンカンカンカン
けたたましく鳴り響く警報音。
黄色と黒の縞々模様の遮断桿が遮るその踏切の向こう側に、自分がよく知っている女性の後ろ姿みえた。
前回は、ここで、もしかして………、と思ったのだろう。けども、今は違う。あの後ろ姿は、もしかしてではない、自分の探していたあの人に間違いない。
カンカンカンカンカン
踏切は今なお、けたたましく警報音が響き渡る。
「あの…」
声を出した。けども、声は小さかった。その声は踏切のカンカンカンという警報音に消されてしまう。
けども、もう、昔とは違う。だから、俺はもう一度、大きな声で、いや、大きな声というよりも、もはや、何かにしがみつくかのよう叫んでいたのだろう。もう一度、俺は叫んだ。
「あの!すいません!」
もう、ないかもしれない。こんなチャンスは二度と訪れないかもしれない。
それに俺は決心をした。そう思えばこそ、声はまるで金切り声のような叫び声だったかもしれないが、声はおのずと大きくなった。
踏切を挟んで向こう側にいる女性は左右を見渡すが、すぐに背後に気づいたのか、こちらを振りむこうとした。
だが、その瞬間、
ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン
そこへ勢いをつけて、左から右へと列車が通過する。一両、二両と通過していくが、とてつもなく、その時間が長く感じられる。
ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン
最後の車両が通過したと思いきや、次は右から左へと、列車が通過する。
ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン
時計で計測したならば、その時間はわずかな時間なのだろう。それは頭でわかっていても、体感する時間はまるで一時間も、二時間も待たされているように感じられる。
そして……、
列車が通過し、黄色と黒のシマシマ模様の遮断桿が頭上へと上がった。
そして、目の前にはこちらを向いた女性がいた。
自分がまだ転生する前に、好きだった大学のあの先輩………
…
…
…によく似ている。
そこにいた女性は、霞だ。紛れもなく転生する前の霞。
今とは服装も違う。けども、そこにいる人が一目で霞であることはわかる。
自分が探し求めていたあの先輩と瓜二つ。非常によく似ている。
けども……、
けども……、
けども……、
そこにいた女性はタツヤに声をかけた。
「あの……、何か???」
「えっ、えーと、霞さん?」
「えっ。そうですけど。何で名前を?どこかで会いましたっけ?何か用ですか?」
「え、いえ、そ、その、すみません。人違いでした。」
「はい?、………き、きもっ」
彼女は、おれを変態を見るかのような目線で突き刺しながらも、その場を足早に過ぎ去る。
そこにいた人は、紛れもなく転生する前の霞。
自分が探し求めていた人に、瓜二つ、非常によく似た人。
けども、本当によく似た人であって、自分が想いを寄せていたあの人ではなかった。
俺はその場にそのまま立ちすくしていた………。




