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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第69話


 「おにーさん、一緒にお茶でもどうですか?」


 たまには街でデートをしようと約束して、蛍との待ち合わせ場所で待っていたら……逆ナンされた。


 ……しかも死に戻る前の……彼女ではない……自分でも最低だとは思うが……体だけの関係の女、ナオが現れるとは……自分も最低だがこの女も結局は俺の金を盗んで消えたのでどっちが最低だったのかはなんとも言えない。最初はどうせ体だけの付き合いだと外で会うだけだったのだが、何回か繰り返せばやはり多少は情が湧き俺の部屋に上げたら……金を持ち逃げした。こんなもんかと俺は追いかけることもなかったが……同じ様なことを他の野郎にも繰り返したんだろうな……追い込まれたという噂は聞いた……まぁ最悪なことになったんだろうなと想像はできる。


 「……どうしたんですか?」


 俺の顔を不思議そうに見てくるナオを観察する。蛍より15センチは背が高く、確か三つ年下なのに既に身体は大人で……この頃から胸のボリュームはあったんだなと考えていたら。


 「ふふっ、おにーさんのエッチ」


 そう言って腕で胸を隠すようにするが寧ろ強調しているようにも見える。


 「……すまないが、彼女と待ち合わせなんで他を当たってくれ」


 「えーっ、そうなんですか?残念!でも彼女さんが来るまでお話だけでもしましょうよー」


 そう言ってナオは立ち去らない。


 「……いや、本当に困るんだが……他にも暇そうな男はいるだろ?」


 「おにーさん、私の好みなんだもん……なんて言うかー強いオスの臭いがするっていうかー」


 わけわからん。俺は何か臭いのか?


 「ふふっ、おにーさん……これ連絡先、彼女さんに内緒で……ね?おにーさんならタダでもいいからさ」


 「……本当にいらないから」


 連絡先を押し付けて去ろうとするナオ……この女の未来も……俺にやったようなことを何度も繰り返し……地獄に落ちるんだろうなと思ったら何かを言ってやりたくなった。


 「……俺は本当に大切な人に出会えて真っ当に生きようと思ってるんだ。……君にもきっとそういう出会いがあると思うから……間違ったことはするなよ?」


 そう言ったらナオは嫌な顔をして


 「……説教うざい、綺麗事なんて言わないで」


 そう言って怒って去っていった。俺はナオが押し付けていった連絡先を破りゴミ箱に捨てた。


 「……先輩」


 !?


 俺は背筋が凍るような感じがして振り向くと蛍がこちらを見ている。


 「……蛍、いつから見ていた?」


 「……イマキタトコロデス」


 明らかに嘘だろという声色で蛍は答える。


 「……蛍、なんでもないからな?な?」


 「……はい、連絡先を捨ててたので信じます……でも胸の大きな子でしたね?」


 なんだろう……許してくれてるはずなのに何故か責められている気がしなくもない。死に戻る前とはいえ肉体関係のあった女を蛍に見られた……という気まずさが俺の心の奥底にあるからだろうか?


 「……蛍、今日は美味いデザートでも食べに行こうな?奢るから!」


 そう言って蛍の手を握り歩き始める、蛍の握り返す力がいつもより強い気がした。


 


 

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