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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第62話


 俺は黙々とお弁当を食べる。目の前の席には顔を手で覆い恥ずかしがる蛍がいて、左右には呆れ顔をした草下部と呆然とした市井が座っている。


 「……先輩、凄いですね」


 草下部が凄いと言っているのは蛍が作ってきたお弁当のことだ。何が凄いって……白米の上にピンクのさくらでんぶでハートが描かれていることだ。


 蛍も久しぶりのお弁当でおかしなテンションになってしまったのだろう……そして一年達が一緒に食べるなんて思ってもみなかったのだろう……やってしまったという顔をしている。


 「……もしかして先輩達はお付き合い始めたのですか?」


 そう聞いてくる市井に隠しても仕方ないと「そうだよ」と言ったら……草下部は顔が強張っていた、市井の方は笑顔を浮かべ「……おめでとうございます」と言ってくれたので「ありがとう」と答えた。


 「……先輩達のお邪魔しちゃいけないから他の教室で食べよう」と言って市井が慌ててお弁当の蓋を閉じて席を立つのを草下部が止める間も無く教室を出ていった。草下部は「すみません」と挨拶して後を追っていった。


 「……そんなに気にしなくても良いのにな」


 「……ごめんなさい」


 何故か蛍が小さく謝っていた。蛍が謝ることなんてないだろうに。


 「……まぁ、とりあえず食べよう」


 「……はい」と言って蓋を開ける蛍のお弁当にもさくらでんぶがハートを描いて乗っていた。


 ……自分達がバカップルになるなんて思ってもいなかったが……思いの外、蛍も浮かれていたようだ。

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