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001●黄金回廊
彼は、給与生活者としての最後の一日を終えた。
机の引き出しを空にし、上司と同僚に深く頭を下げる。
西側出入口へ向かうと、透明な自動扉をくぐる斜陽。
屋内の石のタイルから駐輪場へ続く通路までを、金色の帯に変えていた。
――黄金回廊だ。美しい。
自然が用意してくれた、花道だ。
外へ出る。まだ少し冷たい風が頬を撫でる。
空は青から乳白、そして夕焼けへ――見事なグラデーション。
右手の桜は、散り初め。若い葉が光を受けていた。
これから、あと何度、桜を見るだろう。
いや、生きるのだ。
妻を支えねばならない。支えられているのは自分のほうだが。
それでも、生き延びなければならない。
金色の廊は、外の通路で尽き、その先は大空に溶けていく。
彼は一歩、また一歩と踏み出す。
これからも歩み続ける。
新たなミッションのために。




