新たな仲間とランク昇格
「ラスティーがバトルウルフの攻撃を避けようともせず、噛まれた時はビックリしたわよ」
「本当です、心臓が止まるかと思いました」
フランとマリーに心配をかけてしまったらしい。
「ああした方がバトルウルフに実力差を示せるからな、心を折るために何をしても無駄という事をアイツに証明するのに、あれが一番手っ取り早かったんだよ。アイツに噛まれてもダメージを負わない自信があったからな」
「こっちはそんなの知らないから心配したんだから」
「悪かったな心配させて」
二人と話しているとリースが目を覚ました。
「んっ、私は・・・」
「目が覚めたか?」
「バトルウルフは!」
リースの問いに俺はバトルウルフの死体を指差した。
「ほら、見えるだろ、リースが最後に魔法で止めを刺したんだ」
「良かった!夢じゃなかったのね!」
バトルウルフの死体を見て、込み上げてくる物があったのだろう。リースは泣き出した。
「母さんの・・仇を・・・討てた・・」
リースが泣き止むのを待ってから声をかけた。
「リース、取り引きは覚えているか?」
「ええ、勿論よ!私は貴方の奴隷になる!」
「良いのか?あのときリースは生きることを諦めていたからな、折角助けた命が勿体ないと思って、発破かける意味で取り引きを持ち掛けたんだ。どうしても嫌なら強制はしないぞ」
リースは首を横に振った。
「貴方は恩人だわ、私の事も母さんの仇の事でも、知りもしない人が主になるなんてイヤッ!寧ろこっちからお願いするわ、私の主になってラスティー」
「わかった」
俺はリースの首輪に血を垂らして契約をする。
「宜しくな、リース」
「こちらこそ宜しくね、ラスティー、フランとマリーも」
「ええ、宜しくリース」
「宜しくお願いします、リースさん」
俺達は改めて自己紹介をした。
リースの歳は十八との事だ、ダークエルフと人間のハーフで見た目は完全にダークエルフだが、年齢の成長から見て寿命は人間よりらしい。
リースに街に帰る前に、元々住んでいた場所に荷物を取りに行くかと聞くと、必要ないと言われた。バトルウルフに襲われて住んでいた場所はグチャグチャになってしまったらしい。
「歩けそうか?」
「ちょっと無理みたい」
リースは体に力が入らないらしい。強化魔法の反動だからしょうがない。このままでは日が暮れてしまう、俺はリースを背負って街に帰る事にした。
「ごめんなさい、迷惑かけて」
「全然迷惑じゃないぞ、今俺の背中は天国だ」
背中に当たる双丘の感触で迷惑など微塵も感じない。
「ラスティー、まさかそれを狙ってリースに強化魔法を使って止めを刺したんじゃないわよね」
フランが酷い言い掛かりをつける。
「そんなわけ無いだろう、自分で仇を取れるなら、取った方が良いと思ってリースに強化を施したんだ。この結果は不可抗力だよ」
「ふーん、そうなの、リース気を付けてねラスティーは胸の大きい娘が好きでエッチだからね」
「おいおい、言い掛かりは止せ」
「知ってるのよ、私の胸をチラチラ見てる時があるのを」
(バレていたのか・・)
「好きな物を拝見するだけなら自由な筈です」
「言葉使いがメチャメチャよラスティー」
「好きな物に目が行くのはしょうがないだろ?許せ!」
「もう!開き直るんだから」
フランと言い合っているとリースは笑っていた。
「フフフッ、本当に貴方達面白いわ、私は気にしないわよ、元々種族の違うダークエルフは人間から色んな目で見られるもの、それにこんな事で喜んでくれるなら少しサービスしようかしら」
そう言うとリースは胸を押し付けるように俺に寄りかかった。
「おおっ!」
リースの予想外の行動と感触で思わず声が出てしまった。
「ちょっとリース、ラスティーが調子に乗るから止めてよね」
「何を言ってるんだフラン君、リース氏はバトルウルフとの死闘で疲れているんだ、寄りかかるのは仕方ないことだ。ならば男として背負ってあげるのは当然じゃないか」
「アンタ嘘つく時、言葉使いがメチャメチャよ!あと鼻の下が伸びてるわよ!」
雑談してるうちに街に帰ってきた。
出来るだけ早いうちに討伐という指名依頼だったので、今日のうちに討伐した手続きをした方が良いだろう。少しリースの服装が気になるが大丈夫だろう。
盗賊に襲われて服がボロボロだが俺のローブを着ているから傍目からは分からないだろう。
手続きをするためギルドに入った。
すると、いつもの如くオッサンに話しかけられた。
「おう、ラスティー誰を背負ってるんだ・・・ダークエルフじゃないか珍しいな、首輪をしてる所を見るとラスティーの奴隷か?ダークエルフは高かっただろう?」
「買った訳じゃないよ」
「何だ、また訳有りか?」
「まぁ、そんなところだ」
「しかしまた、別嬪なダークエルフだな、そんな綺麗な奴隷を3人も連れてるのなんて、貴族かお前位だぞ。知らない奴が見たら絶対に勘違いされるぞ」
「知らねぇよ綺麗なのは認めるが、狙って奴隷にしてる訳じゃないぞ」
俺はリースを椅子に降ろした。
「皆、ここで待っていてくれ、手続きしてくる。オッサンこいつの名前はリースって言うんだ。見ての通りダークエルフだ」
「おう、そうか嬢ちゃん宜しくな」
リースはオッサンに会釈する。
「オッサン、ダークエルフを理由に俺の新しい仲間に絡む奴が居たら止めてくれよ」
「おう、分かった!ラスティーの名前を出せばこのギルドで嬢ちゃんに手を出す奴なんて余程のバカじゃなきゃいないがな」
俺は受付に行き、討伐の手続きをしようとすると、受付嬢に応接室に案内され、部屋にはギルドマスターが既にいた。
「依頼を急かして悪かったな」
「いや、そのお蔭で新しい仲間と出会えた」
「そうか、何はともあれ指名依頼ご苦労だった、それと掃討戦と今回の依頼の働きをみてラスティー君のランクを引き上げることにした。いつまでも君を下位ランクにはしておけないからね」
ランクが上がるのか、まぁランクが高い方が報酬の高い依頼も受けられるし良いか。
冒険者ギルドのランクはA~Fまである。AとBが高位ランク、CとDが中位ランク、EとFが下位ランクだ。それに加え特例のSランクがある。Sランクは世界や国を救うような英雄、英雄クラスとも言われている、まぁ俺には関係ないランクだな。
俺の今のランクはEランクだ。
「前例は少ないがラスティー君のランクをEランクからBランクに飛び級で昇格させる」
Bランクか、結構上がったな。
「君の益々の活躍を期待する、おめでとう」
「ありがとうございます」
話を終えて応接室を後にした。




