第28話
「……先輩、先輩」
……ん?あれ……俺は……確か自宅の部屋で蛍と二人で勉強をしていて……少し眠気が出てきたので少し横になって……
「……すまん、熟睡してしまったのか。どのぐらい寝てたんだ?」
「……えーと、一時間くらいですかね……」
なに、そんなに寝てしまったのか?
「……すまん、蛍、せっかく一緒に勉強してたのに……もう蛍が帰らなきゃいけない時間じゃないか」
「……いえ、大丈夫ですから……」
蛍をきちんと送って家に帰ると蛍が忘れていったノートを見つけた。
「あら、忘れ物……明日学校で渡せば良いかな?」
パラパラと開いてみると……なんか落書きがあった。寝ているイケメンのイラストが描いてあった。そういや蛍は漫画を描くのが趣味とか言ってたな、確かに俺は寝てたけどこんなイケメンじゃないのでポーズだけ参考にして描いたのかな?
……と考えていたら蛍からの電話が鳴って出たら
『せ、先輩!ノートを忘れたんですけど、絶対に中を見ないでくださいね!?』
慌てた蛍がそう言うので「もう見ちゃった」とは言えず
「わかった、見ないから」
と返事した。思いの外、絵が上手だったからもっと自慢しても良いのになぁと思ったが……そういうのを恥ずかしがる蛍も蛍らしいなと思うので見たことは黙っておこうと決めた。




