表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

157/208

151出会いと別れの踏切―初版(タツヤ)

 

 カンカンカンカンカン


 けたたましく鳴り響く警報音。

 黄色と黒の縞々模様の遮断桿が遮るその踏切の向こう側に、自分がよく知っている女性の後ろ姿みえた。


 前回は、ここで、もしかして………、と思ったのだろう。けども、今は違う。あの後ろ姿は、もしかしてではない、自分の探していたあの人に間違いない。


 カンカンカンカンカン


 踏切は今なお、けたたましく警報音が響き渡る。


「あの…」


 声を出した。けども、声は小さかった。その声は踏切のカンカンカンという警報音に消されてしまう。

 けども、もう、昔とは違う。だから、俺はもう一度、大きな声で、いや、大きな声というよりも、もはや、何かにしがみつくかのよう叫んでいたのだろう。もう一度、俺は叫んだ。


「あの!すいません!」


 もう、ないかもしれない。こんなチャンスは二度と訪れないかもしれない。

 それに俺は決心をした。そう思えばこそ、声はまるで金切り声のような叫び声だったかもしれないが、声はおのずと大きくなった。


 踏切を挟んで向こう側にいる女性は左右を見渡すが、すぐに背後に気づいたのか、こちらを振りむこうとした。


 だが、その瞬間、


 ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン


 そこへ勢いをつけて、左から右へと列車が通過する。一両、二両と通過していくが、とてつもなく、その時間が長く感じられる。


 ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン


 最後の車両が通過したと思いきや、次は右から左へと、列車が通過する。


 ガタンガタン、ガタンガタン、ガタンガタン


 時計で計測したならば、その時間はわずかな時間なのだろう。それは頭でわかっていても、体感する時間はまるで一時間も、二時間も待たされているように感じられる。


 そして……、


 列車が通過し、黄色と黒のシマシマ模様の遮断桿が頭上へと上がった。


 そして、目の前にはこちらを向いた女性がいた。

 自分がまだ転生する前に、好きだった大学のあの先輩………

 …

 …

 …によく似ている。


 そこにいた女性は、霞だ。紛れもなく転生する前の霞。

 今とは服装も違う。けども、そこにいる人が一目で霞であることはわかる。


 自分が探し求めていたあの先輩と瓜二つ。非常によく似ている。


 けども……、

 けども……、

 けども……、


 そこにいた女性はタツヤに声をかけた。


「あの……、何か???」

「えっ、えーと、霞さん?」

「えっ。そうですけど。何で名前を?どこかで会いましたっけ?何か用ですか?」

「え、いえ、そ、その、すみません。人違いでした。」

「はい?、………き、きもっ」


 彼女は、おれを変態を見るかのような目線で突き刺しながらも、その場を足早に過ぎ去る。


 そこにいた人は、紛れもなく転生する前の霞。

 自分が探し求めていた人に、瓜二つ、非常によく似た人。


 けども、本当によく似た人であって、自分が想いを寄せていたあの人ではなかった。






 俺はその場にそのまま立ちすくしていた………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ