第四百九話『重ねてにゃん』
第四百九話『重ねてにゃん』
《おいしいもんのつまった重箱もどうにゃん?》
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『うっうっうっ』
チラ。
『ほら……はっ!』
「にゃに泣いてんのにゃん?
イオラにゃん」
『あらあらあらっ!』
ぱぱああぁぁっ!
「——と一瞬、
歓喜の思いに、
全身が、
光り輝いちゃったわ——
うれしいわぁ。
とうとう、
気がついてくれたのね。
ようやく、
報われたのね。
ホントにホント、
地道に」
『コツコツ』
「と苦労したかいが……」
『うっうっうっ』
「あら、やだ。
ワタシったら。
間違えないでね。
ミアンちゃん。
これは」
『悲しくて』
「じゃないわ」
『うれしくて』
「流す涙なのよぉっ!」
《にゃあ。無理矢理、感動話にしようとしてにゃい?》
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「んでもにゃあんで、
よりにもよって」
『草葉の陰』
「にゃあんかに、
潜んでるのにゃん?」
「ちっちっちっ。
——と、ここは当然、
ネコ差し指をフるところ、
よね——
聞かれるまでも、
いうまでもないわ」
《んでも、聞いたもんで、いってにゃん》
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『そうねぇ。
やっぱり、
ここのほうが、
ワタシらしく、
なんじゃないかしら』
「なぁんて、
これまた、
ワタシらしく」
『思案に思案を重ねて』
『苦労に苦労を重ねて』
「とまぁ、
いろいろ、なものを、
手当たり次第」
『重ねて』
「はじき出した、
誰もが」
『なぁるほろぉ』
「と納得してやまない」
『正解な答え』
「だったからよ」
「そっかにゃあ。
——ネコが、
つらつら、
考えるに、にゃ。
『ワタシらしく』
とやらも、
『正解な答え』
とやらも、
まるっきりのきり、
に、
『?(はてな)』
にゃのにゃけれどもぉ——」
《にゃあんて、とまどいを隠せにゃいまま、つづくのにゃん》