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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第30話


 偶々、その男が目をつけられただけだった。その点で言えば男は不運だった、だが、本当の意味で不運だったのは最初にその男に絡んでいった彼らだった。


 いわゆる不良のレッテルを貼られた彼らが自分達の玩具としてその男を呼び出して五人で殴り蹴りなどした後に脅して金銭を巻き上げようとした……良くある話だ。

 しかし呼び出されたその男は脅しに屈せず返り討ちにした、それだけならその男がここまで腫れ物の様な存在になることはないだろう、寧ろ英雄視されてもおかしくはなかった。

 その男がおかしかったのはまずは返り討ちにする際、やり過ぎたことだろう……二度とこんな気を起こさないように念入りに痛めつけた。

 しかし、やられた彼らは愚かにも懲りなかった、そして自分たちだけでは敵わないと思い、中学時代の先輩……いわゆる「族」と呼ばれる集団に所属する先輩に泣きついてその男をシメようとした。

 もちろん危機ではあったろうが……その男には親、兄弟もなく守るものは無い……自宅が危険だと思えば地下に潜り……一人一人狩っていった。ここから彼等が異常だと思い始めた、狩る側だと思っていた自分達がいつの間にか狩られる側に回って怯え隠れるのにその男は猟犬のように彼等を見つけ出し牙を突き立てるのだ。

 そうして「族」が片付いたと思った頃には「族」の男が世話になっている「組」の末端の男に金を払ってでもその男をなんとかしないと面子が立たないとなった頃に……判明したのだ。

 その男には一人だけ叔父がいて、その叔父がそこら一帯を牛耳る「組」の頂点の人であることが……

 そこからはその男は有名人になった……世間の不良と呼ばれる人間からは決して手を出してはならない立場の人間だと認識され、「組」側の人間からは、さすが組長の甥っ子さんだ、血は争えない、子どもがいない組長の後継者はこの男になるんじゃないか?……そんな風に噂されるようになった。

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