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教訓、四十八。雨降って地固まる 1

 若様を連れ去って崖に置き去りにした事件、パン毒襲撃事件の犯人を捕らえた。タルナスの作戦は見事にはまり、捕まったのである。


 ファンタジー時代劇です。一般的な転生物語ではありません。洋の東西を問わず、時代劇や活劇がお好きな方、どうぞお越しください。

 意外に頭脳戦もありますかな……。そこまで難しくないので、お気軽にお読み下さい。意外にコメディーかも……?


 転生はしませんが、タイムスリップや次元の移動はあります。(ほぼ出てこないので、忘れて読んで頂いてけっこうです。)

 若様に毒を飲ませた上、襲撃(しゅうげき)してきた実行犯。それを捕らえた。

 前々から、ジリナの夫のオルが怪しいとは踏んでいたが、決定的な証拠が見つかっていなかった。それが動いたのは、王太子タルナスが来てからだ。

 タルナスは決して、若様が害された犯人を放っておくつもりはなかった。必ず捕まえるつもりだった。それで、一計を案じた。

 タルナスが乗ってきた馬車の他に、もう一台、狭い場所を走ることができる馬車をベブフフに用意させていたので、それを使って罠を仕掛けたのである。(これは『命を狙われてばかりの王子と田舎の村娘の危険な恋 ~けっこう命がけの恋の行方~』の十六章辺りに詳しく書いてある。)

 王太子タルナスの作戦で、敵を油断させて罠を仕掛けることができたが、けっこう手が込んでいた。まず、セリナにわざとパンに毒を盛った犯人だろうということで、わざと捕らえて監禁した。

 案の定、若様がびっくりして必死になってセリナは犯人ではないと弁明していた。だが、以外にもセリナは淡々と落ち着いて、仕方ないことだと受け止めていた。

 内心シークはほっとした。セリナが犯人ではないとタルナスも分かっていたが、あまり騒がれると、それはそれでベブフフ氏が何か思い付かないとも限らなかったから、安堵(あんど)した。タルナスは勝手に罰を下さないよう、何度もラスーカに念を押していた。そうでないと村の領主なので、勝手に処刑しないとも限らないのだ。

 また、村娘のシルネとエルナに、泡を吹いて気絶する薬を盛り(彼女達が食いしん坊だということに目をつけ、おいしそうな肉団子に毒を盛っておいた。それはタルナスの食事で、わざと彼女らをタルナスの食事の手伝いに行かせてあって、ポウトが誘導した。)騒ぎを起こさせた。もちろん、派手に泡を吹いて気絶するだけで、体にも命にも別状はない。

 そうなれば、若様だけでなく王太子も危ないということになり、大急ぎで村を出発する理由ができる。

 しかし、ここで想定外のことが起きる。ラスーカが犯人はジリナに違いないと決めつけ、縛り上げたのだ。そして、仕方なくセリナと同じ部屋に閉じ込めた。

 そして、思惑通りすぐに村を出発する運びになったが、タルナスが若様を連れて行くと言うと、こぞって周りの者達が反対したのである。理由は若様はここから出てはいけないと、陛下に命じられているからというもの。

 だが、そこは頭の切れる王太子。そして、権力も使いこなしているだけあり、強引に出発することにしたのだ。

 そして、周りの者達を急がせて慌てさせ、うろうろしている間に乗ったフリをして二台の馬車を出発させた。

 豪華な馬車の方にはシークと部下数名が乗り、村に被害が及ばないようにする。シーク達の方が村人と面識があるからだ。おそらく、出発したら道のどこかで、何か襲撃してくるかもしれないという想定で準備した。

 フォーリは、さすがに王妃の差し金なんだから、王太子タルナスには手を出さないのではないかと言っていたが、シークは一応、警戒しておいた方がいいと主張した。バムス達でさえ亡き者にしようとしたのだ。そして、実際にバムスは未だ行方不明のままである。

 それを指摘するとフォーリも納得し、タルナスの方にも警戒するように伝えに行った。

 そして、地味な小さい馬車にフォーリとポウトが乗り、御者はテレム・ピンヴァーに任せて出発した。

 表からではなく、裏道の細い道路から出て行くだろう、という風に思わせることに成功したのだ。案の定、その道にはオルが待ち伏せしていた。村人が作業しているフリをして、道を大木で(ふさ)ぎ、通せんぼしていた。

 そして、馬車が通れるようにポウトが出て、御者のテレムと一緒に大木を動かす様子を確認してから、中に王太子と若様がいると確信したオルは、馬車に近づいて扉を開けた所をフォーリにつかまった。

 実際にはフォーリの鉄扇を食らい、蹈鞴(たたら)を踏んだところ、後ろからもポウトにやられ、二人がかりで縛り上げられたのである。その間、王太子と若様は、カートン家の医師達とその護衛達に守られていた。

 こうして、オルは捕まった。そして、目くらましに捕らえておいたセリナと、運悪く捕まったジリナと交換したのである。

 念のため、ジリナとセリナにもタルナスの尋問はあったが、事実の確認のようなもので、それ以上のことはなかった。尊大なフリをしていたりするが、タルナスは移民の子孫が暮らしている村人であっても、公平だった。きっと、噂しか知らない人は困惑するだろう。

 その後が大変だった。

 星河語ほしかわ かたり

 最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

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