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元勇者=そこら辺の騎士

 後日、前言通り皇帝に呼び出された俺は、そこで第四皇子の世話係を命じられた。

 始めこそは絶対に断ってやると息巻いていたが、呼び出されるまでの数日で冷静に物事を考えられるようになった俺が行きついたのは、とにかく金がないという現実だ。


 報酬が1000$ということを思い出し腹が立ったが、城へ怒鳴り込みに行ったところで金は手に入らない。

 仕事を探してギルドにいけば、役立たずの元勇者と言われ追い出される始末。

 路地裏で手配書を見つけた時は、さすがに言葉を失った。結局俺ができることは、皇帝の命令に従うことだけだった。


 「では第四皇子よ。あのものについていき、国の様子をしっかり見てくるのだ」

 「はい、皇帝陛下の仰せの通りに」


 俺の隣で同じように、膝をつき頭を下げるこの子供が第四皇子か。線が細く、ひ弱そうだな。

 第一皇子は騎士団を率いる隊長だと聞いたが、この皇子は剣を握っている姿を想像することもできない。


 皇子のことは追々聞くとして、今はもっと他に聞かなければならないことがある。

 そう、報酬の件だ。


 「陛下、発言の許可をください」

 「うむ、許可する」

 「世話係とはいったい何をすればよいのでしょうか」


 まずは仕事に対しての熱意を見せる。そうすることによって、信頼を獲得することができるからだ。


 「皇子にこの国での市民の生活を教えてやってくれ」

 「それなら俺でなくてもいいのでは?」


 市民の生活を教えろだと?なぜそんな誰にでもできそうなことを、わざわざ俺に頼むんだ。

 これは何か裏がありそうだな。


 「魔物退治をしたりする際に、ただの市民では対処できんだろう」

 「でしたら騎士などに任せるのがいいかと」

 「生憎、今は騎士の数に余裕がないのだ。元勇者と言えど、そこらの騎士程度の実力はあると思ったのだが、違うのか?」


 皇子の世話をするのに騎士の余裕がないとは、ずいぶんと適当な言い訳だ。

 ここへ来る途中にすれ違った第二皇子は、ただ城を歩いているだけで10人以上もの護衛を付けていたぞ。

 その内の2人でも第四皇子に護衛を付ければ、国の付近に出る魔物程度なら簡単に倒せるはずだ。


 それでも騎士を着けず俺に任せるとは。

 面倒事に巻き込まれる予感しかしない。


 「確かにそこらの騎士程度の腕はあると自負しておりまずが、皇子の世話係なんて、私には荷が重いです」

 「そう気を追わずともよい。魔王討伐に参加したお主なら難しいことではない」

 「ですが——」

 「引き受けると言うのであれば、今お主が抱えている問題を解決してやろう」

 「もしかして……」


 金をくれるということか!


 「手配書の件は安心すると言い。誤解だと市民のものに呼びかけよう」


 今更そんなことはどうでもいいんだよ!

 誤解だと触れ回ったところで手配書は消えるかもしれないが、元勇者と後ろ指を指されるのは変わらない。


 「それと、皇子と共にギルドで働けるように手配させるつもりだが」


 この野郎、俺がギルドで働けないように手を回していやがったな。


 「どうするのだ?」


 拒否権も無いのにどうするか聞くなよ、白々しい。


 「……お受けいたします」

 「おお、良い返事が聞けて何よりだ。もし断られでもしたら、儂はお主に死刑宣告しなければならんところだったぞ」

 「……」


 大口開けて豪快に笑っているところ申し訳ないが、そのジョーク俺は全然笑えないからな。



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