第50話:眠たいルナ
受け付け係がルナたちの部屋に置いていったメイド服をルナは腕を組み、しかめっ面で睨んでいた。
その反面、リシュナにすでにメイド服に着替えており、やる気満々だ。
「リシュナ、メイド服姿めっちゃ似合ってるじゃん!」
リシュナのメイド服姿は、これまた凄まじい破壊力だ!超かわいいのだ‼︎
「ルナもそんなこと言ってないで早く着替えなさいよ。」
そう言われてもなお、ルナはメイド服を手に取ろうとしない。そんなルナにしびれを切らしたのかリシュナはルナのメイド服を手に取り、ルナの前に立った。
「リ、リシュナ!何するつもり?」
「なにするって…なかなか来ないから、あんたにメイド服を着させるのよ!ほらっ、早く手を上げて。」
ルナはリシュナの勢いに負け、顔を赤くしながらもしぶしぶバンザイの形で手を上げた。
リシュナはルナの服を脱がせる。
「ちょ、ちょっと強引過ぎない?恥ずかしいよぉ〜」
「なに言ってるの、女同士なんだからそんなに恥ずかしがらなくても良いじゃん。あっ、それと今初めて女の子っぽかったよ。」
「え?ま〜そりゃー一応女だから。」
一応という言葉に首を傾げているリシュナに気を留めず、ルナは考えていた。
たしかに最近、ルナは女の子になってしまう時があった。それは女の子っぽく振舞っているというわけではなく、ごく自然に素な女の子になっているのだ。そして、特にそうなってしまう時がマサキといる時である。ルナ自身もそれに薄々気づいていた。
(俺がマサキと遊園地やプールに行った時も完全に恋をする女の子だった気がする。認めたくはないが、心も女化しマサキの事が好きになっているのかもしれない。それりゃ、友達としては前から好きだったさ。でも、あの時のドキドキは完全に恋だ。どうすれば良いのだろう…)
「ルナ、大丈夫?」
リシュナの言葉でルナは我に返った。
「ぼーっとしてたけど大丈夫⁉︎」
「大丈夫大丈夫!ごめんね、ちょっと考え事してた。」
「謝ることは無いんだけど…むしろ抵抗されなくてスムーズに着替えさせることができたからよかったよ。」
「えっ、それってまさか⁉︎」
ルナは部屋にある鏡に立ち、自分の姿を確認する。
鏡にはよく似合うメイド服を着た恥じらう銀髪の美少女が立っていた。
「ウソだろ‼︎……可愛い……。」
「そうでしょ!ルナは可愛いんだからもっと自信持てば良いのに。」
「いや、別に自信がなくて来たがらなかったわけじゃ無いから。」
とはいえ、もうメイド服を着てしまった以上は仕方がない。ルナは心の中で「そのうち慣れるから。」と自分に言い聞かせた。
その夜、受け付け係が部屋に訪れ、明日から使用人業務をしてもらうと指示があった。
使用人とは朝早くから起きて、いろんな支度をするイメージがある。きっと早起きをしなければならない。
そう思ったルナはネグリジェに着替え、早速ベットに横になる。それを不思議そうにリシュナはみつめる。
「ルナ、寝るの?」
「そりゃ、明日から働かなくちゃいけないからね。逆にリシュナは寝ないの?」
「うん、だって夜だよ。普通寝るんだったら昼でしょ!」
「え‼︎夜寝るんじゃないの?」
「アハハッ、ルナって人間みたいね。魔物はフツー夜に寝るでしょ。」
「でっでも、宿に泊まった時は夜は道が真っ暗だからと言われて、翌朝まで待ったんだけど。」
「私たち魔物の基本の生活パターンは夕方起きて、夜に活動。日が出ている時も行動はするけど、夜ほどではないわ。魔物は基本寝ないから。宿屋さんは女の子のルナが真っ暗な中、盗賊魔物に襲われるかもと思ってルナを朝まで待たせたんじゃないかなぁ。」
ルナはアロエの発言から魔物も人間と一緒で日が出ている時間に活動しているも思い込んでした。ルナからしたらカルチャーショックでかなり驚いているだろうが、リシュナからしたらただのおかしな娘だった。
「なっなるほど。ごめんね、なんか変なことばっかり言っちゃって。」
「別にいいよ。疲れてたんでしょ?」
「うん。まぁ〜そう解釈してくれるとありがたいよ。」
「無理せず寝てていいよ。仕事の時間がきたら起こすから。」
「ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ。で、明日って何時からが仕事?」
「正確な時間は告げられてないからわからないけど、たぶん夕暮れぐらいかなぁー。じゃ、夕暮れ時に起こすね。」
「いや、そんなに寝ないと思うからたぶん大丈夫。ふぁーっ、ねむくなってきちゃったよ。じゃ、おやすみーzzzzzzzz」
「おやすみ、ルナ。ってもう寝たの⁉︎」
こうしてルナの1日は終わった。
□■□
翌朝。
「ふぁ〜〜〜、りしゅなー、おはよー。」
ルナはまだ少し眠い目をこすり、あくびをしている。
そんな寝ぼけ眼の可愛らしいルナを見て、リシュナは微笑んだ。自分と年齢はあまり変わらないだろうが、ルナを見ているとなんだか小さな妹のような気がしてきた。というのも、初めて出会った時といい、さっきのルナの目覚めといい、可愛らしくて愛らしくてたまらなかった。それに、一般的なことも知らない彼女をほっとけなかった。たった半日でこの子にメロメロだ。これが母性本能をくすぐるというのだろうか。
「おはようルナ。どう、ぐっすり眠れた?」
そう言って、リシュナは未だに眠そうなルナの頭を撫でる。
「うん。まだすこしはねむいけど… 。 むにゃむにゃzzz」
また眠り始めるルナを愛おしげに見つめながらリシュナは思った。
(ちゃんと起きている時は、女の子っぽいことを恥ずかしがったりしていて、なんとなく男っぽい口調をする時もあるけど、逆に眠気に襲われている時は可愛げな仕草と口調、そして何より、頭を撫でていても気持ちよさそうにしていた。普通の時はぜったい恥ずかしがり、嫌がるはず。ということは、眠気状態のルナは愛で放題だということだ。ヤッター‼︎)
こうして、リシュナの密かな楽しみができた。
□■□
夕暮れ時。
かなり疲れていたのか、結局ルナは夕暮れまで寝ていた。
「ルナぁ〜、そろそろ起きないと。」
リシュナはルナの肩を優しく揺する。
「んー、ふぁ〜〜、おはよー、りしゅなー。」
寝ぼけ眼をこすり、あくびをしている。どうやらまだ寝ぼけているようだ。
「そろそろ時間だから、メイド服に着替えましょ!」
「うーーん。もうそんなじかんなのー?」
「そうだよ。ほら、手をバンザイってあげて。」
「わかった。」
リシュナにされるがまま、着替えさせられているルナだったが、ルナもだんだんと眠気が薄れていき、意識がハッキリしてくる。そして、完全に目覚めた時には自分は両手を上げ、リシュナは自分にメイド服を着させようとしているのが見てとれた。
だんだんと赤くなっていくルナの顔。
「自分で着替えられるからいいよ‼︎」
ルナはリシュナから自分のメイド服をぶん取ると、リシュナに見られないように物陰に隠れて着替え始めた。
そんなこんなでルナとリシュナは支度を済ませ、受け付け係の業務連絡を待つだけになった。
次回も一週間後に投稿します!




