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4.5

その頃、糸目ヒーラーのダスクはあきれていた。あきれすぎて「ほぁ」なんて間抜けな声が漏れるくらいに呆れていた。

彼は控えめに装飾のついた、見る者が見ればわかる《支援魔法》向きの上質な杖を掲げたあと、


「──《スプラッシュ・ショット》」


無感情な声で言った。

数体の豚鬼の地面から水柱(すいちゅう)が上がり、股ぐらから脳髄にかけて貫いた。

即死した巨体が次々傾いて倒れ込んだ。

彼等の傍には、戦士が一人と魔法使いが二人。満身創痍だ。特に戦士は片腕が折れている。


「ぐっ……う……」

「Bランクの魔族相手にこの程度とは──まぁ、なんと情けない」


ダスクはリーダーを馬鹿にしてはなく憐れんでいた。その様子が、相手の怒りをことさらに煽った。


「ダスク、テメェ……!《支援魔法》を手抜きしたくせに……!」

「そこは間違いないですが──そもそも弱者の武力を、ランクの二つや三つ分向上させるなんてのは有り得ないんですよ。そんなことができるのはSランク──あるいは異世界人の中でも覚醒した者──〝星の客人(まれうど)〟と呼ばれる存在くらいかと」

「何を……何を言ってやがる……!」


ベイトは〝星の客人〟という言葉を知らないようだ。それどころかこの話がマサヤを示しているということすら気づいていないようだ。


「ふむ」


ダスクはもうベイトの話を聞いていない。別のことを考えている。それでいて三人を順番に見ては、視線をベイトに戻してニッコリと笑った。

晴れやかな笑みだが、サディスティックな表情でもあった。


「私が貴方がたを本物のAランクにしてあげましょう。任務が思ったよりあっけなく片づいて暇ですので」

「ふざけんな!誰がテメェみてえか犬っころに……!」

「ベイト様、Aランクの名に恥じない実力を備えるべきです──せっかくご両親が子爵令嬢と、ノーム族の高等魔法使いをそろえてくださったのにもったいない」

「は……?」

「おやっ、すみませんご存じありませんでしたか」


ダスクはしらじらしい口調をする。


「お二人も、私の提案に大賛成でしょう。そうでなくてはアザレア様は祖父と孫ほど年の離れた代官の元に嫁がされ、ネル様はお母様と四人の弟妹の生活費をまかなえない。そうですよね?」


二人は暗い顔をして答えなかった。

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