第23話 3/22 ハツミ
3/22(日)
なかなか部屋探しは難航している。
だけど、退室する日は決まってしまっている。だから、荷造りを進めることにした。
今日は、紺色小花柄のワンピースを一枚で着ている。
一昨日、あまりにも洋服をたくさん持ちすぎていることに気づいた私は、少しだけそれらを整理することにした。もう明らかにきていない服や、綻びている服、サイズの合わない服などが、クローゼットから大量に溢れて来た。
「本当に、こんなにたくさん給料つぎ込んじゃってたんだな……」
ユーイチと婚約していたけれども、彼に振られた理由が金銭感覚の違いというやつだった。
こんなに洋服を買いこんだりしていた私のことをユーイチはよく見ていたに違いない。
結婚した後にも、彼の稼いだお金で洋服買い放題だ! なんて思ってたっけ。
「私って、クズの極みだわ……」
人様の稼いだお金で、洋服はおろか美容用品etc買い込んじゃおうなんて考えていた自分が浅ましい。
(振られなかったら、こんなこと考えもしなかったかも……)
今も思い出したら哀しくなるけどれども、こんな有様じゃ仕方なかったのかな、なんて反省して来た。
ひとまず、今着ている洋服以外はゴミに捨てることにした。
ごみ袋に詰め込んだところ、その数なんと、二十三袋になった。
「古着屋か、サイトにでも売ろうかな……」
大量の洋服たちを引っ越すまでにはどうにかしたい。だけどちょっとサイトに出して買ってくれる人を待ってたんじゃ、引っ越しには間に合わないかも。
「これは古着屋、こっちは思い切って捨てる」
明日は月曜日で燃えるごみの日だ。一応マンションの管理人さんからは、前日の夕方以降なら出して良いと言われている。
さっそく四袋ずつ抱えて、一階のゴミ捨て場までエレベーターで降りようとした。
「手伝おうか?」
課長が一緒にエレベーターに乗って来た。
最近いつもよく会うな。
まだ後、十数袋あるので、手伝ってもらうことにした。
手伝ってもらう途中、課長のスマホに電話があった。
「ああ、ハツミか?」
ん? ハツミ? もしや課長、彼女がいるのかしら?
しばらく課長は話した後に、電話を切った。
「次の家決まったのか?」
課長が突然そう尋ねてきた。
言われて、私は、はっとなった。
そうだった!!!
今日は家探しに行くつもりだったのに!!!
完全に忘れてしまっていた!!!
ひたすら、洋服をごみ袋に入れることに邁進してしまったよ~~!!!
目を丸くして固まっている私に、課長は「大丈夫か?」と声をかけてくれたけど、もうそれどころじゃなくなってしまった。
もう不動産屋はしまっている時間だ~~。
悲しみに暮れている私の心情を慮ってくれたのか、課長は私に一階の自動販売機で缶コーヒーを奢ってくれたのだった。
色々とまずい……。
でも、どうにかなると信じるしかない!!!




