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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』④


 先輩が先輩の叔父様に会いに行くようなので……こっそり先輩の後をつけることにした。本当はそんなことしちゃいけないってわかってるのに……叔父様からの電話に出た後の先輩の表情を見たら居ても立ってもいられなかった。


 先輩は頭が良いので進学先はいくらでも選べるはず、進学しないで就職するならするで先輩ならハッキリ言ってくれるはず……


 先輩が私にハッキリ言わず進路の話題をあんなに誤魔化すなんて……きっと私に知られたくない進路を考えているんだと思ったときに生徒会長さんの「叔父の後継者」という噂話を思い出した。


 先輩の叔父様が無理矢理に先輩を後継者にしようとしているならそんなことをしないで欲しいとお願いしたい……勿論、怖いし怒られ怒鳴られちゃうかもしれないけど……いつもお世話になっている先輩の為に勇気を振り絞って先輩が出ていった後の喫茶店に入った。


 一目見て先輩の叔父様だってわかった。先輩が年を重ねたらこうなるだろうって容姿だったので……不思議と恐れる気持ちは無くなっていた。


 そこで先輩の叔父様に挨拶をし「……卒業後、先輩をそっちの世界に連れていかないでください」と頭を下げたら先輩に似た優しい声で「あぁ、俺もそうならないことを望んでいるんだ……」と話してくれた。


 叔父様がここだけの話だと話してくれたのは先輩のお父様とお母様のお話だった。


 先輩のお父様は……先輩のお母様と先輩に暴力を振るうような人だったようで……このままでは二人の命が危ういと思った叔父様が介入して……お父様を二人の前に二度と現れないようにしたらしい。


 「……心配しないで欲しい。命を奪ったりはしてないからな」


 そう言う叔父様の言葉はどこまで真実かはわからない、でも肝心なのはそのことで先輩の心の中には叔父様のことを恩人であり、また「正義の味方」のような認識で刷り込まれてしまったのだということだ。


 「……こんな道が正しいわけはない。そんなことは分かっているんだろうに……あいつには俺しか身内がいないからな……」


 そう仰る叔父様は少し申し訳なさそうな顔をしていた。


 「……もし、君があいつの支えになってくれるなら……」


 叔父様は先輩のことを心配し、それでも私のことを考えて無理にはお願いしない……そんな所も先輩と似ている気がしたので


 「……私はこれからもずっと先輩と一緒にいたいんです」


 だから私にできることはなんでもして……先輩とこっちの道を歩みますと叔父様に宣言した。


 「そうか、ありがとう」


 先輩に似た笑顔を浮かべた叔父様は懐から名刺入れを取り出し一枚の名刺を私に渡した。


 「……これはお守りだ、この街で何か困ったことがあったらこれを見せると良い、多少は便宜してくれるだろう」


 「まぁ、こんなもの使わないで済むに越したことないがな」と最後に言って支払いを済ませ去っていった。叔父様はとっても渋く格好良い大人の男性で……先輩の将来が楽しみになった。

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