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105このブラックな会社への反抗(朱音)

 

 この迷宮のRGF社の事務所がある方向から、まるで、号砲のような大声が聞こえてきます。


「き、貴様ぁぁ!!!!隊務を放棄して何をしとるんじゃ!!ゴラァ!!!」


 奥から現れたのは、あたしの上司。

 ものすごい形相で、こちらへ、ドシン、ドシンとまるで闘牛のように向かってくる。


 まぁ、こんなところで、油を売っているのを見られれば、ぶっ殺されて当然です。

 ですが、もう、RGF社に属している意味はありません。

 最初は、グローリーホールの探索をしているRGF社であれば、いずれベベルと会える機会があるかもしれないと思い、入社しました。

 そして、この上司からのパワハラ、パワハラ、パワハラ、アルハラ、パワハラ、、、ハラスメントと名の付くものはすべて網羅されているのではないかと思われる、最悪のこの職場に耐えてきました。

 でも、それも、もう終わりです。


「部隊長、お話があります。」

「あぁ??貴様ぁ、言葉遣いがぬぁっとらんだろうぐぁぁ!!」

「今を持ちまして、RGF社を退職させていただきます。」


 いつもぶち切れている上司だが、今の言葉でおでこに血管が十字に浮き上がったのが見えた。


「貴様ぁ、会社を辞めるぅだとぉ!てめぇ、わかってんだろうな。貴様は曹長、会社の管理職あんだよ。会社の許可なしに辞めらるわけぇねぇだろうが。いいかぁ、これは命令だぁ。今すぐ、隊務に戻れぇ!!!」

「お断ります。」

「て、てめぇ、返事の仕方を忘れちまったか?返事は『了解』以外にねぇと教わっただろうがぁ。」


 あたしは、上司に背を向けて、グローリーホールのほうへと歩みを進めます。

 わかっているのです。

 この会社は、なんといっても、この会社の離職した人間の復職率は100%。ありえません。

 このブラックな会社は、あの手、この手で、離職者を引き戻しに来ます。会社の許可なしにとか言ってますが、この会社が許可したことなどないのです。


 この会社に入社したら最後、死ぬまで、この会社で強制労働させられます。


 時には裁判で起こして、裁判官に賄賂を渡して、無理矢理、会社に戻らなければならない、という判決を勝ち取り、あるいわ、強引に武力で引き戻したり、あの手この手で引き戻させます。


 そして、再教育という名前の拷問に加えて、マインドコントロールを行って、完全に会社に逆らえないような人格を作り上げてしまうのです。


 それが、この会社のやり方。その昔、まだ、人々がこのラビリンスに移住する前の地上での世界でも、ブラック企業と呼ばれる企業があったそうですが、RGF社はまさに、そのブラック企業の中のブラック企業と言えるでしょう。


「おい、止まれ!銃撃するぞ。」


 だから、あたしはわかっているのです。おそらくはこうなるだろうと。


 パン!


 乾いた音がこのホールに響き渡ります。

 やはり、撃ってきました。思っていた通り、相手は、ついに武力行使に出たのでしょう。

 ですが、問題ありません。


 パン、ドン!


 あたしは、直感で、相手が撃つ直前に、瞬時に小銃を構え、歩みを進める踵を返し、あたしも小銃で撃ち返していました。


 ドン、といういつもと違う音がするのは、相手が撃った銃弾を狙って、あたしが小銃で撃ち返したから。銃弾と銃弾とがぶつかり、それらが互いに弾け爆発します。


 パン!パン!、ドン!、パン!パン!、ドン!、パン!パン!、ズドン!


 相手が射撃する音と、その射撃した銃弾にあたしが撃ち返した音が、何度もこの迷宮内部に轟きます。


「おい、マジか、あれ、RGF社の社畜だろ。おい、撃った弾丸狙って撃つとか、あんなの見たことねぇよ。」

「おいおいおい、銃弾狙って射撃とか、どんだけだよ。人間技じゃねぇ。」


 周囲ではこの様子を見てギャラリーが出来ているようです。

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