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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第89話


 ……最近はいろんな事がつまらない。姐さんもずーっと機嫌が悪いので


 「姐さん、まだ生理なのか?」


 と冗談を言ったら、普段なら「龍崎の馬鹿!デリカシーが無い!」と怒って叩いてくるのに、この頃は俺を睨み何も言わず黙って部屋を出て行く……からかい甲斐がなくて面白くない。


 組長の創司はと言うと……何にも変わらない、いつも通り何を考えているかわからない……本当にこの男だけは謎だ。


 そんな時に久々に昔の組の弟分から電話が鳴った。


 『……龍崎さん、ご無沙汰してます』


 「おう!ヨージじゃねぇか!久しぶりだな!元気か?」


 『はい、龍崎さんもお元気そうで』


 珍しい、何の用だ?と聞いたら


 『……今、ちょっと関わってる案件の会社に……若い頃の榊さんそっくりの男がいたんですが……榊さんの血縁者ですか?』


 そう言われ、創司の甥っ子のことが頭に浮かび、坊主の引っ越した所はヨージの縄張りだっけと思ったが……そっくりってだけじゃ本人かわからない。


 「……なぁ、どうして創司の血縁だと思ったんだ?」


 『……あの容姿もそうですが、眼を見たら榊さんの生き写しだとわかりますよ、俺達に囲まれても怯えること無くあんな眼で俺を見つめ返せる男なんてそうはいません』


 ……そうだな、俺やヨージの世代の悪党にとって創司は突然現れたカリスマだ。俺もまさか創司についていくと言い出すなんて自分でも思わなかったし、古巣がそれを許すとも思わなかったが……それが許されるほど古巣も創司との繋がりを利点だと判断したのだ。


 「……それは確かに創司の甥っ子だろう。だが、もう……うちとは関わりは無い男だ、ヨージの所が何をしようと関係ない」


 絶縁した坊主の為に俺達が出張ることは無いと宣言するが


 「……だがな、あれは若い頃の創司だ、敵に回したら一人で動くぞ……それを覚悟してから決めることだ」


 これは脅しでなく事実だとヨージに忠告する。


 『……そうですか、ありがとうございます』


 『それでは、また改めて……』と電話は終わった。恐らくヨージはその案件から手を引くだろう……創司はヨージの命の恩人でもあるからな……


 先程までのつまらないって感情は無くなっていた、坊主はやっぱり創司に似た面白い奴だ、きっとこの狭い世間でまたその名を聞くだろう。


 この話を創司や姐さんにもしてやろうかな……そうだ、たまには三人で飲もうと誘ってみるか……と組長の部屋に向かった。


 

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