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「煌めく羽」  作者: 冬月紗里
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はじまり

道歩くカップルを見て、幼い頃の私は「私もいつかあんな風になるのかな?」と

母に聞いた。母はその時、ただ私を見て、笑うだけだった。優しい父と、4つ上の兄、母と私、最後に家族四人で出かけた、あの日.....


ーそれから数年後ー


私、雲母美羽(きららみう)は小学校に入学し二年生にまでなった。小学校にも、ずいぶん馴れ、親友とは言えないが一緒に話をする友達ができた。その時には、私には気になる男の子がいた。女子の間で、好きな人をお互いに言い合う事が流行りになっていた。だからなのか、私にも好きな人を聞かれた。私は恋をしたのは初めてで、とてもワクワクしていた。『恋ってなんて楽しいんだろう!』と。つい、ノリに乗ってしまい、言ってしまった。なぜか、いろんな人が私の好きな人を知っていた。私はびっくりした。『なんで?!あの子にしか言ってないのに!』噂を広げていたのはやはり、私が好きな人を言った友達だった。友達が、男子に言い、男子が広めたのだ。                     噂になってしまった、私の好きな人と言うのが佐藤結翔(さとうゆいと)、私の一応、幼なじみだ。結翔とは、幼稚園が一緒で幼稚園では休み時間などに他の子をまじえておままごとなんかをしていた。私が結翔を好きと言うのは、結翔本人にも知れ渡った。男子が、結翔と話していた。内容が聞こえた。「結翔~、雲母の事どう思ってんの~?笑」「....別に。嫌いだよ。」私は結翔の言葉をはっきりとは聞いてはいなかった。後から男子に聞いたのだ。私はその場を笑ってしのいだ。

結翔が、私の事を嫌いなことには私は気付いていなかった。普通の友達として見てくれていると思っていたからだ。その日、私は自分の部屋でおもいっきり泣いた。なぜか、結翔のあの言葉が頭の中をグルグル回っていて、離れないのだ。こんなに、辛いのはいつぶりだろう。『やっぱり恋って難しい。』私はそう思った。そんなことを考えていた毎日がすぎ、私は三年生になった。結翔とは、また同じクラスになった。やはり、噂は絶えない。私は結翔と学校で話すことをやめた。結翔も何も言って来なかった。ある日、授業中に一本の電話がかかってきた。先生が驚いて私を呼んだ。「雲母さん!」嫌な予感がした。私は先生から電話を受け取り、受話器を耳に当てた。『雲母美羽さんですか?』「はい。そうです。」『残念ですが....お母さんが亡くなられました。』「え?母さんが?!.........はい。分かりました。お兄ちゃんには、私から言います。ありがとうございました。」カチャ「先生、ありがとうございました。あの、もう一本電話していいですか?」「いいですけど...お母さんがどうかされたんですか?」「それについては後から言います。」そう言った後、私はお兄ちゃんに電話をかけた。そして、私は先生に事情を話した。


母さんの葬式の準備などで、私は学校に行けなくなった。その後も、お金は貯金があるので、学校に行けなくはない。でも、母さんが死んだ。その現実を受け入れたくなかった。今学校に行けば、皆に変な目で見られる。それが嫌だった。

母さんは、元々体が弱かった。だけど、私は何もできなかった。母さんは、前々から、入院を繰り返していたが、少し前に学校の帰りに見舞いに寄ったら元気だっし、先生も順調に回復していると言っていた。なのに、母さんは死んだ。先生から、母さんは、私やお兄ちゃんにはもう死ぬと言うことを言わないでくださいと頼んでいたことを教えてもらった。母さんは、最後まで笑顔だったそうだ。私のなかでも、母さんはいつも笑っていた。私は、母さんの事をほったらかしにしていた。お兄ちゃんにも、「母さんが死んだのはお前のせいだ!」と言われた。そう言われても仕方がない。体の弱い母さんに、私は冷たくふるまっていた。

母さんが私に色々なことを頼んでくる、そんな毎日だった。入院を繰り返していた母さんは、家にいないことが多かった。だから私が家事を色々した。学校のこともあり、私はイライラしていた。あの日から私は、母さんに冷たく当たってしまっていた。今反省しても意味はない、そう思うと涙が止まらなかった。そして、あの、お兄ちゃんの怒りに満ち溢れている顔は、私の心に深い傷をつけた。

葬式には、近所の人達を招いた。多分、先生が言ったのだろう。クラスの皆が来ていた。そのなかには、やはり、結翔の姿も見えた。皆が私を見ていた。「なんで、私たちが、こんなところに来なくちゃいけないの?」「そーだ、そーだ!」やはり、皆は騒いでいた。それを見て、周りの大人たちは、ざわざわしていた。

私は、怒りでいっぱいだった。騒ぎを聞いたのか、お兄ちゃんが、皆の前に出て行こうとして、私をにらんだ。私は勇気をふりしぼり皆の前に出た。「皆.......」

「何?美羽ちゃん?なんか文句あるの?」「.....帰ってくれないかな!ここは、皆がいていい場所じゃない!」下げていた顔を上げると、私は何も怖くなくなった。

「は?何キレてんの?意味わかんない」「もう帰ろ」そう言って、皆は帰ってきて行った。帰り際、結翔がこっちを見ていた。だけど私はどうすることもできない。ただただ、皆が帰るのを見ているだけだった。

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